天使の微笑Ⅲ
ジニョン・・・あなたの目に僕はどんな男に映っている?
ジニョン・・・そばにいて欲しい・・・
僕の言うことを聞いてもらいたいんだ・・・
これほどあなたを必要としている人はいないはず・・・
ジニョン・・・明日も僕を愛してるって言って、今日と同じように・・・
帰りの車の中でもあなたはとても上機嫌だ・・・
「ドンヒョク?みんなとっても良い人たちね、とても居心地が良かった」
「ああ・・」
「いろいろと勉強にもなったし、ありがとうドンヒョク」
「それは良かったね」
心の棘を隠し、僕は平静を装う・・・。
「ヨンジェさんて私と同じ年だったのよ、何だか彼女しっかりしてて、
大人だったわ・・・何だか憧れちゃうな」
「そお?・・・」
「あの落ち着いた笑顔、素敵だった・・・」
「そうか?・・・」
「もう、ドンヒョクったら、もっと回りを見なくっちゃダメよ」
「そうだね・・」
「ジョンジェさんは何歳ぐらいなのかしら・・・」
「・・・・・。」
「きっとドンヒョクと同じ年ぐらいね」
「・・・・・。」
「彼はサービス業のプロね、お客様に合わせるのがとっても上手だったわ」
「・・・・・。」
「ずっと彼が担当なの?」
「ジニョン、夕食どこかで食べて行こうか?」
「え?ああ、そうね・・・」
ジニョン・・・あなたは僕を愛してると言った
いつまでも一緒にいると・・・
ジニョン・・・僕はどうしようもない男だね・・・
愛することをもっと学ばなきゃダメかな?
僕はただの男・・・ごめんよジニョン・・・
僕の心の波を感じてか、あなたが僕の肩にもたれ掛かる
「ドンヒョク、車止めて・・・」
「え?どうして?」
「いいから止めて」
「・・・・・。」
車を寄せて止める
前を向いたまま沈黙が続く
深いため息があなたの口から零れた。
「ふぅー、私あなたに言いたいことがあるの」
「・・・・・。」
「もう、お願いだから黙らないで」
「・・・・・。」
「こらっ、ドンヒョク!こっちを見なさい」
ゆっくりとジニョンの方へ顔を向ける・・
あなたが僕の顔から目を離さないでいる
今僕はどんな顔してる?
本当に情けない男だろ・・・
「ドンヒョク・・・よく聴いて」
あなたは僕が俯かないように、両手を僕の頬にあて、
しっかりと自分の顔に向かせる
「ドンヒョク・・・ちゃんと私の目を見て」
もう降参だ・・・僕はジニョンの瞳を見つめた。
あなたの瞳には僕が映っている・・・
情けない男が・・・
「ドンヒョクよく聴いて・・・
言葉で言い表せないくらい・・あなたが好き・・・愛してる・・・」
あなたが僕の顔を引き寄せた
「ドンヒョク・・・私の名前を呼んで・・・」
あなたはその細い指先で僕の唇を優しく撫でる・・・
そしてゆっくりと近づき目を閉じた
僕はあなたの唇が僕の唇に重なる前にあなたの名を呼ぶ・・・
「・・・ジニョン・・・ジ・・ニョ・ン・・・」
切ないキスがいつまでも二人を離れさせないでいた・・・
ジニョン・・・ありのままの僕を受け入れてくれる人
あなただけが僕の心をコントロールできる・・・
ジニョン・・・抱きしめて・・・
そして、今だけは・・・僕にだけ微笑んで・・・
寝室の鏡の前で、くるくると表情を変えながら髪をいじるあなた
「あー、もったいないな、せっかく素敵にしてもらったのに、
明日になったらまたキュッとまとめたスタイルよ・・・」
「キュッ、も素敵だよ」
「もう飽きちゃったわ、もっと女らしいスタイルで仕事したいわ」
「それは困るな・・・これ以上あなたの魅力をみんなに知られるのは」
「もう、何言ってるの誰も何とも思わないわよ」
「そうだとあり難いんだけど・・・」
鏡の前に立つあなたの後ろに回り、柔らかな髪を優しく束ねる
「お客様、どんなスタイルにいたしますか?」
優しく首筋にキスを・・・
髪を下ろし片方の髪を耳にかける
「おろしたスタイルもお似合いですね」
耳にも甘くそっとキスを・・・
「とっても素敵なスタイリストさんですね・・・
すべてあなたにお任せしますわ・・・」
そう言うとあなたは鏡の中で微笑んだ
天使の微笑を・・僕だけに向けた微笑を・・・
「では、こちらへ・・・どうぞ」
僕はあなたをベットへといざなう
ベットに腰を下ろし、あなたの髪を何度も優しく撫でる・・・
顔にかかった髪を優しく撫で上げあなたの頬に触れる・・・
そしてゆっくりとあなたの唇を奪う・・・
そのままベットに倒れこみ、僕の想いをあなたに届ける。
甘い夜の時間が始まる・・・
・・・あなたのすべてを僕に見せて・・・
・・・僕だけに・・・
おわり