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ビジネスブローカーへの道 in アメリカ

米国でビジネスブローカー(M&A仲介業)として独立を目指す日本人ビジネスマンのブログ。色々なビジネスを勝手に鑑定します!

買い手としてビジネスブローカーに接した感想

2008-07-13 17:11:06 | 落とし穴に気をつけよう
久しぶりの投稿になります。

今、こちら側が買い手として、売り手側のブローカーさんと接しているのですが、実は大変苦労しています。

まず、なにせ態度が悪い!

まるで中古車の営業マンのような口のきき方だし、ミーティングでもサングラスを頭に乗せてふんぞり返っている。とにかく早く高く売ることしか考えていない。
そのくせ、バリュエーションやらストラクチャリングやらの話をしようと思っても、先方に知識がないためかお話になりません。

売り手のオーナー自体はすごくいい人だし、会社自体も魅力あるんですが、こういうブローカーが間にいると、決まるもののも決まらなくなってしまう・・・。

残念ながら、こういうブローカーさんが実は多いのかもしれません。
経験のない買い手だと、十分な検証もできずに口車に乗せられ、早く決めるようプレッシャーを掛けられて、高値掴みをしてしまうことになるかもしれません。

勿論、買った後に経営手腕を発揮して、従来以上のパフォーマンスを発揮させられればいいのですが、むしろオーナーが変わったことでパフォーマンスが落ちてしまう方が普通ですしね。

この辺はもう経験を積むしかないんでしょうね。
僕もまだまだ経験が足りないので、地道に頑張ります。

急成長ビジネスは魅力的?

2007-09-10 22:59:49 | 落とし穴に気をつけよう
ビジネスを買うとなるとどうしても、現在急成長中で今後も引き続き成長が期待される業界・企業の方が魅力的に見えます。でも、必ずしもそうとは言えないのがM&Aの難しいところでしょう。

まず、ビジネスの価値は将来どれだけのキャッシュフローを生み出しそうか、ということで決まってくる為、現在急成長していて将来もそれが続くと見込まれれば、当然売り手も現在のキャッシュフローに対して高い値段を付けてきます(「プレミアム」と呼ばれます)。

さらに、当然そうした案件は他にも沢山の人が興味を持ってきますから、どんどん値段が吊り上がっていったりします。そういう状態になると誰しもが、やはり少しくらい高くても買う価値があるんだ、と何とかして自分のものにしようと必死になります。自分が買えば他の人よりもうまく経営できるはずだから、少々値段が高くてもその分のリターンは確保できるはず、だとか考え出すと幾らでも値段を高くすることができます(勿論、その資金が準備できることが前提ですが)。

一方で、企業が急成長を遂げる際には、それに伴って企業のインフラも成長を遂げていく必要があります。しかしながら、急成長中の企業にそんな余裕は普通ないもので、大抵いつかは壁に直面してしまいます("Growing Pains"と呼ばれます)。

これは競合企業にとっても同じでしょうが、そんな最中にオーナー交代というようなことになれば、ただでさえ現場は混乱しているところに「火に油を注ぐ」状態になってしまうことが予想され、その結果競合企業との戦いに勝ち残れなくなってしまうかもしれないのです。

そもそも、売り手から見てそのビジネスがその後も順調に伸びることが確実なのであれば、わざわざ売りに出そうとするでしょうか?(止むを得ない事情があれば別ですが)

ですので、急成長中のビジネスを買おうとする場合には、むしろ慎重に判断すべきかと思います。


最強マニュアル?

