まんだの読書日記

小説の感想メイン。た~まにビーズやペパクラも。
放置しっぱなしで申し訳ありませんでした。ただいま再開準備中です。

「ルート225」藤野千夜

2006-01-14 00:01:32 | 和書
◆『ルート225』藤野千夜 / 新潮文庫

▽あらすじ

町も人も学校も、いつもと同じようなのにどこかが微妙に違ってる。
何より、ここにはパパとママがいない。
エリ子とダイゴ、中学生の姉弟が迷い込んだおかしな世界。
果たして二人は元の世界に戻れるのでしょうか。

▽コメント

パラレルワールドの冒険。あらすじを見るとそう思えるのだけど、このお話はちょっと違います。
何せ野球選手がいつもより微妙に太ってるだの、友だちと微妙に話がかみ合わないだの、違いが微妙なものだから、本当にそこが異世界なのかもなかなか確信が持てません。
これが元の世界と全く違う世界だったら「何としてでも帰らなくちゃ」と必死になるところ。
でもこの“微妙に違う世界”では、「おかしいのは周りじゃなくて自分なんじゃないかな」なんて思ったり、「気のせい気のせい」と見ないフリすることだってできるのかもしれません。

そんな宙ぶらりんな気持ちを抱えながら“もう一つの日常”を過ごしていく内に、エリ子とダイゴはこれまで自分たちが気づかないふりをしてきた家族や友人との関係や、自身の問題に目を向けていきます。
これだって、全くの異世界であれば、こんなにも落ち着いて自分を見つめることなどできなかったでしょう。
それこそが、「15」と言ってしまえばそうかもしれないけれど、少しだけ違う、「ルート225」ならではの世界なのではないかなと思います。

中学2年生のお姉ちゃん、エリ子ちゃん。
お話は彼女の一人称語りなのですが、面倒な事からはすぐに目をそらして避けようとしたり、弟や友人にはヒドいことをずばずば言うわ心の中でも他人に対してけっこう嫌らしい言葉が目立つので、最初は「なんなんだこの子」と反感を感じる人も多いと思います。
私も最初は呆れっぱなし。それでも読み進めるうちに、そんな自分やそれを強いる不条理な社会に対する苛立ちや、口では何と言っていてもやっぱり弟を大切に想う気持ちが伝わってきて、彼女なりにいろいろ悩んで考えているんだと感じられます。

ラストはちょっぴり意外、きっちりすっきり問題解決をする結末をお好みの方には中途半端に感じられるかも知れません。
しかしながら、それまでと違った世界を知り、前向きに生きていこうという強さを身に付けたエリ子ちゃんの姿が見られ、14歳・ルート196から15歳・ルート225へ、しっかりとした成長の物語が窺えます。

2006年初投稿

2006-01-08 11:13:32 | 日々のいろいろ
あけましておめでとうございます☆
もう1週間もたってしまいましたが、遅ればせながら新年のご挨拶です。

いつも見に来て下さるみなさま、ありがとうございます。
昨年はしばしば更新が滞りご迷惑をおかけしましたが、
今年もなんとかお正月を迎えることができました。

私事ですが、今年は就職活動に卒論制作にと忙しい日々になりそうな予感です。
ブログの方も細々ながら続けていきたいと思っていますので、
どうぞこれからもよろしくお願いします♪