―99―(模索…。)
「ねぇ、私たち何になれるのかな…。」と満流は青山の水溜りのある歩道を下向きに地下鉄駅へ向かって歩きながら、ボクに問う。
「ボクだって小説家になりたいよ…。だけどさ…。」とボクは涙ながらに後ろ向きに嘆く。
「私は…?キミに尽くすだけで何にもなれない…。」と満流は言って、走って先に行ってしまった。
「ボクはキミに、ボクの恋人になってるさ。前世からね…(笑)。将来、ボクのお嫁さんになって、母親にだってなれるんだよ、って…言ってやりたかったさ…。」―ボクはトイレの入り口で待ちながら、独り言を言って、ため息を吐く。そしては、頭の髪の毛をボサボサになるほど苦し紛れに、掻きまくる。言葉にならないような苦しいもやもやが、ボクを苦しめた。
ボクは、ひとり、トイレの入り口で涙を零した…。
そんなボクは帰り、満流と離れて、池袋の本屋さんを落ち着きなく探検した。さすが、東京でも田舎の多摩の清瀬と違って、都会だ。どんな本もある。ボクは探し物があった。
ある本屋で、「〇〇○の一覧が載っているような本ありませんか?」とすれ違いざまに会った店員さんに単刀直入に訊いた。そしたら、店員さんは、スタスタっとまっしぐらに、そして、小走りに歩いてゆく。立ち読み客が除けているようだ。大きく広い店内でのその光景は忘れられない。そしてその軽い足取りは、止まる。
そして「確かこの辺にあったのですが…あぁ、ありましたこれですね。」
それは、“公募ガイド”という「文学賞」などの公募が掲載され一覧になっている、とっておきな御本だった。ボクはそれをもとに、キミとボクのために企んだんだ。「何か、わからないけど、大きな夢でも見るか…。大きな宝くじを買ったつもりでさ…。この間みたいに…。」って…。
だって、ボクは、「いつもキミの手料理ばかり、ただブログばっかりやって、待っていたから、ボクのボクらの小説は本という希望の花として育て咲かして、クレマチスの日(満流の誕生日)にプレゼントしたいんだ。いえ、するんだ!!幸せにするんだ。」と心に秘めていた。最後に実らせたい。創造は尽きない。でも、ボクはこんな事しかできないダメ人間なのだ。本当に…。
―なのだがね…、これらすべては、夢でしかないが、これは確かなStepなのだ!