マーブリングファインアーツのブログ

マーブリングの製作物や作品の紹介と解説、時にはスタッフのこぼれ話などを書いていきます。www.marbling.net

「ウルトラマンフェスティバル2018」が絶賛開催中!

2018年08月09日 | 製作物

「ウルトラマンフェスティバル2018」が絶賛開催中です。

8日からはライブステージの第2部が始まっており、より一層盛り上がりを見せています!


 今回の投稿では、弊社が担当しております巨大バトルジオラマの制作過程をご紹介いたします!

 

家がいくつも立ち並ぶ特徴的なこちらの山の制作にスポットをあてたいと思います。 



 


発砲スチロールを削り、形を少しづつ出している様子です。



 


原型が出来、塗装後の写真がこちら。もうかなり雰囲気はでていますね!



 

 植栽や細かなエイジングを加えている様子の写真です。

先ほどの写真に無かった手すりなども取り付けられています。



最後に現場で調整を加えて完成です! お気に入りのポジションでパシャリ


会場でよりじっくりとご覧いただければ幸いです!

様々な発見があるかもしれませんよ!


 

場所:池袋・サンシャインシティ 文化会館4F 展示ホールB

ウルトラマンフェスティバル2018公式ホームページhttps://www.ulfes.com/2018/

(c)円谷プロ

 

企画部 今仁


10分の1戦艦大和メンテナンス

2018年04月07日 | 製作物

本日4月7日は「戦艦大和が沈没した日」です。

第二次大戦中、広島県呉市の呉海軍工廠で建造された史上最大の戦艦「大和」は、
1945年のきょう、九州坊ノ岬沖で沈没したそうです。

 

その大和建造地の呉市で2005年、全長約26メートル、1/10スケールの戦艦大和が完成しました。
「呉市海事歴史科学館」通称「大和ミュージアム」のメイン展示物として一般公開されています。

 

  

↑博物館建築当時 

船体は残された実物の資料を基に、地元の造船会社「山本造船」さんで
鉄を使用し、本物の船舶同様に製作されました。

そして弊社はこの上部構造物、いわゆる艦橋部分製作を主に担当、
同ミュージアム開館前からこの大和の建造に携わりました。
船体は鉄製ですが、上部構造物は緻密な造形物が多く、
鉄、真鍮、アルミ等金属の他、FRP、アクリル、
果ては木材、レジン等の材料を駆使して製作しています。

   
↑建造当時

 

さらに、製作の後の定期メンテナンス、新資料発見後の改修工事に関しても、
現在に至るまで継続しています。

最近では今年1月下旬、ミュージアムのメンテナンス休館に合わせてメンテナンスを行いました。
  

基本的には清掃作業です。
船体上部は模型とはいえ大型なので、人が乗って掃除をすることになります。
艦橋パーツは繊細なものも多く、破損の危険があるため、
経年劣化の補修も含めて、製作した弊社が継続して実作業に当たっています。

  
↑足場を組み、船体上での清掃作業。


大まかな流れは、ブロワでの埃落としの後、拭き掃除。刷毛での掃き掃除です。
この際に破損箇所がないかのチェックも行います。
上部は普段人が触れることはないのですが、やはりどうしても経年劣化は避けられません。
また、大きすぎてケースに入れられず、埃がつきやすい展示物でもあります。
そのために弊社が1年に2回のペースで大規模な埃落としと補修作業をしています。

 

また、潜水調査や新資料の発見に伴う新事実発覚もあり、
それに基づく改修作業を行うこともあります。

例えば木甲板上のブルワーク(機銃周りの波除け板)を、当初は丸形状だったものを
新資料に基づき角ばった形状に変更する改修施工を実施したことがあります。

  
↑改修前       ↑改修後

 


本物の大和は現在海中に没したままですが、沈没した大和を引き上げる計画もあるそうですね。
今後も改修等があればこの場でお伝えできればとおもいます。

 MarblingFineArts

(樹)


熊本城×特撮美術 天守再現プロジェクト

2017年12月25日 | 新着情報

12月16日より熊本市現代美術館で開催しています『熊本城×特撮美術 天守再現プロジェクト』のミニチュア製作に携わらせて頂きました。 

弊社では

1/20スケールの熊本城(大小天守・宇土櫓)

