以前こちらのブログで「
ミニチュアレンタル」についての記事を掲載しました。
マーブリングでは民家、高層ビル、工場地帯、洋風の建物、その他にも電柱、
看板などの小物を含め、様々な種類の撮影用、展示用のミニチュアを保管しています。
いかなるシチュエーションにも対応できるよう多様な種類を揃えておりますが、
その他にもマーブリングのミニチュアには様々な
「スケール」というものがあります。
主なものとしては
1/10、
1/25、
1/50~100、
1/150スケールがあり用途によって使い分けられ、
設置するステージの面積、撮りたいイメージ、ミニチュアの中に立つ被写体を
どのぐらいの大きさで見せたいのかなどによって、使用するミニチュアをセレクトしていきます。
<スケール別ミニチュアの解説>
1/25スケール , 1/50~100スケール
最も多く使われるスケールのミニチュアで、
「ウルトラマンシリーズ」や
「平成ゴジラシリーズ」ではほとんどが
この2種類のスケールとなります。
1/25は5階建て、1/50は10階建てでおよそ60~80cm程となり、
そこに立つ人間の設定としては前者が40~50m、後者が100m程の設定となります。
特撮作品以外にもグラフィックやCMなどで多岐に渡り使用されるスケールです。
<上記:1/25スケール 下記:1/50スケール 特撮作品に限らず多くの撮影、展示で使用されます。>
1/10スケール
所有するミニチュアの中では最も大きいスケールで、2階建て民家でも60cm程の高さとなります。
近年では、
『GANTZ(2011)』(監督:佐藤信介)で玄野計(演:二宮和也)が
小島多恵(演:吉高由里子)を背負いながら夜の住宅街の屋根を飛び移って
移動するシーンで1/10の民家が、
『清須会議(2013)』(監督:三谷幸喜)で
作中に登場する清須城の全体が映っているすべてのカット、豊臣秀吉(演:大泉洋)が
天守から落ちそうになっているシーンなどで1/10の清須城が使用されていました。
<左:『GANTZ』に使用された1/10民家 / 右:『清須会議』で使用の1/10清須城(写真:「調布映画祭2014」展示風景より)>
上記のスケールは併用されることも多く、例えば手前に1/10のビルを配置し、
奥に行くにつれ1/25、1/50と並べていくことで遠近法を強調する「強制遠近法」と
呼ばれる視覚的なトリックを使い、少ない奥行きの中で遠近感を演出します。
1/150スケール
「Nゲージ」と呼ばれるスケールです。
こちらは上記のものより非常に小さく鉄道模型などで多く見られるスケールで、
10階建の建物でも25cm程の高さになります。
狭いステージの中でも多く並べることができ、街並みを上から見下ろした
空撮のようなシーンを撮ることができます。
『ウルトラマンサーガ(2011)』(特技監督:三池敏夫)の終盤、
ゼットンとサーガの衝撃波がぶつかり合うの戦闘シーンで使用されました。
<4m四方に飾られた1/150スケールのミニチュア都市。空撮用に使用された。>
このスケールのミニチュアはサイズ的な都合から特撮としてだけでなく、
社長室やオフィスに飾ってある模型といった小道具として使われることもあります。
1/5スケール
その他の例として、
映画
『山のあなた ~徳市の恋~(2008)』(監督:石井克人)では、1/5という巨大スケールの日本家屋を製作し、
昭和の温泉街のミニチュアセットを作りました。
(『山のあなた~徳市の恋~』ミニチュアメイキング映像はこちら→"
My Darling of the Mountain"
<非常に巨大なスケールのミニチュア。スケールが大きい分細部まで作り込みが可能。>
ミニチュアはスケールが大きければ大きいほど細部へのディテールアップが
可能になるためその分リアリティを出すことができます。
例えば日本家屋の建具。1/25スケールでは、窓の形に切り抜き一色に塗装した
枠に透明アクリルを裏から貼りつけて表現していきますが、1/5スケールともなると、
そのスケールに合った木目の木材を選び、窓の枠で透明アクリルを裏表から
はさみこんで貼りつけるなど、見た目のディテールは本物の建具と比べても
遜色ないものとなります。
<小さいスケールでは表現しきれない建具のディテールも、1/5スケールでは実物と同じような構造で作ることができる。>
ミニチュアには様々な要素が含まれています。
それらの要素を組み合わせることでその場にいる人間がインスピレーションを受け、
「もっとこうしよう、こんな撮り方はどうだろうか」というように、
目の前にあるミニチュアという造形物が次々と発想を引き出していき、
頭の中で思い描いていた以上のものを生み出していきます。
広報 井上
http://www.marbling.net/