結婚二題

　戦前くらいまでは、お見合い結婚どころか親同士が相手を決めるので、結婚式当日に初めて結婚相手の顔を見たなんて例も普通にあったようであるが、今はさすがにそんなことはなく、ほとんどが恋愛結婚である。周囲を見る限りでは、お見合い結婚はほとんど見かけないし、できちゃった結婚ですら驚くほどのことではない。そんな分類とはちょっと違うけれど、なにしろ多いのは職場結婚である。うちの職場は比較的女性が多いせいなのかもしれないが、結婚するカップルの８割くらいはそうなんじゃないかと思う。大体同じチーム内だったり、隣の課だったり、近場で働いている者同士で結婚する例が多いので、みんなは”半径5mの法則”などと言っている。半径5mの法則というのが一般的な言い方なのかどうかは分からないが、人間と言うのは近くにいる者を好きになろうとする心理が働くらしいので、これはこれで正しい法則のようではある。もっとも、仕事が忙しくてなかなか社外の人と出会うチャンスというのも少ないから、心理学なんか持ち出すまでもなく、職場結婚が増えるのも当然なのかもしれない。

　最近私の周りでは２人の元部下が結婚しているが、一人は43歳、もう一人は52歳（うろ覚えだが）の男性である。43歳の方は男から見てちょっと嫉妬したくなるくらいカッコいい奴で、仕事もできるし、性格もいい。まあ、彼なりの独特のライフスタイルを持っているのだが、それはそれでちょっと斜に構えていてカッコいいというようなタイプである。そんな男だから、なんで結婚しないのかみんなで不思議がっていたくらいで、お約束のようにホモじゃないかとか、あちこちの女に手を出して遊んでるんじゃないかとか、いろいろなことを言われていた。それがとうとう10歳年下の女性と結婚した。交際はかなり極秘に行われていたらしく、私のところには結婚式の３日前にやってきて「いやあ、ついに部下の女に手を出しちゃいました。」などと照れながら報告をしていた。これでやっと疑惑も晴れたが、こうなると、彼がパパになったらどんな顔をするのか見てみたいので、ちゃっちゃと子供でも作ってもらいたいと思っているところである。
　で、もう一人の方は、再婚なので年齢が高いのも仕方がないのだが、お相手の女性が20代で初婚の方だったので、もう会社は大騒ぎ。一回り下の女性と結婚したなんていう話はたまに聞くが、20歳以上離れていると言うのはさすがにほとんど聞かない。それも離婚した直後に若い子をもらったのだから、世の中のおじさんたちに大きな勇気と自信を与えたことは間違いない。それにしても、披露宴には孫が出席したらしいから凄いですよね。彼女の方は若いんだから、場合によっては孫より年下の叔父さんができるかもしれないし、そもそも彼女は娘より年下だったりするのかも知れない。ともかくも、長生きして頑張ってもらいたいものである。

　それにしても、こう結婚祝いを出すのが続くとなあ。”ことぶき貧乏”ってやつですな。めでたいやら、かなしいやら・・・・