1/20スケールの阿蘇神社

              

 

              

熊本市街地には1/25スケール市電を2両と停車駅

を製作し、市街地のビルや民家なども提供させて頂きました。

市街地設営では熊本にお住まいのインターンの皆様にお手伝い頂きまして・・・より一層、熊本らしさが詰まった街並みが完成しました。

街並みをじっくり見ると熊本への愛情がひしひしと伝わってきます。

               

        

               

12月16日オープン日には本プロジェクト監修の三池敏夫監督と弊社代表の岩崎がオープニングトークを行いました。

特撮の深い話や今日に至るまでの三池監督の熱いお話を聞くことができました。

オープニングトークの様子です。

               

オープン日にはたくさんの方がいらっしゃり各々思い思いの写真を撮影していました。

 

               

              

 会期は12月16日から3月18日まで ※年末年始12月29日~1月3日は閉館

 

場所 熊本市現代美術館で展示中です。

観覧料 一般1000円 

    シニア(65歳以上)800円 

    学生(高校生以上)500円

    中学生以下無料

開館時間 10時~20時まで(展覧会入場19時30まで)

    

 

 熊本にお住みの皆様、是非お越しください!!!

 


特撮の”木”

2017年10月07日 | 製作物

特撮の美術と言えば、ミニチュアですね。

本当はミニチュアに限られない筈なんですが、実際、圧倒的にミニチュアの率が高いです。

 

              皆さんイメージの特撮ミニチュアセットというと、やはり”ビル街”を怪獣が壊している図、でしょうか。

              他にも”住宅地”や”山林”等もよく見ます。

 

 

  

 明日、10月8日は「木の日」ということで、今回は特撮に使用する”木”について少々…

 

 

色々なミニチュアを組み合わせセットを組む際、樹木は必ずと言って良い程、頻繁に投入する要素です。

が、どこが舞台であってもほぼ使用される割に、他のミニチュアより圧倒的に注目度が低い木がします。…もとい、気がします。

(勿論、工業地帯や砂漠、果ては海底や不毛の惑星等、木が無しでも成立するシチュエーションは結構有りますが、これらが舞台になる頻度はさほど多くありません。)

 

 

 

さて ここで問題です。

 

Q:特撮に使う”木”のミニチュアは一体どのように作られているのでしょうか?

 

   答えは

 

              ・

              ・

              ・

              ・

              ・

              ・

 

A:様々です!

 

              ・

              ・

              ・

 

  スミマセン m(_ _)m

 

              答えになってないとお思いかも知れませんが、これが真実です。本当です。アッ石を投げないで。

 

   イテテ…   その証拠に、代表的な例をいくつかご紹介します。

 

 

その① 針金を捻って束ねて木の形にし、葉っぱの形に切った物をひたすら貼り付ける。

 

…ハイ、なんだか気の遠くなる作業のように聞こえますね。(^-^;

実際、手間隙が半端無いので数は多くないです。大きな物となると一本作るだけで大変です。

手荒に扱うと痛んでしまう反面、放っておいても経年劣化が少く、むしろ撮影より展示物に向いた作り方ですが、撮影用の物も存在します。

 

↓こんな感じです。

 

 

その② 適当な枝切れに造葉を植える

 

…適当と言っても”出鱈目”じゃなくて、”良い塩梅”ですよ。 (ここ重要)

木の枝など(材料)を、木の幹(ミニチュア)にして、造葉を挿していって木にします。

なかなか重宝しますが、特撮で標準の1/25スケールでは相対的に葉っぱが大きくなり過ぎるのと、そのままでは質感が作り物ぽく見えるのが悩み所。

(まあ、UPにならなければ滅多に気にならないので遠景には充分ですが。)

 

↓こんな感じです。

 

 

その③ 本物の木を使う(バーン!!

