マーブリングファインアーツのブログ

マーブリングの製作物や作品の紹介と解説、時にはスタッフのこぼれ話などを書いていきます。www.marbling.net

プレゼン映像 (その2)

2012年07月09日 | マネージャーのつぶやき
「今までに見たことのないミニチュアビルの破壊」とは言ってみたものの、
映像に関しての知識がほとんど無いため、「最新の映像に対応できるミニチュアと
リアリティのある破壊を作ってほしい」という、漠然とした指令を社内に発信することしかできなかった。

このままでは事は進まないと思い、ある人物へと助けを求めた。

日本CG業界の中でもスペシャリストとして知られ、
“もう、誰も教えてくれない 撮影・VFX/CG アナログ基礎講座”の
著者でもある古賀信明氏を、弊社代表と共に九州まで尋ねてみた。
撮影に関しては全くの素人に近い人間に、古賀氏は根気よくお付き合いして下さり、
沢山の可能性を示唆してくださった。

例えばカメラについて。

ミニチュアを撮影するのにハリウッド映画で最低ラインのルールとして言われていることは言うまでもなく、
「絶対に本物に見える」と言うこと。それを死守するためには、基本として”パンフォーカス”があげられる。
そのような条件を出された場合、マーブリングとしての従来の反応は「精度の高い造形物を製作する」で、
それは常日頃から心掛けている当たり前のことでもある。
ただ、自社で撮影を行う際には、ミニチュアエフェクトの会社として大切な、
そのミニチュアがどう映像に写り込むのかという意識を、いつも以上に持たなければいけない。

その意識を高めるために必要な大きい要素の一つに、カメラについての知識がある。
アメリカで使用されるミニチュアは、日本のものと比べスケールが大きく、ミニチュア自体のサイズも
巨大なもので10mほどもある。比べて、日本特撮で使用されてきたミニチュアはスケールが小さく、
サイズも1~2mほどが相場だ。しかしそのサイズのミニチュアに対して入念な作り込みを行うことで、
そのミニチュアの「小ささ」が、アメリカにはない武器になる。しかしその分撮影に関しての難易度は高い。
1~2mのサイズのミニチュアをパンフォーカスで撮るには、小さなレンズと小さな本体が必要になる。
それらを考慮していくと、カメラ開発が必要になってくると言う答えに行きつくが、
予算の関係上、そのことについては今後じっくりと考えることとする。

やむを得ずカメラ問題を残したまま、R大学でプレビズの研究をされているT教授に新たな展開をご相談させて頂いたり、
方々へ走り回っては見たが、結局は明確な答えの無いままRED EPICで2K撮影を行うこととなった。


<続く>
マネージャー 岩崎敏子

プレゼン映像 (その1)

2012年07月03日 | マネージャーのつぶやき
現在マーブリングでは、今までにない新たな取り組みを行っています。
ここ数か月に渡る様々な出来事と今後の展開について載せていきます。ぜひご覧ください。

マーブリング・ファインアーツ  マネージャー 岩崎敏子


先日、株式会社朋栄による内覧会へ弊社代表とともに参加した。
世界初フル4Kによるスーパースローモーション撮影を実現した高速度カメラ「FT-ONE」の
特設シアターを見学するためだ。
現段階の仕様は、4Kフル解像度で最大1、000flame/secが8.5秒間可能だという。
これから、アメリカを始めとして展開されている内覧会でのフィードバックを得て、
最終的な仕様と価格と発売日が決まるらしい。

今回の内覧会に参加するに至った理由には、様々な要因がある。

正直に言うと、何十年にも渡った特撮業界でのミニチュア製作会社であるにも関わらず、
弊社マネージャーは映像の知識に関しては皆無に等しい。
社内の造形スタッフとは違って、特撮について詳しいわけでもなければ、造形ができるわけでもない。
唯一活かせるスキルは、海外生活での経験で培った語学のみである。

そこで2年程かけて、素人の強み、物を知らない故の強さでハリウッドでの営業を始めた。

困難の連続であったが、いくつかのチャンスが重なり、ハリウッドのとあるSFX作品に、
ミニチュアに関してのプレゼンをかけることができる機会に恵まれた。
帰国後に弊社代表との議論を重ねた結果、
プレゼン材料として「今までに見たことのないミニチュアビルの破壊」をテーマに、
映像を撮影することとなった。

<続く>

マネージャー 岩崎敏子
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