読了。面白かった。
シリーズ三作目なのですが、シリーズの中では一番好きかもしれない。
あらすじは……うん、書いたら2作目読んでない人にとってはネタバレになっちゃうかな? でもまあ一応書いとくと、
前作トロピカルパフェ事件で、小山内さんとの互恵関係を終わらせた小鳩君。そんな彼に告白する女生徒が出現、「あたしとつきあっちゃおうよ」。一方の小山内さんにも彼氏候補:瓜野が出現。彼は新聞部で学外の事件を取り扱おうと躍起になっていた。
町を騒がす連続放火魔事件。追いかける瓜野。暗躍する小山内。事件そっちのけで小市民的カップル生活を謳歌する小鳩君。それぞれの関係はどのような決着を見るのか、といった話。
いや~、これが面白かった。
以前2作目を読み終わった感想で、日常的ミステリーを扱った1作目とは違い、2作目から小山内と小鳩の2人の成長を描くシリーズにシフトしつつある、またそうならなければならない、と書いた覚えがあるんですが(こことは別のサイトの日記です。申し訳ない)、まさにそのとおりで、しかも私の思惑を超えてくれた話になっていました。
その時の感想では、小市民を目指すと称している二人こそが、他者を上段から見下ろしている傲慢さに気がついていない小市民であることにまだ気がついておらず、今後のシリーズの流れとしては2人が自らの矮小さに気がつき、然る後に自分たちが狐や狼としての力を再び振るうようになるよう進ませるべきではないか、と締めていたと思うんですよね。しかし今作では、この「2人の矮小さ」という部分だけをふっとばし、今までの2人さえも肯定させる形で二人を見事成長させました。
それを端的に表しているのが「小市民的」という言葉。このフレーズは今作の2人にとって象徴的な言葉であり、本心はまた別に存在していることを描写したのです。それを上手く一言で言い表す台詞を、ラスト近くに用意したところも、これまた上手かったなぁ。
2人がそれぞれ付き合うことになる相手。その二つの付き合い方と、前作までの小鳩君と小山内さんとの付き合い方。この3種はそれぞれ対比されている点もまた興味深かったです。
一つは気がつかずに、しかし小市民的視点で欠点をさらけだす。
一つは気がつかずに、小市民の欠点を暴かれる。
一つは傲慢さに結びつき傷の舐めあいに終始し、上記二つの欠点に容易に落ち込む。
もっともこれにも小鳩君や小山内さんがそれぞれ言葉にしたように、いつかマロングラッセのようになれたかも知れないのです。磨耗したり尽くしたり。しかし彼らは狐と狼という力を捨てることは出来なかった。それぞれの危うさを認識した上で、自らの不肖さを実感した上で、やはり小市民という皮を被った獣のままで居ることを、今作で選びました。前作までに比べてはるかに精神的に安定しました。
単に元の鞘に納まっただけではない。そこには確かな成長がある。やっぱこういう話し好きだなぁ。
狐と狼でいる自分たちを肯定するところがシリーズ最終巻となるのでは、と前巻読了時には予想していたのですが、今作でそこまでやってしまいましたから、4作目ではどうなるんでしょうかね。
個人的には、小鳩君や小山内さん「以上」の人間が現れて、それに対して彼らがどう考えどう行動するのか、という話になってもらいたい気がします。キャラクターを前面に押し出している以上この2人に対して好意がわくのはどうしようもないことであり、ベストにめぐり合うまでのベターであることを選択した二人が、ベストになるまでの物語、という形になったら嬉しいな。
吉口さんは、次巻でも出番がありそう(笑
それはそうと、今作の小山内さんは可愛すぎる! そしてラスト一行の一文、あの台詞は素晴らしい!