2007-09-10 05:37:10 | M&A関連書籍紹介

ビジネスを買うのには非常に広範囲に亘る複雑な知識とプロセスが必要とされます。それを一冊にまとめた凄いマニュアルがあります。

How To Buy A Good Business At A Great Price

なんと548ページに亘って、ビジネスの購入に際して買い手が知っておくべき全てのことを詳細に解説したもので、恐らく最強のマニュアルと言ってよいでしょう。

・売り手に尋ねるべき36のクリティカルな質問
・調査すべき200のポイント
・交渉すべき54の条件
・売却ビジネスのリストで確認すべき73の重要点

なんかこれだけでも凄そうな感じがしますよね。

勿論全部英語なので、日本人のバイヤーが買うようなものではないと思いますが、
少なくともビジネス購入の「10の掟」には是非目を通しておくべきかと。

機会があれば丸ごと日本語に翻訳してみたいです。


もっと簡易的なマニュアル本としては、有名な「金持ち父さん」シリーズに

How to Buy & Sell a Business

というのがありますが、これも日本語訳はされていません。

まあ、何となく感じを掴むにはいいでしょう。

これでは物足りない、という方は是非最強マニュアルに挑戦してみて下さい。



Sunbelt Network

2007-09-10 02:03:40 | ビジネスブローカー情報
ビジネスブローカーの大半は個人ベースでビジネスを行っていますが、

ビジネスブローカーのビジネスをフランチャイズ化した"Sunbelt"という会社があります。全米各地に拠点を有する最大のビジネスブローカーネットワークと言えます。

Sunbelt Webサイト

1978年に創業、1993年からフランチャイズ化を始め、現在は米国内に300、国外に30の拠点を持ち、合わせて年間4千件の仲介を行っているそうです。米国では個人が独立する際にフランチャイズはポピュラーなやり方になっていますが、ネットワーク効果が効きやすいこと、クライアントからの信用が重要なビジネスであること、労働集約的なビジネスであること、等フランチャイズがはまり易い要素が沢山ありますね。

ちょっと古いですが、日本語での紹介記事もあります。

日本語でのサンベルト紹介記事

まだ日本での活動はしていないようですので、日本でのMaster Franchisorの権利を獲得して展開するというのも面白いかもしれません。


ちょっと不思議だったのは、ここのサイト右上にあるプルダウンから"Asia"を選ぶと、タイのSunbeltのホームページに飛ぶことです。

アジアでのビジネス売買と言えばタイなのでしょうか?

そう言えば2年位前にBCGの人が「最近タイでのビジネスを買った」と言っていたのを思い出しました。確かに安く買えそうな気はしますが、制度面は大丈夫なんでしょうか? いつか調べてみようと思います。

もしかしたら、日本でブレークするかも・・・。



最大の業界団体 IBBA

2007-09-10 01:13:05 | ビジネスブローカー情報

IBBA Webサイト

IBBA (International Business Brokers Association)は1983年に設立された最大のビジネスブローカーの業界団体です。現在1800名の会員が加入していますが、Internationalと言いつつ、会員のほとんどが米国内で活動しています。

毎年2回(東と西で1回ずつ)1週間に及ぶカンファレンスを主催し、IBBA Universityというビジネスブローカー及びM&Aに関する教育を行っています。僕はまだ参加したことないですが、内容は興味深いものばかりです。

また、CBI (Certified Business Intermediary) という資格認定も行っており、最低3年間の実務経験と60時間分のIBBA Universityへの参加等が要件とされています。僕もいつかは取得したいと思っています。

更に上級の資格としてM&AMI (Merger and Acquisition Master Intermediary) というのもありますが、これを持っている人は全体の数パーセントに過ぎません。僕もいつかは・・・

メンバーには毎週300件くらいの新規案件情報がメールで送られてきます。
僕はまだブローカーとして活動しているわけではないので、個別案件に関してコンタクトを取ったことはありませんが、買い手サイドのブローカーさんにとっては貴重な情報源となっているようです。





日本食レストラン

2007-09-09 14:17:35 | 勝手にビジネス鑑定
さて、アメリカで日本人が一番取り組みやすそうなビジネスって何でしょう?

僕的にはやっぱ日本食レストランなのかな~、と思いました。
というわけで早速日本食レストランが幾らくらいで売られているのか調べてみました。とりあえずBizBuySell (http://www.bizbuysell.com/)のリストでサーチしてみます。

結果は70件弱がリストされており、
売主希望価格:$60,000~$3,500,000(平均$300,000くらい)、
年間キャッシュフローの1~5倍(平均2.5倍くらい)、
といったところです。

つまり、平均的には

$300,000を支払えば、年間$120,000のキャッシュフローを持つビジネスが買える

ということです。ちなみにキャッシュフローは税引前利益に、自分宛の給料、支払金利、減価償却費を足し戻したもの。このレベルだと、自分が直接どのくらい働かなければならないか、生活費にどのくらい掛かる場所なのか、によって全然変わってきますね。個別に見てみましょう。

■ ロサンジェルス北部 $640,000の日本食レストラン (Cash Flow $240,000)
  詳細情報はこちらをクリック

売上は月$70,000で、自分は厨房に立たずに年$120,000が手元に残るとのこと(上記Cash Flowとの差額詳細は不明)。現オーナーが始めた3年前に店を改築し、約300㎡の広さ(賃料不明)、すぐ後ろに出来たばかりのBest Buy(最大手家電量販店)があるのがウリのようです。場所はユニバーサルスタジオから近くのいい感じのところですね。交通量もかなり多いところです。