 

…怒らないでください。嘘じゃないですって! むしろ一番多いのがこのパターンです。

 

「それじゃあミニチュアにならないジャン」と思うかも知れませんが、葉っぱの細かい木の枝をイイ感じに剪定して使っています。

作らなくても多量に調達でき実物のリアリティがあるので、何だかんだで費用(労力)対効果に優れているという訳。

 

どんな種類の木を使うかというと、それはもう特撮では何十年とひたすら定番で使用している木がありましてそれは…

 

 

じゃーん!

特撮業界・裏のスーパースター、

ヒムロ先輩す。

 

 

どうですか、この葉ぶりの細かさ。

これならUPになってもミニチュアに馴染みます。さすが先輩!伊達にカッコイイ名前してる訳じゃない!!

ヒムロ先輩が出演していない日本の特撮作品は本気で探さないとなかなか思いつかないのでは…という大物っぷり!

 

 

 

              ご好評をいただいた「特撮博物館」でも”ヒムロ杉”として、そのご活躍の割には控えめにですが紹介されていました。

 

              …が、

 

              このヒムロ先輩。

 

              実は

 

              …杉じゃないんです!

 

ヒムロ  :マツ目ヒノキ科ヒノキ属サワラの一園芸品種名

スギ   :マツ目ヒノキ科スギ亜科スギ属スギ

 

                                     だそうで、遠くはないけれど別の種のようです。本家筋のヒノキ爺ちゃんの従兄弟のスギ大叔父さん、みたいな感じなのかな?

 

じゃあ何故”ヒムロ杉”と呼ばれてるかというと、勝手な想像ですが、多分「杉ッぽいから」ではないでしょうか。(無責任)

                                     なお、ヒムロでない普通のサワラは全然杉ッぽくなく、ヒノキっぽい平たい葉をつけるとのこと。

 

ただの”ヒムロ”では、「どこの氷室さんかな?」と思っちゃうけど、”ヒムロスギ”って言えば「あ、木の話か」って解りますもんね。

              うんきっとそういう理由だ。…たぶん。…おそらく。

 

因みにヒムロを漢字で書くと”姫榁”もしくは”檜榁”だそうです。エッ!?”氷室先輩”じゃなかったんだ…orz(でも姫榁もカッコイイ)

 

”姫榁”というのは「ヒメ」+「ムロ」で、優しい”ムロ”(もしくは小さいムロ)という意味だそうで、

曰く、”ムロ”という別な木があってその別名を”ネズミサシ”。チクチクして痛いので大昔は鼠避けに使われていたんだとか。

                                      (全部付け焼刃知識。●ーグル先生有難う。)

 

一方、我等がヒムロ先輩は一見同じようにトゲトゲして見えても、いざ触ってみると すごく柔らかい! フワフワして痛くない!!

先輩、その優しさ…素敵。

 

がしかし!荒っぽい特撮の現場はこんな優しいヒムロ先輩をも一変させてしまうのでありました。

酷使の果てに生気を失った先輩の無残な姿がこちら…

 

 

か、枯れてらっしゃる…(;_;)

 

こうなるともうオシマイです。触ればボロボロ崩れ、襟首やら袖口等からシャツの中に入った日にゃあ…

 

           「ぎゃぁあ! イテテテテ!! チクチクするぅ~!!!」

 

あの優しかった面影はもう有りません。先輩、心まで荒みきってしまったのか… (T人T)

号泣。 (チクチクが痛くて)

 

…このチクチクはヒムロ先輩の植わったカポック山を運んだ時など、特美助手が皆通って来た道だったりします。狭~い業界あるあるです。

 

ヒムロという木は、園芸品種という事からも解るようにそんなに特殊な木ではなく、探せば生垣や庭木として立っていることもあります。

最近ではクリスマスリースの材料としても人気が有るようですョ。

 

ただし、あまりに有能なヒムロ先輩につい頼りっきりになり勝ちですが、全部同じではツマラナイですよね。

ということで、ヒムロ以外にも密度感のある植物を鉢植えなどで見つくろってアクセントに使用することもしばしば。

 

所謂「コニファー」の中にはヒムロによく似たものも散見され、

「海外のSFXマンたちはきっとこういうのを使ってるんだろうなぁ… (ヒムロ=園芸品種=日本にしかない!?から)」等と想いを馳せたりしたものです。

 

なお、鉢植えの形のまま、まるごと造葉で出来ている物も利用しています。

コレなんかは葉っぱが平たいので、それこそサワラかヒノキなのでしょうね。

 

 

これらに加えてこのごろは、枯れないヒムロなる物も使っています。

 

単価が大変お高くなるので生木のヒムロのように多用はしませんが

放っておいてもチクチクにならず、いつまでも優しい先輩でいてくれます。夢のようだ… (あれ、痛くないぞ…ほんとに夢かも!?)

