goo blog サービス終了のお知らせ 

ビジネスブローカーへの道 in アメリカ

米国でビジネスブローカー(M&A仲介業)として独立を目指す日本人ビジネスマンのブログ。色々なビジネスを勝手に鑑定します!

このブログの対象と構成

2007-09-09 08:43:30 | はじめに

このブログは、僕のM&Aの現場での経験と様々な人・本・セミナーから得た知識をまとめることで、自らが将来ビジネスブローカーとして独立するためのベースを作ると共に、以下のような方々と情報・知識の共有を図っていけたらと考えています。

・既にビジネスブローカーとしてご活躍の先輩方
・僕と同様にビジネスブローカーを目指す同士の方々
・MBAで勉強中の学生の方々

・既に米国でビジネス展開されている日本企業の方々
・今後米国でのビジネス展開をお考えの日本企業・個人の方々


コンテンツは今後以下のカテゴリーに分け、逐次更新していく予定です。


[ターゲットを探せ]: 興味のある業界・ビジネスの分析

[PMI苦労話]: 買収後の苦労話(Post Merger integration)

[ビジネスブローカー]: イベント情報、ブローカー紹介など

[M&A関連書評]: 僕の読んだM&A関連書籍のご紹介


ご質問・ご意見等ございましたら、ご遠慮なく以下メールアドレスまでご連絡下さい。

mac_ueno@mail.goo.ne.jp


リスクはないの?②

2007-09-09 07:36:09 | はじめに

むしろ、実際にビジネスを買った後に予想していたようなキャッシュが得られるかどうかのリスクの方が大きな問題です。特に急成長中のビジネスを高いプレミアムを付けて買った場合は、最初から大きなリスクを抱えることになります。
また、買収資金を借入によって調達した場合は、予定通りにキャッシュが生まれてこないと借入の返済もできなくなってしまいます。

まず、買収前の社員が買収後もそのまま残ってくれるかどうか、お客さんが買収後もそのままお客さんで居てくれるかどうか、は基本的に何の保証もありません。
特に個人オーナー企業は、オーナー社長自体の魅力で社員が集まったり、オーナー社長自らが一人で営業してたりすることが良くあるので、オーナーが変わった途端に社員もお客さんも離れてしまうことが十分有り得るのです。

また、近くに強い競合が現れたり、そもそもの市場環境が変化してしまうことも有り得ます。まあ、これはどんなビジネスでも同じ話ではありますが。

経営自体は元々の社員に任せたり、外から優秀な人間を引っ張ってくることもできますが、やはりオーナーとして自らそのビジネスを経営できるという自信がないと、上手く回らないでしょう。

一方で、自分は人より上手く経営をできる、という自信を持っている人にとっては、逆に買収前よりもビジネスを伸ばし、短期間で大きなリターンを得ることも可能になります。

日本人に米国企業の経営はムリなのでは、という声も聞こえてきそうですが、僕の経験からすると、米国のサービスは一般的に日本に比べて遥かに質が悪く、日本並のサービスを実現できれば大きくビジネスを伸ばせるチャンスがいろんなところに転がっていると思います。

僕には残念ながらそのようなサービスを自ら展開していく経験もノウハウもありませんが、米国企業を買収して運営していく際のリスクを出来るだけミニマイズすることで、日本品質のサービスを米国にも広げていくことに貢献できるのではないかと考えています。


リスクはないの?①

2007-09-09 07:32:48 | はじめに
そうですね、正直言って結構一杯あります。
(ですので、専門家を使うことをお勧めします・・・)

特に気を付けて置いた方が良いリスクとその対処方法を幾つか挙げてみます。

まずは、ビジネスに必要な資産すべてが正しく権利移転されないリスクです。
不動産取引と違って、権利が公に公示されるものは限られ、更に第三者との契約は元々の契約内容によりその第三者の合意がないと譲渡できないものがあります。
ひどい時はそもそも売り手がそのような権利を持っていなかったとか、他に権利者が居て売り手単独ではその権利を売却できなかったということもあります。

通常、弁護士がまず全ての契約関係・権利関係・訴訟関係等を調べて(デュー・ディリジェンス、Due Diligence、と呼ばれます)問題なく権利移転できるかどうかを調べます。ここで問題があれば、そもそもの売買を中止させたり、移転できない権利分の値段を下げさせる交渉をしたりします。

それでもわからないリスク(過去販売した製品に対する訴訟リスクなど)が存在する可能性もある為、ビジネスの売買契約で売り手に「これ以外に問題はありません」という保証をさせ、将来もし訴訟等が発生して損害が生じた場合には売り手にその賠償をさせる、という約束をさせます。

ただ、これはM&A経験の豊富な弁護士(値段も高いですが)を使えば、ほぼ解消できるリスクでしょう。



実際には何が手に入るの?