2週間程サポート及びトレーニングをしてくれるとのこと。売却の理由は、引退だそうです。$640,000の金が入れば後は遊んで暮らせるということでしょうか。

Cash Flow $240,000というのを信じ、$640,000の投資に対して永久に毎年同じだけのCash Flowが得られるとすると、37.5%の収益率(IRR)となります。諸費用が$100,000掛かったとしても32.5%ですので、数字的には悪くない感じです。

300㎡であれば座席数は140席程度でしょうか?
週6日営業していれば1日の座席当り売上は$20程度となり、マーケティングを頑張れば売上はもっと増えそうですね。

一方、レストランで怖いのは衛生面でしょうね。最近ニューヨークの日本食レストランが検査か何かで一斉にバタバタと潰れていました。

あとは連絡を取ってもっと詳細情報を貰うと共に、現地に足を運んでみるべきでしょう。まずお客さんとして行ってみて客層だとか店員の対応とかを見たり、周囲の住民属性や競合となるお店等も調べて、売上がもっと増える余地はないか、逆に減るリスクはないか、を見極めたいところです。

まあ、僕はレストラン経営についてはど素人なので、専門家の方がいらっしゃいましたら是非コメント下さい。

M&A 賢者の意思決定

2007-09-09 10:23:33 | M&A関連書籍紹介

最初にどうしても紹介しておきたいのが、この本です。

M&A関連の本は、ファイナンスや会計、法務といったテクニカルな話について書かれた本は多いのですが、
・そもそも何の為にM&Aを行うのか、
・何を考え、どう行動し、何を意思決定すればいいのか、
という経営者にとって最も重要な話に触れた本はほとんどありません。

そんな中、本書は大手戦略コンサルティングファームの一つであるベイン・アンド・カンパニーが、過去の豊富なコンサル事例と過去15年に渡る1700社のデータ分析をもとに、M&Aを成功させる為の4つの基本原則を提示した名著です。
(対象は大企業のM&Aですが、スモールビジネスにも十分に通用する原則です)

まず、ハッとさせられる調査結果を次々と提示されます。

・最も業績が低いのは単発の大規模買収を狙う企業。逆に最も成功している実務家は小さなディールから始めて、より大きなディールに進み、コア事業に関連する領域に継続的に進出していく。進めていく過程で、取り組み方を標準化するのだ。

・失敗の原因は、買収後の運営に責任を負う現場のマネジャーが、ディールのメリットに対する率直な評価に関与しないことが多いから。そして、大半のアドバイザーが、戦略的に正しくて妥当な価格のディールをまとめることではなく、どんなディールであろうとまとめることで報酬を受けるものだから。

・企業買収に携わる経営者のほとんどは、「何かをする」必要に迫られていたと証言している。

等々、PMIで苦労されている現場の皆さんには心に痛くしみるはずです。

では、成功のためのポイントは? 一言でいうと、

  「一貫して規律を守ること」

だそうです。言うのは簡単なんですけどね。

また、後半で「日本企業のM&A:7つの警告」というのが出ています。
本書の主張がコンパクトにまとまっているので、掲載しておきます。

①流行・ブームに幻惑されるな!
 ⇒M&Aは累積経験が物を言うビジネス。
  流行・ブームに左右されない継続的取り組みが勝利のカギ
②自社のコア事業から離れすぎたM&Aに手を出すな!
 ⇒コア事業からの乖離は、失敗を招く確率が高い
③M&Aは短期勝負だと考えるな!
 ⇒短期には見えるが実は長期的取り組みが求められる
④「戦略的」という言葉でごまかすな、ごまかされるな!
 ⇒自社の投資家のためにどれだけのリターンが上げられるのかを真摯に検証
⑤長期だからといって悠長に構えるな!
 ⇒早めの行動がM&Aの成功確率を高める
⑥少ないM&A経験で大規模案件に手を出すな!
 ⇒小規模案件の経験の積み重ねが必要
⑦担当者の異動とともにスキルを散逸させるな!
 ⇒案件評価、交渉、統合といった異なる幅の広いスキルを蓄積、
  育成、他力の活用も含めて検討

新たにM&Aをご検討の企業の皆さま、是非ご一読を!

