まさおレポート

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リーマン・ショックとタクシー運転手のぼやき

2008-10-03 | 日常の風景・ニュース

一昨日仕事で港区役所に行った。印鑑を間違えたりで結局会社オフィスのある青山一丁目と三往復した。やっと所与の目的を果たしてタクシーに乗り込んだところ「お客さん 港区役所ですか」としゃべりかけてきた。「ああそうです」と応えると「いやあ 参りましたね 株の暴落は」といきなり嘆く。「信用買いで追証を取られることになり、損切りしました。アメリカの議員はなに考えてるんでしょうね」とさかんに憤る。上院が銀行救済法案を拒否したことを言っている。「1929年のブラックマンデーより凄いのと違いますか」
「いや あのときのほうがさすがに凄いでしょう。 ビルから飛び降りたり自殺者が続出したらしいからね」

「私は現在はやっていないけど、やってたら大変なことになっているね」と会話しているうちにこの運転手さん「でも追証払うのに会社の同僚に金の工面を頼んだら皆断られましたは。10万円貸してくれといっても誰も貸してくれません。こんなときに人間よくわかりますね」と来た。

内心「そりゃ 誰も貸してくれんよ 株の追証の金なんど」と思ったが口には出さない。「金の貸し借りは人間関係を壊す」とか「手持ちがない」とかいいよりますねとぼやくことしきり。「今頃みんなに言いふらして笑いものにしてますのや きっと」と、とうとう貸さない方が悪いみたいなトーンになってきた。そのうちオフィスに着いたので話はここまでですんだ。

史上空前の777ドル大暴落の翌日には300ドル以上上がってみたり、又その後は急降下したりで、昨夜もニューヨークは落ちている。348.22ドル安の1万0482.85ドルとある。あーあ今日も日本市場は暗いねきっと。

サブプライムローンに端を発するこの金融恐慌は証券化と格付けそれを支える金融工学といったあたりがキーワードのようだ。証券化はリスクを分散する手法として考えられたが、投資会社に勝手に格付けされた証券はどんどん一人歩きをして元のリスクが保有者の目にみえないことになっていく。このあたり詐欺的臭いもするが金融工学に基づくといわれればなんとなく納得してしまうのだろう。だれも複雑な数式など理解できないし、数式のパラメータを変えれば結果は大きく変わることなど知る由も無い。株式が目にみえるかといわれるとこれも心もとないが少なくとも会社訪問なり、決算報告を追いかけるなりで多少の情報は跡付けながら入ってくる。しかし、サブプライムローンなど一体どうやってしるのだ。知ったときは既に遅いということだろう。

ノーベル賞受賞者もいるらしいこの金融工学も実際に運用されるといかがわしい道具になりえるのではないか。かつて総務省で電気通信市場の独占度あるいは競争度を数学的に分析していたが、今もおそらく継続しているだろう。このときにも感じたのだが専門家ですら理解しているのかわからない数式でなにやら結論を導いてきてこれを通信政策の材料にするということであった。もちろんパラメータを変えれば結論は大きく変わる。しかも説明会を開いてもおそらく聴衆のほとんどが理解をしていない代物だが、アメリカで開発された手法と言うことで妙に説得性を持って推し進められていた。私は当時「危険だな」と感じていた。

今回の金融恐慌も元を正せば「金融工学」なる錦の御旗とそれを上手く操る投資会社の確信犯なのではと思えてくるのだが。

追記 2008/10/29
深尾光洋氏が日経の経済教室に書いているそうだ。現在の金融危機は金融派生商品が原因の危機であり、この特徴は負のフィードバックがかからないことだそうだ。なるほどなるほど。株式市場では負のフィードバックすなわち高すぎれば売られるし、安ければ買われる。個々の例では適切にフィードバックがかからないケースも多いが、時間軸を長くとり、統計的にみればフィードバックはかかっていると見るべきだろう。それは東証のように集中取引機関があるからだ。一方、金融派生商品のほうは、相対取引のため、適切にフィードバックがかからない。CDSもその一種だから、マイナーな取引が過度な風評のためにすこぶる大きな影響を持ってしまう。これが諸悪の根源だという説に全く賛成だ。

リーマン・ショックは、2008年9月15日、リーマン・ブラザーズ・ホールディングス(Lehman Brothers Holdings Inc.)が経営破綻したことで連鎖的に世界的金融危機が発生した事象










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