
第18作『男はつらいよ寅次郎純情詩集
綾(京マチ子)は晩年には不治の病に冒され亡くなる。マドンナが劇中で亡くなる唯一の作品だ。綾(京マチ子)はクリスチャンの設定なので教会で葬儀が行われる。
その場にはなんと御前様の姿が映し出され御前様はなんのこだわりもなく讃美歌を歌っている。御前様は帝釈天の住職で日蓮宗だがそんなことは全くお構いなしに参列して讃美歌を歌っている。
御前様は日蓮宗だが次のようなことを言いたげだ。
誰でも心から願えば涅槃、成仏することができ、極楽、天国にいけますよ、そのお礼に他人にもそのことを教えなさい。法華経28品で説いているのはそのことだけだ。特定の宗派に属しての難しい修行も勉学も方法論もいらない。キリスト教でも神道でも好みで構わない。一切の差別区別はない。
山田洋次の宗教観が出ていて面白いなと思った。
そんな馬鹿なことがあってはたまるか、昔から仏教各派ではさまざまな人がさまざまな論争を繰り広げてきたではないか。
「それは誰でも涅槃、成仏できますよということを信じられないから行うのであり本来無用のものだ」と嘆き、御前様は得意のセリフ「困った」を言いそうだ。
ではカルトでも成仏できるのかと食い下がる輩には「カルトは他の宗教を差別するので自ずから法華経の精神に反し、対象外となる 困った」と続けそうな気がしている。