このブログの対象と構成

2007-09-09 08:43:30 | はじめに

このブログは、僕のM&Aの現場での経験と様々な人・本・セミナーから得た知識をまとめることで、自らが将来ビジネスブローカーとして独立するためのベースを作ると共に、以下のような方々と情報・知識の共有を図っていけたらと考えています。

・既にビジネスブローカーとしてご活躍の先輩方
・僕と同様にビジネスブローカーを目指す同士の方々
・MBAで勉強中の学生の方々

・既に米国でビジネス展開されている日本企業の方々
・今後米国でのビジネス展開をお考えの日本企業・個人の方々


コンテンツは今後以下のカテゴリーに分け、逐次更新していく予定です。


[ターゲットを探せ]: 興味のある業界・ビジネスの分析

[PMI苦労話]: 買収後の苦労話(Post Merger integration)

[ビジネスブローカー]: イベント情報、ブローカー紹介など

[M&A関連書評]: 僕の読んだM&A関連書籍のご紹介


ご質問・ご意見等ございましたら、ご遠慮なく以下メールアドレスまでご連絡下さい。

mac_ueno@mail.goo.ne.jp


リスクはないの?②

2007-09-09 07:36:09 | はじめに

むしろ、実際にビジネスを買った後に予想していたようなキャッシュが得られるかどうかのリスクの方が大きな問題です。特に急成長中のビジネスを高いプレミアムを付けて買った場合は、最初から大きなリスクを抱えることになります。
また、買収資金を借入によって調達した場合は、予定通りにキャッシュが生まれてこないと借入の返済もできなくなってしまいます。

まず、買収前の社員が買収後もそのまま残ってくれるかどうか、お客さんが買収後もそのままお客さんで居てくれるかどうか、は基本的に何の保証もありません。
特に個人オーナー企業は、オーナー社長自体の魅力で社員が集まったり、オーナー社長自らが一人で営業してたりすることが良くあるので、オーナーが変わった途端に社員もお客さんも離れてしまうことが十分有り得るのです。

また、近くに強い競合が現れたり、そもそもの市場環境が変化してしまうことも有り得ます。まあ、これはどんなビジネスでも同じ話ではありますが。

経営自体は元々の社員に任せたり、外から優秀な人間を引っ張ってくることもできますが、やはりオーナーとして自らそのビジネスを経営できるという自信がないと、上手く回らないでしょう。

一方で、自分は人より上手く経営をできる、という自信を持っている人にとっては、逆に買収前よりもビジネスを伸ばし、短期間で大きなリターンを得ることも可能になります。

日本人に米国企業の経営はムリなのでは、という声も聞こえてきそうですが、僕の経験からすると、米国のサービスは一般的に日本に比べて遥かに質が悪く、日本並のサービスを実現できれば大きくビジネスを伸ばせるチャンスがいろんなところに転がっていると思います。

僕には残念ながらそのようなサービスを自ら展開していく経験もノウハウもありませんが、米国企業を買収して運営していく際のリスクを出来るだけミニマイズすることで、日本品質のサービスを米国にも広げていくことに貢献できるのではないかと考えています。


リスクはないの?①

2007-09-09 07:32:48 | はじめに
そうですね、正直言って結構一杯あります。
(ですので、専門家を使うことをお勧めします・・・)

特に気を付けて置いた方が良いリスクとその対処方法を幾つか挙げてみます。

まずは、ビジネスに必要な資産すべてが正しく権利移転されないリスクです。
不動産取引と違って、権利が公に公示されるものは限られ、更に第三者との契約は元々の契約内容によりその第三者の合意がないと譲渡できないものがあります。
ひどい時はそもそも売り手がそのような権利を持っていなかったとか、他に権利者が居て売り手単独ではその権利を売却できなかったということもあります。

通常、弁護士がまず全ての契約関係・権利関係・訴訟関係等を調べて(デュー・ディリジェンス、Due Diligence、と呼ばれます)問題なく権利移転できるかどうかを調べます。ここで問題があれば、そもそもの売買を中止させたり、移転できない権利分の値段を下げさせる交渉をしたりします。

それでもわからないリスク(過去販売した製品に対する訴訟リスクなど)が存在する可能性もある為、ビジネスの売買契約で売り手に「これ以外に問題はありません」という保証をさせ、将来もし訴訟等が発生して損害が生じた場合には売り手にその賠償をさせる、という約束をさせます。

ただ、これはM&A経験の豊富な弁護士(値段も高いですが)を使えば、ほぼ解消できるリスクでしょう。



実際には何が手に入るの?

