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中国という国(91)

2023年02月10日 | 日記

米中という超大国の対立をめぐる動きが急だ。足元で目立つのは米国による日本や欧州を取り込んだ「包囲網」づくりだ。もう一つ、対立の時間軸に影響を与えそうなのが、中国の少子高齢化のペースの加速。10年後をにらみ両国と日本はどう関わるべきだろうか。

中国の少子高齢化の加速は、米中対立と直接関係がないようにみえる。しかしそうではない。習近平国家主席は昨年10月の党中央委員会第5回全体会議(5中全会)で「2035年までに国内総生産(GDP)を倍増させることは可能だ」と述べた。その前に米国を追い抜き、世界一になると宣言したのだ。

経済成長は税収に影響し、軍事や社会保障予算の伸びを左右する。企業の投資行動も変わってくる。その成長率に確実に影響を与えるのが、人口動態だ。「米政府や議会関係者は中国も高齢化が進み、国力がピークアウトするとみている。中国は出生率の過大評価をしているというのはほぼ事実である。「中国の生産年齢人口は20年代後半以降に1000万人単位で減ると見込まれ、30年ころの経済成長率は3%を割る可能性が十分ある」という専門家の見方もある。とすれば習近平指導部のシナリオは変更を迫られないだろうか。目標とする台湾統一などの時間軸を前倒しするのか?習近平指導部の2035年までに国内総生産(GDP)を倍増させる目標年次はそれをにらんだものだが果たして?一人っ子政策で無国籍に等しい3000万人以上の人々が隠し人材となるのか?

さて米国が急ぐのが、中国の覇権主義を阻むための包囲網である。米インド太平洋軍司令官は上院軍事委員会で、中国による台湾侵攻の可能性について「多くの人が考えるより間近に迫っている」と警鐘を鳴らした。責任を公平に分担する・・これが米政権の安全保障政策のキーワードだ。米国の「暫定国家安全保障戦略のガイドライン」に、すでにその言葉がある。「北大西洋条約機構(NATO)や豪州、日本、韓国という同盟国は米国の至高の戦略的な資産であり、責任を公平に分担し、脅威に対する彼らの投資を促す」と述べている。米国が日本を含む各国に「公平な分担」を求めているのは、軍事的な脅威への対応に限らない。気候変動への対処や人工知能(AI)など新技術への取り組み、経済安全保障に関わるサプライチェーン(供給網)の再構築なども、そこに含まれる。

日本の外交・防衛当局の準備も急だ。米政権は「責任の公平な分担」という要求への答えを各国に求めるだろう。台湾海峡問題への対応もその一つだ。台湾有事への備えや、中国のミサイルに対する抑止力強化が課題になる。米政権は中国に、有事には行動するというメッセージを出した。日本はそれに巻き込まれるという議論でなく、自らどう関わるかを決めなければならない。例えば経済安全保障にかかわるサプライチェーンについて、民生用の旧来技術の貿易を規制すべきではないが、AIなどの先端技術で競争力を高める協力は惜しんではならない。温暖化ガスの問題では中国に「途上国扱い」の返上を一緒に迫るべきだろう。一つ一つに是々非々で答えを出す必要がある。

コロナ感染拡大防止対応でも、諸外国の様に強制力のある私権制限や違反時罰則などが可能な「非常事態宣言」でなく、「緊急事態宣言」で要請(お願い)しか出来ない日本。国家の非常事態時これで対応できるのか?「非常事態宣言」出せる様に憲法の3章改正をすべきではないのか?非核3原則をこのまま堅持するのか?責任を公平に分担する為には早急に解決しなければならない問題は多い 。(2021/5/23日経新聞記事参考・引用)