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亜矢の頬を止めどなく流れる涙は、もう止める事は出来なかった。
今までずっと我慢していた気持ちに、歯止めが利かない。
(会いたい。祐二に会いたい。
どうしてこんな風になってしまったんだろう)
「ねぇ、お姉ちゃん…」
男の子が、泣き伏せた亜矢を覗き込むように、体をかがめて話しかける。
「お姉ちゃん、僕の言う事を信じる?
信じてくれるなら、今夜クリスマス塔の前に来てよ」
「無理よ、だって今日はクリスマスだもの。
ひとりで行ったって、何があるわけじゃないわ。
幸せそうな恋人たちの姿を見て、私にどうしろと言うの? 」
「じゃ、とにかく来てね。待ってるから」
亜矢は慌てて顔を上げたが、男の子の姿はもうどこにもなかった。
しばらくベンチに座ったまま、亜矢は色々な事を考えていた。
祐二との思い出。
一緒に過ごした日々。
楽しい事はすぐに思い出せるのに、ギクシャクとしてうまくいかなくなってからの事は、まるで鍵をかけた扉の向こう側のように、見ることも触れることも出来なかった。
そして、その扉に鍵をかけたのは自分自身で、今まで見ようとも触れようともしなかったのだと気付いた。
今思えば、去年のクリスマス、祐二の言った「待っててくれ」という言葉。
あれは一体どんな意味があったのだろうか…?
『お姉ちゃん、僕の言う事を信じる?
信じてくれるなら、今夜クリスマス塔の前に来てよ』
男の子の言葉をふと思い出す。
(あの子は、なんであんなに信じて欲しいと言うのだろう。
今さら…何がどうなるのか分からないけど、さっき冷たくしちゃったお詫びも兼ねて、行ってみようかな。
今夜…クリスマス塔へ)
そしてあの男の子は…
今回のストーリーは、ほんっと、苦手分野に挑戦中なんで(恋愛モノは、苦手なんですわ)まどろっこしさもあるとは思うけど、違う意味でも楽しめる小説にしたいなって思ってます♪
また、覗きに来てくださいね