◆『ダブ(エ)ストン街道』 朝暮三文 / 講談社文庫
▽あらすじ
誰も行き着くことができないと言われ、その呼び名さえ定かではない未開の地、ダブ(エ)ストン。
行方不明の恋人から届いた葉書を頼りにその島をさがしていたケンは、旅の途中で船が難破し、気が付くと偶然その島にたどり着いていた。
濃い霧によって足元の道さえ見えないようなこの土地で、迷いつづける住人たち。
森で出会ったアップルと名乗る郵便配達人とともに、ケンは恋人を見つけ出し島から脱出しようと歩きつづける。
▽コメント
気がついたら不思議な島に…というあらすじで 『オーデュボンの祈り』伊坂幸太郎 に似ているのかなぁと思ったら、この『ダブ(エ)ストン街道』はもっともっとフシギ系。
森をさ迷う蝶ネクタイの熊さん。
海を漂う幽霊船の、コミカルな乗組員(幽霊)コンビ。
故郷のアマゾンに焦がれる半魚人。
ドン・キホーテばりのからまわりっぷりを見せる暴走騎士。
などなど、迷い続けて苦しんで、もっと殺伐としていてもはずなのに、このダブ(エ)ストンの住人たちはどうにものほほんというかなんというか、おとぎ話的な雰囲気が漂っております。
とにかくおかしな住人たちが、出会って別れてニアミスなんかもして。
そんなバラバラな彼らが、主人公ケンに吸い寄せられるようにして、次々と彼に接触していきます。
ケンを中心に、これらいろんな住人たちの動向がパラレルに描かれているのですが、これがなかなか面白い。
フラットキャラクターというのでしょうか、キャラクターごとにお決まりの台詞や行動なんかがばっちり決まっていて、登場するとすぐに「あ、このキャラだな」と浮かんできて、とても楽しいです。
当然、そうした台詞や行動は繰り返し繰り返し現れるのだけれど、ちょっとしたヒネりが加えられたりしていて、決して単調ではありませんよ。
単調でないどころか、展開ははっきりいってめちゃくちゃ。
ツッコむべきか怒るべきか、野球盤の「消える魔球」なみの変化球が次々とおそってきます。
メフィスト賞受賞作ですが、ミステリというよりファンタジーですね。
この世界観を受け入れられるかが評価の分かれ目だと思いますが、私はけっこう楽しめました。
なにより、これだけやってそれでも最後にほろりと感動させてくれたりするのは、反則です。
クラシック音楽からとってきている章題はどうも作品の雰囲気と合わない感じがするのですが、章の扉ごとについているちょっとしたアイテムのイラスト&説明文は可愛いです♪
万人向け……とは言い難い作品ですが、不思議ワールドに浸ってみたい!という方はぜひ、手にとってみてはいかがでしょうか?
▽あらすじ
誰も行き着くことができないと言われ、その呼び名さえ定かではない未開の地、ダブ(エ)ストン。
行方不明の恋人から届いた葉書を頼りにその島をさがしていたケンは、旅の途中で船が難破し、気が付くと偶然その島にたどり着いていた。
濃い霧によって足元の道さえ見えないようなこの土地で、迷いつづける住人たち。
森で出会ったアップルと名乗る郵便配達人とともに、ケンは恋人を見つけ出し島から脱出しようと歩きつづける。
▽コメント
気がついたら不思議な島に…というあらすじで 『オーデュボンの祈り』伊坂幸太郎 に似ているのかなぁと思ったら、この『ダブ(エ)ストン街道』はもっともっとフシギ系。
森をさ迷う蝶ネクタイの熊さん。
海を漂う幽霊船の、コミカルな乗組員(幽霊)コンビ。
故郷のアマゾンに焦がれる半魚人。
ドン・キホーテばりのからまわりっぷりを見せる暴走騎士。
などなど、迷い続けて苦しんで、もっと殺伐としていてもはずなのに、このダブ(エ)ストンの住人たちはどうにものほほんというかなんというか、おとぎ話的な雰囲気が漂っております。
とにかくおかしな住人たちが、出会って別れてニアミスなんかもして。
そんなバラバラな彼らが、主人公ケンに吸い寄せられるようにして、次々と彼に接触していきます。
ケンを中心に、これらいろんな住人たちの動向がパラレルに描かれているのですが、これがなかなか面白い。
フラットキャラクターというのでしょうか、キャラクターごとにお決まりの台詞や行動なんかがばっちり決まっていて、登場するとすぐに「あ、このキャラだな」と浮かんできて、とても楽しいです。
当然、そうした台詞や行動は繰り返し繰り返し現れるのだけれど、ちょっとしたヒネりが加えられたりしていて、決して単調ではありませんよ。
単調でないどころか、展開ははっきりいってめちゃくちゃ。
ツッコむべきか怒るべきか、野球盤の「消える魔球」なみの変化球が次々とおそってきます。
メフィスト賞受賞作ですが、ミステリというよりファンタジーですね。
この世界観を受け入れられるかが評価の分かれ目だと思いますが、私はけっこう楽しめました。
なにより、これだけやってそれでも最後にほろりと感動させてくれたりするのは、反則です。
クラシック音楽からとってきている章題はどうも作品の雰囲気と合わない感じがするのですが、章の扉ごとについているちょっとしたアイテムのイラスト&説明文は可愛いです♪
万人向け……とは言い難い作品ですが、不思議ワールドに浸ってみたい!という方はぜひ、手にとってみてはいかがでしょうか?