B層のブログ

分かりやすく政治を語ったブログ

タイのデモの真相(2)

2009-04-18 00:03:02 | 政治(海外)
前回のブログ内容に対し、「ピントがずれてる」、「ソース元がないただの感想」、という意見があったので出来る限りソース元を提示しつつ、さらに詳しく書いてみた。


〔年々悪化するタイ情勢〕
昨日のコメントで「タイの暴動はお祭りみたいなもんだ」という意見があったが、私にはそうは思えない。確かに2年前のクーデターなら比較的平和に終わり(JANJANニュース)、国王の一声もあり事態はすぐに収束へと向かった(タイの2006年軍事クーデター)。とくに世界経済はまだ安定しておりアメリカは住宅バブルも絶頂にあった(NewYorkTimes)。タイのクーデターも日常茶飯事化しており、国民もどちらかというと軍のクーデターに理解を示してもいた。しかし、昨年の黄服(PAD:民主市民連合)デモあたりから、原油高によるインフレなど情勢が不安定になり(2007年-2008年の世界食料価格危機)、デモから本物の暴動へと発展しかけた(searchina)。結局、タクシン派が軍部を味方にできず(産経新聞)、裁判所(司法)も党の解体命令を下し(newsclip)、デモの幕は閉じた。


〔悪化していくデモの様相〕
しかし、今回の赤服(UDD:反独裁民主主義同盟)デモは、前回のような富裕層を中心とした首都の工民(労働者)によるデモと違い、地方の農民が出身だ(産経新聞)。前回のような統率が取れたイメージとほど遠く、手に武器を持った過激なデモになっている(読売新聞)。とくに今回はタンクローリーまで持ち出してきており(バンコク週報)、住民からも非難の声が上がっている(newsclip)。さらに、今回のデモはかつてのデモと経済の背景が異なる。それは昨年起きたサブ・プライムローン問題に端を発した金融危機による影響だ(サブ・プライムローン問題)。タクシン派、アピシット派を問わず、この不況による影響は現在、タイを直撃している(ASIAN VALUE CORPORATION)。さらに前回のデモによる経済的損失も大きい(タイはアジアの劣等国へ転落?)。この為、赤服の怒りはよりいっそう強いものとなっている。


〔タクシン派の誤算〕
今回、タクシン派の予想を裏切り、アピシットは最後まで譲歩をしなかった。始め、タクシン派はデモ隊で道路を占拠し、アピシット首相の退陣を要求したがこれに応じず(産経新聞)、最大の手札であったASEAN首脳会議を盾にした要求をするが(CNN)、これにもアピシットは応じなかった。代わりにタクシン派はそのまま襲撃することとなり(朝日新聞)、これはタイの経済と外交にとって大きな痛手となった(読売新聞)。これはタクシン派にとってもマイナスとなり、逆に今まで軍の出動に慎重だったアピシット派は(朝日新聞)、ASEAN首脳会議襲撃で面子を潰されたことで激怒し、アピシット首相は軍による鎮圧を行った(CNN)。バンコク住民もタクシン派がタンクローリーやバスへの放火などをするなどしたためデモへの不満が高まり、地元住民2名が死んだのをきっかけにタクシン派(赤服)に対し怒り衝突するなど、タクシン派は始終劣勢の状況が続いた(毎日新聞)。最終的にタクシン派はデモが失敗とみて、批判が拡大する前に早期に撤退を決行した(日経新聞)


〔タクシン首相の狙いは何か?〕
タクシン首相の最大の狙いはアピシット政権の退陣(打倒)と自身の政界への復帰だろう(毎日新聞)。とくに昨年、最高裁判所から出された土地不正取得による禁固2年の実刑判決に対する撤回が目的と思われる(産経新聞)。すでにタクシン派は2年前のクーデターで政権を追われ、タクシン元首相自身は現在は海外へ亡命中であり、昨年9月はタクシン派のサマック首相が退陣に追い込まれ、さらに昨年12月には義弟のソムチャイ政権も崩壊した(産経新聞)。現政権下でも、不正蓄財容疑の捜査も進んでおり、有罪となればタイへの帰国や政治家としての復権が一層困難となる(毎日新聞)。その為、今回、懸けに出たと思われる。タクシン首相のチャレンジ精神については、彼の経歴を見れば予想できるのではないかと思われる(タクシン・チナワット)。時間があれば後で詳しく取り上げるつもりだが、私は彼がこれで諦めたとは思えない。他の華人同様、まだ勝機を伺ってると思われる。現に、徹底抗戦を唱え(朝日新聞)、最高幹部の1人であるソンティ・リムトンクンを銃撃している(読売新聞)。しかし一方で、旗本が悪いと見るや否や徹底抗戦の姿勢から一転し、政府に歩み寄りの姿勢もみせ始めている(日経新聞)


なお、できる限りソース元を提示したつもりだが、かえってブログが見づらくなってしまった。試行錯誤の必要があるかもしれない。今回のタイのデモはそこまで詳しく知りたい人はあまりいないだろうから内容が面白くないかもしれないが、とりあえず載せておく。今日はカルデロン一家について論じるつもりだったが、もう時間がないので予定を変更して日を改めて書くことにする。



↓管理人を応援して下さる方はクリックを。
人気ブログランキングへ
※この記事の「ランク」が上がり、作者がやる気になります