この日は当初の予定では長崎に帰るだけでしたが、せっかく近くまで来ているのだからと竹原に寄ることにしました。
竹原については勇の次の歌を知っているだけでした。
太腹をゆらら揺すりて酔ひにけり竹原酒の樽となるべう (「天彦」)
竹原は酒所だろうから、勇が飲んだであろう竹原の酒をお土産に買って帰ろうと思ったのでした。
目指したのは

藤井酒造酒蔵交流館


漆喰の白壁と木の格子がいい雰囲気を醸し出していました。
ここに至るまでの町並みもそうでした。



酒を買うだけだったのですが、この町の雰囲気が気に入り散策することにしました。
寺があり

古い町並みがあり


洋館もありました。

そこの庭に

「マッサン」のモデル竹鶴政孝・リタ夫妻の像が

そういえばマッサンは老舗酒蔵の生まれでした。でも、彼は日本酒でなくウヰスキーの道に進みましたが。
長い坂を登ると

京都清水の舞台を模して建てられたという普明閣




古い蔵


賴惟清旧宅(賴山陽の祖父の家跡)






賴山陽の詩碑


賴山陽は子どもの頃、この祖父の家に来ていたとのことです。
おもしろき酒ほがひかな逞しき肩そびやかし賴とこそ告れ
この歌は、歌集「天彦」に出ています。どこで詠んだ歌か書いてありませんが、これも竹原の歌で、「賴」は賴山陽のことかと思えるようになりました(違うかも知れません)。
風車



木のぬくもり


木の格子や白壁の町を歩いていると勇の頃にタイムスリップしたような感覚になりました。ここに宿泊すればレトロな町の余韻を肴に竹原酒を飲めるのですが…
「酒ほがひ」は家に帰ってからのお楽しみと

お土産を買いました。
無地に家に帰り着くと別のお土産が届いていて感激しました。
それは吉井勇の資料3冊です(詳しくはこのシリーズ⑳の「岩城島」に)。

こうして私の「吉井勇の『歌行脚』の足跡を辿る旅」が終わりました。
広範囲におよんだ勇の歌行脚からすると、今回の旅はその一部分ですが、四国、とりわけ猪野々は行きたいと思い続けていた所でした。
セカンドライフの夢がやっと実現しました。
旅を終え一月が経とうとしていますが、その間、旅の余韻に浸りながら振り返りをしています。
このブログもそうです。
「猪野々巡り」で4本、「歌行脚の足跡を辿る」で24本、合計28本アップしましたが、ブログを綴っている時間も私にとって幸せな時間でした。
―終わり―