以前は先輩に不向きだった、長期展示のジオラマにも活躍してくれています。

 

このように、基本的な方法論は戦時中(!)から連綿と引き継がれている特撮現場でも、

細かい部分や地味な部分で少しずつ革新が起きていたりします。

 

枯れないヒムロは先述のクリスマスリースにも使われている、プリザーブドフラワーの技術の賜物です。

 

何を隠そう、10月8日は

「木の日」であると同時に、なんと

「プリザーブドフラワーの日」でもあります。

ちょっとした偶然ですね。

 

 

(な)

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9月1日

2017年09月01日 | 日常。
「大ゴジラ特撮王国KAGOSHIMA」はいよいよ9月3日まで!

おかげさまで昨日4万人目のお客様を迎えることが出来ましたが

まだの方はお急ぎください!


でもその前に…今日9月1日は何の日かご存知ですか?



…そう、「防災の日」です。

「政府、地方公共団体等関係諸機関をはじめ、広く国民が台風、高潮、津波、地震等の災害についての認識を深め、これに対処する心構えを準備する」日ということになっています。
防災の日が9月1日になったのは、大正12年(1923年)の今日、11時58分に発生した「関東大震災」に由来しているそうです。


関東大震災発生直後の様子が写された写真が、当社所蔵の資料の中に有りました。





…失礼しました。
皆さんお気付きかも知れませんがこれは特撮映画で使われたミニチュアセットの記録写真です。
そもそもカラー写真であるという時点でバレバレなのですが

在りし日の、凌雲閣(浅草十二階)も…


 

ご覧の有様に…




現存していない建築物の再現と、その崩壊
…ミニチュア特撮の存在価値を2つ実証した例と言えます。

関東大震災に限らず、映画では史実・空想を問わず様々な地震の場面が描かれてきました。
SF・怪獣ものと同様のスペクタクルとして、あるいはドラマ展開上の重要な要素として。

当然、そこには特撮の映像が必要とされてきました。
中には実録映像と見紛うレベルのものもあり、絵空事と割り切って楽しめない方もいるかも知れません。


ただ、実際の被災経験者でない場合、つい災害の恐怖もそれへの備えも忘れがちです。

「天災は忘れた頃にやってくる」

防災の日が制定されたのも、脅威を忘れず備えを心がけることを思い出してもらうためです。

地震災害を描いた映像を見て恐怖するのも、心がけを促す一助となるかもしれません。
最近では、まさに地震発生中や災害直後の記録映像が容易に見られるようになりましたが、昔はなかなかそうもいかなかったように思います。

映画の場合、嘘偽りの無いドライな記録映像が訴えてくる物には及ばない点も多いかと存じます。
しかしその前後にあるドラマや、感情を喚起するよう設計された映像などにより、記録映像とはまた違ったインパクトを鑑賞者に与えることが出来るのではないでしょうか。

災害を娯楽の要素として扱っているので不謹慎だとの考え方もあるでしょう。
そのことは我々も常に気をつけねばならない点ですが、多くの映画では非常時の備えに対する啓発や、災害に見舞われた人々へのエールという意味合いも含まれています。
もしお気が向いたなら、何か災害を扱った映画をご覧になっては如何でしょうか。鑑賞されながら、ご自身がその場に居合わせたら…等と思いを巡らせてみるのも無駄ではないと思います。
(勿論、単純にスペクタクルを娯楽として堪能されても結構です)

なお、9月1日が防災の日とされた理由としては、関東大震災に加え、今日が所謂「二百十日」にあたることも挙げられるということです。
台風シーズン到来。
こちらにも十分な備えをしたいものです。




(な)
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