村上春樹「海辺のカフカ」を一通り読み終えた。これまで読んだ村上春樹本も色々不思議な出来事が出てくるが、今回は一層不思議世界の総ざらいの感ありだ。ざっと記憶をたどってみると、
1.UFO 太平洋戦争時に疎開先でUFO(らしきもの)を疎開先で見る。それを見た学童のナカタさんは意識が戻ったら秀才が「頭のわるい人」に変身していた。その50年ほど後にナカタさんが亡くなると体からエイリアンのような生物?が出てくる。どうもこのエイリアンがナカタさんを操っていたらしい。ナカタさんはエイリアン事件以来影が文字通り薄くなっている。エイリアンは意識の核に潜り込めるのだ。
2.15才の少年田村カフカ君は母親らしき女性=佐伯さんの生き霊に操られる存在らしい。オイデプス神話さながらに父親殺し(ナカタさんに殺させる)と母親とおぼしき佐伯さんと交わる。田村カフカ君とナカタさんの関係はパラレルに進行するというだけで何の説明も最後までないので、他の村上作品同様、全く判らないままにほおっておかれる。源氏物語の生き霊とオイデプス神話の合体と一応解しておくしかないですね。
3.ジョニーウォーカなる猫殺しと田村カフカの父親が同一人物なのだが、パラレルな世界を生きている。「スプートニクの恋人」のミューが観覧車の中から別のミューを見るが、それと同じ描き方かな。ドッペルゲンガーの村上バージョンなのだが。
4.カーネルサンダースもジョニーウォーカと同様誰かのパラレルなのだろうと推測するが誰だかよく判らない。ひょっとしたら星野青年のおじいちゃん?
海辺のカフカも村上ワールドを意味なしと考える人にとってはなんだかまったくわからない本になってしまうでしょう。。。でも読みながらいろいろなことを考えさせられます。