2007-09-09 06:44:02 | はじめに
基本的には、そのビジネスから将来生じるキャッシュを手にする権利を手にすることになります。

要はそのビジネスの株を全部買うというのと同じ結果になりますが、スモールビジネスの売買においては、株を買う(株式買収)ではなく、そのビジネスを運営していくのに必要な資産を買う(資産買収)ことが多いです。これは、株式買収の場合過去のビジネスへの責任も引き継いでしまうのに対し、資産買収ではそのようなリスクが限定されるからです。

そのビジネスが不動産や設備を持っていると資産というイメージが沸きやすいと思いますが、このような目に見える(Tangible)資産だけではなくて、顧客リストや契約といった目に見えない(Intangible)資産も含めて全部買い取るのです。

これらの資産は第三者が個別に資産評価をしていきますが、普通これらの資産を積み上げても買収額には届かず、その差額を「営業権(Goodwll)」として資産計上することとなります。

まあ、この辺の詳細は会計士に任せておけばいいことですが、支払った金額をどのように配分するかによって税務上や財務諸表上のインパクトが結構大きかったりするので、ある程度は理解しておいた方が良いかと思います。


売買価格はどうやって決まるの?

2007-09-09 06:07:56 | はじめに
ビジネスの価値は簡単に決まるものではありません。

上場・公開企業の株価(基本的にはその企業の価値を発行済株式総数で割ったもの)が毎秒単位で目まぐるしく変わるように、その企業の業績は勿論、市場環境や当事者の思惑など様々な要因によって変わってきます。これは、ビジネスの価値は理論的には「将来そのビジネスが生み出す(と予想される)キャッシュフロー」によって決まってくるのですが、将来どのくらいのキャッシュを生むか、なんて一義的に決まってくるわけがないからです。

なので結局は、同じような他のビジネスが幾らくらいで取引されているか、を見て大体のレンジが決まってきます。具体的には、

(A) 現在そのビジネスが年間どのくらいのキャッシュフローを生んでいるか?

(B) 同じような他のビジネスが年間キャッシュフローの何倍で取引されているか?

の掛け算でほぼ決まります。

あとは、どのような買収形態にするのか(株式買収なのか資産買収なのか)、支払方法をどうするのか(現金一括払いなのか、一定額を後払いにするのか、一部をその後の業績に応じてプロフィットシェアする形にするのか、等々)によって実際の売買金額を交渉することになります。


なぜビジネス自体が売買されるの?

2007-09-09 03:27:15 | はじめに
ビジネスが売りに出されるというと「儲からないから売ろうとしているんじゃないの?」とお考えになる方がいらっしゃるかもしれませんが、ほとんどがオーナーの死亡、離婚などビジネスとは関係ない理由によるもので、ビジネス自体は安定したキャッシュフローを既に生んでいるものです(いわゆるベンチャー企業のように今は全く利益を生んでいなくても将来の成長期待によって株価が上がるというものとは全く異なります)。

買い手からすれば、全くゼロから事業を始めるのと比較して、既にビジネスが成立しているため初日からキャッシュが入ってくるというメリットがあり、大企業の管理職が独立したり、別の事業を行っている人が事業を拡大したりする際にこうしたビジネスを買うというケースが多いです。ビジネスの購入により投資ビザの取得が可能となる為、海外からの移民が買うことも多いようです。

尚、僕の所属する日本企業でも、従来の取引先のオーナーが事故で亡くなったことをきっかけに、米国での事業拡大の為そのビジネスを買い取りました(勿論このような場合はビジネスブローカーは登場してきませんが)。現在、僕がその会社に入り込んでいるわけですが、苦労は多いものの既にビジネスの基盤は出来上がっている為色々な拡大戦略が考えられ、買収なしではまず実現できないような展開を行っています。

"ビジネスブローカー"とは?

2007-09-09 03:12:39 | はじめに
"ビジネス"の"ブローカー"というと、いかにも怪しいイメージがするかもしれませんが、ここアメリカでは立派な職業として成り立っています。

要は、ビジネス自体を売買する取引の仲介人ですが、インベストメントバンクやM&Aコンサルタントが金額の大きな取引にフォーカスしているのに対して、ビジネスブローカーは一般的により金額の小さな(1億円くらいまで)を扱います。

スモールビジネスとM&Aの盛んな米国ならではの職業と言えるかもしれませんが、年々M&Aの増加している日本でもビジネス自体の売買が中小企業にも及ぶのは時間の問題であり、近い将来日本でもビジネスブローカーが活躍し始める日が来るのではないかと思っています。

仕事の中身は投資用不動産の仲介に近く、取引相手の探索、価格設定・交渉、法的手続、ファイナンス手続等を行いますが、ビジネスの売買は不動産の売買と比較して価格の付け方や必要とされる手続が遥かに複雑で、幅広い範囲の専門知識が必要となってきます。

IBBA(International Business Broker Association)に加盟しているだけで1500名のビジネスブローカーが活動しています。一部の州を除きビジネスブローカーとして活動するのに特に資格は必要ありませんが、今後資格保有を義務付けようという動きも広がってきています。