鉄仮面ジンと黒猫フレイアが暴れている隙に、
ケイトの父ヴェスターと巨漢の僧侶ライガは祈りの場を抜けて奥へと進む。
開いたままの扉の部屋が見え、
開いたままの扉の部屋が見え、
中に入ると大きな箱が口を開いて置かれていた。
中身は空っぽ。
この状況にライガが軽く舌打ちする。
リディアに先を越されたか。
あの女、やはり“気付いていた”のだな。
だとすると最早ここにはおるまい。
訝しげな表情のライガにヴェスターは何も語らない。
だが観察は怠らない。
木箱の隅に記載されていた焼き印はマーキュりー伯爵の領印。
伯爵がのめり込んでいた教団だと語っていた事から、
中身は空っぽ。
この状況にライガが軽く舌打ちする。
リディアに先を越されたか。
あの女、やはり“気付いていた”のだな。
だとすると最早ここにはおるまい。
訝しげな表情のライガにヴェスターは何も語らない。
だが観察は怠らない。
木箱の隅に記載されていた焼き印はマーキュりー伯爵の領印。
伯爵がのめり込んでいた教団だと語っていた事から、
伯爵から教団に提供した“何か”が入っていた事は間違いないでしょうね。
探している女性も“それ”を探していた。
そして舌打ちしたという事は、探している女性は仲間ではないという事。
もしくは元仲間ですかね。
そしてヴェスターは真意の片鱗に気付く。
なるほど・・・預言者フィアナ殿の狙いは箱の中身。
内々に済ませたい仕事だから私にフッてきたといったところですか。
そしてそれはおそらく違法的なもの。
奪い合いとなれば、いつかライガ殿と一戦交える事になりそうですね。
ヴェスターはここまで読み切り、そして軽く笑みを見せた。
ライガは箱が空なのに気を取られ、この笑みにまでは気付いていない。
「ヴェスター殿、どうやら我の探している女性はここにはおらぬようだ。
手間を掛けた挙句、無駄になってしまい済まなかった。」
「いえいえ、お気になさらず。
私が勝手に付いてきただけですから。」
この様子を、いつの間にかヴェスターの影に入り込んでいた
探している女性も“それ”を探していた。
そして舌打ちしたという事は、探している女性は仲間ではないという事。
もしくは元仲間ですかね。
そしてヴェスターは真意の片鱗に気付く。
なるほど・・・預言者フィアナ殿の狙いは箱の中身。
内々に済ませたい仕事だから私にフッてきたといったところですか。
そしてそれはおそらく違法的なもの。
奪い合いとなれば、いつかライガ殿と一戦交える事になりそうですね。
ヴェスターはここまで読み切り、そして軽く笑みを見せた。
ライガは箱が空なのに気を取られ、この笑みにまでは気付いていない。
「ヴェスター殿、どうやら我の探している女性はここにはおらぬようだ。
手間を掛けた挙句、無駄になってしまい済まなかった。」
「いえいえ、お気になさらず。
私が勝手に付いてきただけですから。」
この様子を、いつの間にかヴェスターの影に入り込んでいた
黒猫フレイアも見聞きしていた。
ケイトはその一部始終を、黒猫フレイアを通して見ていた。
向こうは収穫ゼロか。
「お姉様、凄い量の蔵書ですけど、これ全部見るんですの?」
フランソワの声にケイトは首を横に振る。
「いいえ、無い本を探して。」
「無い本?」
「例えば全10巻の本のうち、5巻だけが無いとか。
背表紙だけを確認してくれればいいわ。」
「分かりましたわ。」
ケイト、ドール、フランソワの3人で背表紙を確認していく。
すると、全何巻というタイプではないが、
ケイトはその一部始終を、黒猫フレイアを通して見ていた。
向こうは収穫ゼロか。
「お姉様、凄い量の蔵書ですけど、これ全部見るんですの?」
フランソワの声にケイトは首を横に振る。
「いいえ、無い本を探して。」
「無い本?」
「例えば全10巻の本のうち、5巻だけが無いとか。
背表紙だけを確認してくれればいいわ。」
「分かりましたわ。」
ケイト、ドール、フランソワの3人で背表紙を確認していく。
すると、全何巻というタイプではないが、
一冊分の隙間があるのをフランソワが見つけた。
隙間の両側にある本のタイトルは「悪魔の受肉」と「悪魔を受肉」。
この間にあった本って何かしら。
「お姉様、隙間を見つけましたわ。」
「意外と早く見つかったわね。」
ケイトとドールがフランソワの声に集まり、
隙間の両側にある本のタイトルは「悪魔の受肉」と「悪魔を受肉」。
この間にあった本って何かしら。
「お姉様、隙間を見つけましたわ。」
「意外と早く見つかったわね。」
ケイトとドールがフランソワの声に集まり、
同じように前後の背表紙を見る。
そして取り出し開いてみるが読めない。
何語よ、これ?
背表紙は共通語なのに、中身全然違う言語じゃないのよ。
「ドール、分かる?」
「いえ、私の脳内に登録されたどの言語とも異なります。
かなりローカルな言語かと。」
「ドールでもお手上げか。
仕方ない、この2冊持って帰ろう。」
「お姉様、解読の当てがありますの?」
するとケイトは少し渋い表情で
「一応ね・・・あんまり貸し作りたくないんだけど。」
と語っていた。
シーズン・ホスピタル第4棟院長のドクター・スノーは、
そして取り出し開いてみるが読めない。
何語よ、これ?
背表紙は共通語なのに、中身全然違う言語じゃないのよ。
「ドール、分かる?」
「いえ、私の脳内に登録されたどの言語とも異なります。
かなりローカルな言語かと。」
「ドールでもお手上げか。
仕方ない、この2冊持って帰ろう。」
「お姉様、解読の当てがありますの?」
するとケイトは少し渋い表情で
「一応ね・・・あんまり貸し作りたくないんだけど。」
と語っていた。
シーズン・ホスピタル第4棟院長のドクター・スノーは、
アメリの検査結果が信じられずにいた。
魔力が全く無い。
魔法が扱えない戦士でも魔力は少々あるというのに。
一般国民でも魔力くらい普通にある。
まるで全て奪われたようなこの測定値は異常だわ。
それに・・・。
コンコン
「失礼致します。
院長、本日の魔族の襲撃数は32体です。
全て小物ですが、アメリさんの病室に視線が向けられていたのは
魔力が全く無い。
魔法が扱えない戦士でも魔力は少々あるというのに。
一般国民でも魔力くらい普通にある。
まるで全て奪われたようなこの測定値は異常だわ。
それに・・・。
コンコン
「失礼致します。
院長、本日の魔族の襲撃数は32体です。
全て小物ですが、アメリさんの病室に視線が向けられていたのは
間違いありません。」
「病院内の被害は?」
「特にありません。
倒した魔物は全ていつも通りに。」
「御苦労様。」
看護師は一礼して退室した。
毎日のようにくる魔族の襲撃。
全く何の能力も無いアメリを狙う理由は何かしら・・・?
そしてふと、院長ならではの仮説が思い浮かぶ。
「まさか・・・。」
その仮説は、隙間にあったはずの本の内容とほぼ同一のものであった。
「病院内の被害は?」
「特にありません。
倒した魔物は全ていつも通りに。」
「御苦労様。」
看護師は一礼して退室した。
毎日のようにくる魔族の襲撃。
全く何の能力も無いアメリを狙う理由は何かしら・・・?
そしてふと、院長ならではの仮説が思い浮かぶ。
「まさか・・・。」
その仮説は、隙間にあったはずの本の内容とほぼ同一のものであった。