熊野で長い間お付き合いしてきた国道42号線を離れ国道309号線に入る。道が狭くなり、トンネルも狭く素堀なので不気味である。三桁国道らしい山間部を細々とつなぐ道である。
北山川に沿って走りやがて国道169号線に合流。別名東熊野街道といい熊野と吉野を結ぶ古くからの街道である。近年世界遺産にも登録された熊野古道に通づる道でもある。熊野古道は昔の山を越える道なので重なる区間はほとんどない。近年熊野古道を歩くのが一部でブームになっているらしく古道の一部が遊歩道として整備されている。
道は北山川に沿って走る。川に沿って小さな集落が点在している。
しばらく上北山村を走り、やがて前方に高い山々が見えてくる。
降水量日本一とも言われる大台ケ原も近い。幸いなことに本日は晴天である。高い山々を3km以上もある新伯母峯トンネルで抜けると下り勾配が延々と続く。次に5kmくらいもあるトンネルのきつい下り勾配が延々と続く。トンネル内にループ線がある。ループ線を建設しなくてはならないほどの高低差なのである。このままだとフットブレーキが焼き付きそうなのでエンジンブレーキを使いながら、80kmオーバーでぐいぐい下って行く。
国道169号線は三桁国道ながら三重と奈良をつなぐ大変な建設費がかけられた主要国道である。勾配を下り終えたところが大迫ダム。ここから吉野川の上流に沿って道は進む。渓谷沿いに集落が続く日本の山村によくある光景であるが、吉野に近いだけあって古くからの文化の香りが漂ってきそうな風格のある山村が続く。吉野郡川上村この名前を覚えておこうと思う。
また、長いトンネルで山を抜け国道370号線に合流。ようやく熊野、吉野の山を抜けたようである。宇陀市を抜け、榛原町到着。ここまでくれば近鉄大阪線の沿線であり、大阪までは距離はあるが通勤圏ともいえなくもない。
榛原からは国道370号線が369号線となり、やがて国道25号線、通称名阪国道に入る。名阪国道は、一般国道25号の三重県亀山市~奈良県天理市間のバイパス道路である。西名阪自動車道と東名阪自動車道とを結ぶ自動車専用道路であり、名神高速道路と並んで関西と中京とを結ぶ幹線道路となっている。全長約73km。
全区間4車線だが、福住ICと天理東ICの間にΩカーブと呼ばれる急カーブ(最小曲率半径150m)があり、最高速度は全区間60km/h(雨天等の悪天候時は50km/h)に制限されている。また、通常の高速道路よりもインターチェンジの数が多い。交通量が多くトラックを中心とした事故が多発しているため、名阪国道は日本一事故の多い国道であるとも言われている。この道路は、過渡期の自動車専用道路であるため、構造上の規格を満たしていない部分が幾つかある。インターチェンジの加減速レーンはかなり短く、自動車専用道路の規格を満たしていない箇所が多い。SA/PAも存在するもののほとんどが一旦国道から降り、再流入するという形式をとっている。
そのSA/PAも含めて流入の際加減速余裕が全くないという、2006年現在の高速道路どころかいわゆる国道バイパスでもあり得ないほどの、ドライバーに緊迫した判断を迫る入口が、大阪・名古屋方面共に複数存在する。ことに、かつて高峰SA(名古屋方面)は加減速車線が全く無いうえに坂道かつカーブの途中にあるため、特に合流時には相当の注意を必要とするなど、本線への流入、流出時に危険が伴うことがあった。現在の高峰SAは、下り線のみ加減速車線を付加する工事が完了している。
最高速度は60km/hに制限されているが、両端に接続する高速自動車国道が80km/h制限であることもあって、走行車両全般に制限速度超過で運転しているのが実情である(100km/h以上を出す車も珍しくはない)。しかし、制限速度を忠実に守って走行している車もあり(いわゆる覆面パトカーも多い)、勾配が急な区間が多いため、大型車やトラックが低速で走行していることもあるので、追突事故が多発している。「20km/hで坂道を上るトラックに60km/hで追い越しをかけたら、 120km/hで走行する乗用車にパッシングを受ける」ことが日常茶飯事である。この為、一度事故が発生すると後続の渋滞の中で事故が多発することがあり、そのせいもあってか名阪国道は「日本一事故の多い国道」であるとも言われている。通行料金は無料。自動車専用道路なので、125cc以下の二輪車は通行禁止となっている。そんな悪名高い名阪国道であるが、常時100kmオーバーで快適に走行できた。国道(酷道)42号線、日本一事故の多い名阪国道と悪名高い道ばかり通ってきたが安全運転を心がけていれば何も怖がることは無いのである。しかし名阪国道は高速道路と同じようなものだから制限速度60kmは無理がある。誰も60kmで走ってはいないし、そんな速度で走ったらかえって危険である。早く制限速度を80kmにすべきだと思う。
名阪国道のおかげで一気に距離を稼げた。しかし亀山でおしまいである。ここからは国道1号線の亀山バイパスを走る。しばらくは70kmくらいで快適に走れたのだが四日市で国道23号線に合流する頃には昨日と同じく大型車に囲まれながらの渋滞にはまりのろのろと走り続ける。四日市のコンビナートの光景が気を滅入らせる。四日市の渋滞を抜けると流れもスムーズになり、国道1号線も渋滞することなく走れた。岡崎あたりで燃料計も一番下に来てしまい心配になったが、赤ランプがついたのは豊橋市内に入ってからだった。車の説明書では赤ランプがついてから30kmくらいは走れると書いてあるがあまり気持ちのいいものではない。最後にいつものスタンドで満タンにしたから帰った。価格表示通りのリッター146円であった。尾鷲で満タンにしなくて良かった。朝8時に尾鷲を出て午後3時に豊橋に到着。走行距離320km。
2日間の走行距離660km。