2007-09-09 06:44:02 | はじめに
基本的には、そのビジネスから将来生じるキャッシュを手にする権利を手にすることになります。

要はそのビジネスの株を全部買うというのと同じ結果になりますが、スモールビジネスの売買においては、株を買う(株式買収)ではなく、そのビジネスを運営していくのに必要な資産を買う(資産買収)ことが多いです。これは、株式買収の場合過去のビジネスへの責任も引き継いでしまうのに対し、資産買収ではそのようなリスクが限定されるからです。

そのビジネスが不動産や設備を持っていると資産というイメージが沸きやすいと思いますが、このような目に見える(Tangible)資産だけではなくて、顧客リストや契約といった目に見えない(Intangible)資産も含めて全部買い取るのです。

これらの資産は第三者が個別に資産評価をしていきますが、普通これらの資産を積み上げても買収額には届かず、その差額を「営業権(Goodwll)」として資産計上することとなります。

まあ、この辺の詳細は会計士に任せておけばいいことですが、支払った金額をどのように配分するかによって税務上や財務諸表上のインパクトが結構大きかったりするので、ある程度は理解しておいた方が良いかと思います。


売買価格はどうやって決まるの?

2007-09-09 06:07:56 | はじめに
ビジネスの価値は簡単に決まるものではありません。

上場・公開企業の株価(基本的にはその企業の価値を発行済株式総数で割ったもの)が毎秒単位で目まぐるしく変わるように、その企業の業績は勿論、市場環境や当事者の思惑など様々な要因によって変わってきます。これは、ビジネスの価値は理論的には「将来そのビジネスが生み出す(と予想される)キャッシュフロー」によって決まってくるのですが、将来どのくらいのキャッシュを生むか、なんて一義的に決まってくるわけがないからです。

なので結局は、同じような他のビジネスが幾らくらいで取引されているか、を見て大体のレンジが決まってきます。具体的には、

(A) 現在そのビジネスが年間どのくらいのキャッシュフローを生んでいるか?

(B) 同じような他のビジネスが年間キャッシュフローの何倍で取引されているか?

の掛け算でほぼ決まります。

あとは、どのような買収形態にするのか(株式買収なのか資産買収なのか)、支払方法をどうするのか(現金一括払いなのか、一定額を後払いにするのか、一部をその後の業績に応じてプロフィットシェアする形にするのか、等々)によって実際の売買金額を交渉することになります。


なぜビジネス自体が売買されるの?

2007-09-09 03:27:15 | はじめに
ビジネスが売りに出されるというと「儲からないから売ろうとしているんじゃないの?」とお考えになる方がいらっしゃるかもしれませんが、ほとんどがオーナーの死亡、離婚などビジネスとは関係ない理由によるもので、ビジネス自体は安定したキャッシュフローを既に生んでいるものです(いわゆるベンチャー企業のように今は全く利益を生んでいなくても将来の成長期待によって株価が上がるというものとは全く異なります)。

買い手からすれば、全くゼロから事業を始めるのと比較して、既にビジネスが成立しているため初日からキャッシュが入ってくるというメリットがあり、大企業の管理職が独立したり、別の事業を行っている人が事業を拡大したりする際にこうしたビジネスを買うというケースが多いです。ビジネスの購入により投資ビザの取得が可能となる為、海外からの移民が買うことも多いようです。

尚、僕の所属する日本企業でも、従来の取引先のオーナーが事故で亡くなったことをきっかけに、米国での事業拡大の為そのビジネスを買い取りました(勿論このような場合はビジネスブローカーは登場してきませんが)。現在、僕がその会社に入り込んでいるわけですが、苦労は多いものの既にビジネスの基盤は出来上がっている為色々な拡大戦略が考えられ、買収なしではまず実現できないような展開を行っています。

"ビジネスブローカー"とは?

2007-09-09 03:12:39 | はじめに
"ビジネス"の"ブローカー"というと、いかにも怪しいイメージがするかもしれませんが、ここアメリカでは立派な職業として成り立っています。

要は、ビジネス自体を売買する取引の仲介人ですが、インベストメントバンクやM&Aコンサルタントが金額の大きな取引にフォーカスしているのに対して、ビジネスブローカーは一般的により金額の小さな(1億円くらいまで)を扱います。

スモールビジネスとM&Aの盛んな米国ならではの職業と言えるかもしれませんが、年々M&Aの増加している日本でもビジネス自体の売買が中小企業にも及ぶのは時間の問題であり、近い将来日本でもビジネスブローカーが活躍し始める日が来るのではないかと思っています。

仕事の中身は投資用不動産の仲介に近く、取引相手の探索、価格設定・交渉、法的手続、ファイナンス手続等を行いますが、ビジネスの売買は不動産の売買と比較して価格の付け方や必要とされる手続が遥かに複雑で、幅広い範囲の専門知識が必要となってきます。

IBBA(International Business Broker Association)に加盟しているだけで1500名のビジネスブローカーが活動しています。一部の州を除きビジネスブローカーとして活動するのに特に資格は必要ありませんが、今後資格保有を義務付けようという動きも広がってきています。