やはり小山内さんも女の子だったという気がすると同時に、小鳩君へ釘を刺したのかという疑惑や、瓜野に対する彼女の気持ちなど、なんか色々想像が働いて面白いです。
とにかく満足できる本でした。まる。
追記:「小山内」さんではなく「小佐内」さんが正しいです。でも変換が面倒くさかったのでご勘弁を。
シリーズ三作目なのですが、シリーズの中では一番好きかもしれない。
あらすじは……うん、書いたら2作目読んでない人にとってはネタバレになっちゃうかな? でもまあ一応書いとくと、
前作トロピカルパフェ事件で、小山内さんとの互恵関係を終わらせた小鳩君。そんな彼に告白する女生徒が出現、「あたしとつきあっちゃおうよ」。一方の小山内さんにも彼氏候補:瓜野が出現。彼は新聞部で学外の事件を取り扱おうと躍起になっていた。
町を騒がす連続放火魔事件。追いかける瓜野。暗躍する小山内。事件そっちのけで小市民的カップル生活を謳歌する小鳩君。それぞれの関係はどのような決着を見るのか、といった話。
いや~、これが面白かった。
以前2作目を読み終わった感想で、日常的ミステリーを扱った1作目とは違い、2作目から小山内と小鳩の2人の成長を描くシリーズにシフトしつつある、またそうならなければならない、と書いた覚えがあるんですが(こことは別のサイトの日記です。申し訳ない)、まさにそのとおりで、しかも私の思惑を超えてくれた話になっていました。
その時の感想では、小市民を目指すと称している二人こそが、他者を上段から見下ろしている傲慢さに気がついていない小市民であることにまだ気がついておらず、今後のシリーズの流れとしては2人が自らの矮小さに気がつき、然る後に自分たちが狐や狼としての力を再び振るうようになるよう進ませるべきではないか、と締めていたと思うんですよね。しかし今作では、この「2人の矮小さ」という部分だけをふっとばし、今までの2人さえも肯定させる形で二人を見事成長させました。
それを端的に表しているのが「小市民的」という言葉。このフレーズは今作の2人にとって象徴的な言葉であり、本心はまた別に存在していることを描写したのです。それを上手く一言で言い表す台詞を、ラスト近くに用意したところも、これまた上手かったなぁ。
2人がそれぞれ付き合うことになる相手。その二つの付き合い方と、前作までの小鳩君と小山内さんとの付き合い方。この3種はそれぞれ対比されている点もまた興味深かったです。
一つは気がつかずに、しかし小市民的視点で欠点をさらけだす。
一つは気がつかずに、小市民の欠点を暴かれる。
一つは傲慢さに結びつき傷の舐めあいに終始し、上記二つの欠点に容易に落ち込む。
もっともこれにも小鳩君や小山内さんがそれぞれ言葉にしたように、いつかマロングラッセのようになれたかも知れないのです。磨耗したり尽くしたり。しかし彼らは狐と狼という力を捨てることは出来なかった。それぞれの危うさを認識した上で、自らの不肖さを実感した上で、やはり小市民という皮を被った獣のままで居ることを、今作で選びました。前作までに比べてはるかに精神的に安定しました。
単に元の鞘に納まっただけではない。そこには確かな成長がある。やっぱこういう話し好きだなぁ。
狐と狼でいる自分たちを肯定するところがシリーズ最終巻となるのでは、と前巻読了時には予想していたのですが、今作でそこまでやってしまいましたから、4作目ではどうなるんでしょうかね。
個人的には、小鳩君や小山内さん「以上」の人間が現れて、それに対して彼らがどう考えどう行動するのか、という話になってもらいたい気がします。キャラクターを前面に押し出している以上この2人に対して好意がわくのはどうしようもないことであり、ベストにめぐり合うまでのベターであることを選択した二人が、ベストになるまでの物語、という形になったら嬉しいな。
吉口さんは、次巻でも出番がありそう(笑
それはそうと、今作の小山内さんは可愛すぎる! そしてラスト一行の一文、あの台詞は素晴らしい!
やはり小山内さんも女の子だったという気がすると同時に、小鳩君へ釘を刺したのかという疑惑や、瓜野に対する彼女の気持ちなど、なんか色々想像が働いて面白いです。
とにかく満足できる本でした。まる。
追記:「小山内」さんではなく「小佐内」さんが正しいです。でも変換が面倒くさかったのでご勘弁を。