まさおレポート

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バリのアラックもリスペクトされ愛される酒になってほしい

2018-06-28 | バリ島 地震・事件・病気・イベント・危機管理

椰子の実からつくるアラックは東南アジアでポピュラーな蒸留酒だがバリでも盛んにつくられ飲まれる。特別に作られたアラックは匂いも味もよいがチャナンとともにお供えに使うもので少量しかなく入手が難しい。市販されているものは日本の焼酎ほどおいしくないので私は飲まない。でもうまい安心のできるアラックはほしい。

残念なことにこのアラックはときどき事件を起こしてくれる。4年前の2009年には18人のバリ人がこのアラックを飲んで死亡し、これを知ってからは調味料としても決してアラックを買わなくなった。お隣さんに頂いたものは唐辛子を付け込んでスプレーで撒くなど蟻よけに使っている。

2013年の新年ではロンボク島近くのの小さな島で19歳のオーストラリア人が死亡したとある。いずれもアラックの作成過程で利益を追求するためや、作成後に購入者がてっとり早く酔う、つまりドラッグ代わりにメチルアルコールや蚊の駆虫剤を混ぜるなどしたためだと当時のBali dailyは報じている。

メチルアルコールは戦後の日本でも「ばくだん」が有名だ。「酒税」を回避するために「メチルアルコール」と「エチルアルコール」の含有物が、工業用アルコールとして販売され、沸点の差を利用してメチルだけを抜いた。(バリではメチルが蚊の駆虫剤に使われている)

吐き気、めまい、腎臓障害、失明、昏睡、最悪の場合は死亡する極めて危険なしろもので、英国とオーストラリア政府はバリ政府にアラックの規制や取り締まりを厳重にしてほしいと申し入れている。バリ政府はブランド名や製造者が記述されていないアラックは特に手をださないようにと警告している。

バリでアラックの事故が絶えないのはバリ人に酒に対するリスペクトがないことが原因だと思う。いやインドネシア全体でというべきだろう。バリ人はビールは好むが強い酒は好まないようだ。善と悪のヒンドゥ文化では強い酒は悪に属しているように思う。だから日本のように酒をあがめないため、たまに密造で事故を起こそうと関心がないのだ。すると誰もアラックを買う人がいなくなるのでますます密造でてっとりばやく儲けるためにあやしげなものを入れる。

アラックはアラビア語由来だ。アラビア商人たちが13世紀以降東南アジアに蒸留技術を伝えた。彼らは蒸留酒を「汗」つまり「アラク」と呼びペルシャや東南アジアの蒸留酒がアラックと呼ばれることになる。江戸時代の日本でもアラクは「荒木酒」と呼ばれた。戦後は密造で危険なものがあったが今では愛される酒になった。バリのアラックもリスペクトされ愛される酒になってバリの産業に貢献してほしいと願っている。椰子の実はふんだんにあるのだから。

初めて訪れたバリの印象をメモ

 


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