「IT業界の悪文」でググるとなぜかトップヒットしてしまい、調子こいています。
それくらいあまり皆さん「気にしない」でいられるのか不思議です。言語というのは変化するもので、年寄とハイスクールガールが同じ土俵で会話しても通じないことは別に不思議でもありません。この様に私が「悪文」と決めつけることが不思議と思われる方がいることも不自然ではないのです。
ということでまたこのネタで書きます。
電子書籍の販売終了で「購入した書籍が読めなくなる」と大騒動となった、「ヤマダ電機電子書籍撤退」問題。あまりの炎上っぷりに対して、ヤマダ電機が「お詫び」で出した文章をネタに、一杯飲みながら突っ込んでみました。
ヤマダイーブックの新サービスへの移行のお知らせに伴う 掲載内容不備に関するお詫びと今後の対応について(PDF)
--ここから原文
2014 年5 月29 日
ヤマダイーブックの新サービスへの移行のお知らせに伴う掲載内容不備に関するお詫びと今後の対応について
株式会社ヤマダ電機
平素は、ヤマダイーブックをご利用いただきまして誠にありがとうございます。
※1
現在の「ヤマダイーブック」のサービスに関しましては、2014 年7 月31 日に一旦終了させていただき、8 月より新たな電子書籍サービスへの移行を予定しておりますが、移行期間中におきまして、新サービスへの継続にご承諾いただけないユーザー様に関しましては、お手持ちのイーブックポイント残高相当をヤマダポイント付与という形で対応させていただきます。
また、ダウンロードされたコンテンツに関しましては、新サービスへ移行後も、引き続き閲覧ができるよう、調整を行っております。
新サービスへの移行に伴いましては、既存ユーザー様の不利益とならぬよう、十分に配慮した形で対応を行ってまいります。
対応内容につきましては、決定し次第、ユーザー様へ個別にご案内を予定しております。
ご案内の内容に一部記載不備があったことにより、既存ユーザー様に誤解を生じさせてしまい、ご迷惑をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げます。
^^
--
最大の問題は
「お客様」を「ユーザ様」と書いている事。
ヤマダ電機へ行って「ユーザ様」って声かけられたことって普通はないですよ。明らかに関連会社か下請けのIT事業者が書いた一文だとバレバレですね。あるいはこのニホンゴは本当に日本人が書いたものなのか?
少なくとも小売業であれば、「ユーザ様」とは書きません。お客様ではなく「ユーザ様」と書くことで、明らかに「電子書籍」が「商品」ではなく「サービス」である、という書き手の無意識な意図が滲み出ています。これではいかん。
客が「買った」ものを否定しているわけですね。ヤマダ電機って、販売業じゃなかったっけ? 明らかにヤマダ電機本体のニッポン人の担当者が書いたものではなく、どこかのニンゲンに書かせたものでしょう。ノーチェックで公開したヤマダ電機はいつから外資系になったのかな、と不思議に思いました。
※1の一文に「させていただく」が二度出ています。これはイエローカード2枚出てきて即退場に近い一文ですね。少なくとも、この一文に終止符が入った文章であれば、レッドカードは出しませんが、句点だけでこの一文を書いたこの猛者は、足ひっかけて、さらにユニフォームをつかんだ位のダブルファールです。一発レッドの即刻退場ものですね。
「形」の乱用。
この一文には「形」という言葉が二度出てきています。おぉ、これは新しい技の形だな、と感心している形じゃねぇよ、という形ですね。
シツコイ。
「これの方をあっちの法に持ってきて、あっちの方に確認する方向で検討します」みたいな、方角でごまかさずに「形」でごまかそうという。新手法です。中々名悪文ですね。
「おります」で許されるのか?
この一文章に「おります」が3回出てきていますね。「折ります」なのか Orz なのかよくわかりません。3度書けば丁寧な表現なのかどうか、私はそうは考えません。黙って千羽鶴でも「折って」、「ユーザ様」の今回の不幸と今後のご多幸でもお祈りしてください。
言い訳と今後の対応であれば「します」「やります」と書けばいい所を「おります」と書いたことで読んだ側の「心も折れます」例えやらなくてもお役所言葉で「検討します」と言えばウソにはなりません。なるほどお役所言葉って便利だなぁ。
一行が長すぎる。
正直言って、読んでいてこれほどイライラして、集中できない悪文は中々ないですね。
まぁ、全体を通して感じることは、筆者が相当追いつめられてこの文章を書いたという事が痛いほどわかる事です。まっこと、クレーム対応の鑑のような悪文、ご苦労様です。書き手の担当者さんに同情します。おそらく正しい日本語教育を受けた方ではなさそうですが、努力は認めましょう。
また、ヤマダ電機という「小売業」が間違って電子書籍などという「ITビジネス」に突き進んで大失敗してしまいました、そんなチグハグなビジネスの失敗を、この迷文で適格に表れています。
それくらいあまり皆さん「気にしない」でいられるのか不思議です。言語というのは変化するもので、年寄とハイスクールガールが同じ土俵で会話しても通じないことは別に不思議でもありません。この様に私が「悪文」と決めつけることが不思議と思われる方がいることも不自然ではないのです。
ということでまたこのネタで書きます。
電子書籍の販売終了で「購入した書籍が読めなくなる」と大騒動となった、「ヤマダ電機電子書籍撤退」問題。あまりの炎上っぷりに対して、ヤマダ電機が「お詫び」で出した文章をネタに、一杯飲みながら突っ込んでみました。
ヤマダイーブックの新サービスへの移行のお知らせに伴う 掲載内容不備に関するお詫びと今後の対応について(PDF)
--ここから原文
2014 年5 月29 日
ヤマダイーブックの新サービスへの移行のお知らせに伴う掲載内容不備に関するお詫びと今後の対応について
株式会社ヤマダ電機
平素は、ヤマダイーブックをご利用いただきまして誠にありがとうございます。
※1
現在の「ヤマダイーブック」のサービスに関しましては、2014 年7 月31 日に一旦終了させていただき、8 月より新たな電子書籍サービスへの移行を予定しておりますが、移行期間中におきまして、新サービスへの継続にご承諾いただけないユーザー様に関しましては、お手持ちのイーブックポイント残高相当をヤマダポイント付与という形で対応させていただきます。
また、ダウンロードされたコンテンツに関しましては、新サービスへ移行後も、引き続き閲覧ができるよう、調整を行っております。
新サービスへの移行に伴いましては、既存ユーザー様の不利益とならぬよう、十分に配慮した形で対応を行ってまいります。
対応内容につきましては、決定し次第、ユーザー様へ個別にご案内を予定しております。
ご案内の内容に一部記載不備があったことにより、既存ユーザー様に誤解を生じさせてしまい、ご迷惑をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げます。
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最大の問題は
「お客様」を「ユーザ様」と書いている事。
ヤマダ電機へ行って「ユーザ様」って声かけられたことって普通はないですよ。明らかに関連会社か下請けのIT事業者が書いた一文だとバレバレですね。あるいはこのニホンゴは本当に日本人が書いたものなのか?
少なくとも小売業であれば、「ユーザ様」とは書きません。お客様ではなく「ユーザ様」と書くことで、明らかに「電子書籍」が「商品」ではなく「サービス」である、という書き手の無意識な意図が滲み出ています。これではいかん。
客が「買った」ものを否定しているわけですね。ヤマダ電機って、販売業じゃなかったっけ? 明らかにヤマダ電機本体のニッポン人の担当者が書いたものではなく、どこかのニンゲンに書かせたものでしょう。ノーチェックで公開したヤマダ電機はいつから外資系になったのかな、と不思議に思いました。
※1の一文に「させていただく」が二度出ています。これはイエローカード2枚出てきて即退場に近い一文ですね。少なくとも、この一文に終止符が入った文章であれば、レッドカードは出しませんが、句点だけでこの一文を書いたこの猛者は、足ひっかけて、さらにユニフォームをつかんだ位のダブルファールです。一発レッドの即刻退場ものですね。
「形」の乱用。
この一文には「形」という言葉が二度出てきています。おぉ、これは新しい技の形だな、と感心している形じゃねぇよ、という形ですね。
シツコイ。
「これの方をあっちの法に持ってきて、あっちの方に確認する方向で検討します」みたいな、方角でごまかさずに「形」でごまかそうという。新手法です。中々名悪文ですね。
「おります」で許されるのか?
この一文章に「おります」が3回出てきていますね。「折ります」なのか Orz なのかよくわかりません。3度書けば丁寧な表現なのかどうか、私はそうは考えません。黙って千羽鶴でも「折って」、「ユーザ様」の今回の不幸と今後のご多幸でもお祈りしてください。
言い訳と今後の対応であれば「します」「やります」と書けばいい所を「おります」と書いたことで読んだ側の「心も折れます」例えやらなくてもお役所言葉で「検討します」と言えばウソにはなりません。なるほどお役所言葉って便利だなぁ。
一行が長すぎる。
正直言って、読んでいてこれほどイライラして、集中できない悪文は中々ないですね。
まぁ、全体を通して感じることは、筆者が相当追いつめられてこの文章を書いたという事が痛いほどわかる事です。まっこと、クレーム対応の鑑のような悪文、ご苦労様です。書き手の担当者さんに同情します。おそらく正しい日本語教育を受けた方ではなさそうですが、努力は認めましょう。
また、ヤマダ電機という「小売業」が間違って電子書籍などという「ITビジネス」に突き進んで大失敗してしまいました、そんなチグハグなビジネスの失敗を、この迷文で適格に表れています。