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向日葵のような…愛・返・運・縁・恩、GOBOOKの命 ~壁取物語~

大衆の壁の中から仔猫を救出。

茶畑で飛行してきた運気の仔犬搬出。

日本は5本心が必要。盗作は逮捕

壁取物語 ~壁から出てきた猫~ ―第100話―

2006-07-09 | [小説]超・壁取物語~壁から出てきた猫~
―(最後に。)―


「ノラの存在とボクの位置」


壁に向かっているキミの所にも…
夢を忘れかけたあなたの所にも…、

壁から出てきた猫・ノラのような猫は、
夢を招いてやってくるかもしれません。

ただ、努力という名の修行を忘れないで…。
「たとえ、それが本にならなくても、
己と君の青春という夢の1ページには確実に残るんだから…。」

―つづく―いつの日にか…。

※このお話は、事実を元にして、紡がれ、綴られ、そして、創られたフィクションです。

壁取物語 ~壁から出てきた猫~ ―第99話―

2006-07-08 | [小説]超・壁取物語~壁から出てきた猫~
―99―(模索…。)

 「ねぇ、私たち何になれるのかな…。」と満流は青山の水溜りのある歩道を下向きに地下鉄駅へ向かって歩きながら、ボクに問う。
「ボクだって小説家になりたいよ…。だけどさ…。」とボクは涙ながらに後ろ向きに嘆く。
「私は…?キミに尽くすだけで何にもなれない…。」と満流は言って、走って先に行ってしまった。
「ボクはキミに、ボクの恋人になってるさ。前世からね…(笑)。将来、ボクのお嫁さんになって、母親にだってなれるんだよ、って…言ってやりたかったさ…。」―ボクはトイレの入り口で待ちながら、独り言を言って、ため息を吐く。そしては、頭の髪の毛をボサボサになるほど苦し紛れに、掻きまくる。言葉にならないような苦しいもやもやが、ボクを苦しめた。
 ボクは、ひとり、トイレの入り口で涙を零した…。

そんなボクは帰り、満流と離れて、池袋の本屋さんを落ち着きなく探検した。さすが、東京でも田舎の多摩の清瀬と違って、都会だ。どんな本もある。ボクは探し物があった。
ある本屋で、「〇〇○の一覧が載っているような本ありませんか?」とすれ違いざまに会った店員さんに単刀直入に訊いた。そしたら、店員さんは、スタスタっとまっしぐらに、そして、小走りに歩いてゆく。立ち読み客が除けているようだ。大きく広い店内でのその光景は忘れられない。そしてその軽い足取りは、止まる。
そして「確かこの辺にあったのですが…あぁ、ありましたこれですね。」
それは、“公募ガイド”という「文学賞」などの公募が掲載され一覧になっている、とっておきな御本だった。ボクはそれをもとに、キミとボクのために企んだんだ。「何か、わからないけど、大きな夢でも見るか…。大きな宝くじを買ったつもりでさ…。この間みたいに…。」って…。

だって、ボクは、「いつもキミの手料理ばかり、ただブログばっかりやって、待っていたから、ボクのボクらの小説は本という希望の花として育て咲かして、クレマチスの日(満流の誕生日)にプレゼントしたいんだ。いえ、するんだ!!幸せにするんだ。」と心に秘めていた。最後に実らせたい。創造は尽きない。でも、ボクはこんな事しかできないダメ人間なのだ。本当に…。

 ―なのだがね…、これらすべては、夢でしかないが、これは確かなStepなのだ!

壁取物語 ~壁から出てきた猫~ ―第98話―

2006-07-07 | [小説]超・壁取物語~壁から出てきた猫~
―98―(真剣舎は…。)

東京・青山は、実にお洒落な街だった。歩いているボク達が浮いているようだと勝手にボクは感じてはいた。そして、静かな街。嵐の前の静けさ…。一時、そんなだった街に突然の雨が降ってきて、風は吹き荒れる。すぐさま、雨宿りした。その宿がこそが、今回のボクラの目的地…、真剣出版舎だった。

 早速、予約していた面談を受ける…。
 
密室状態の真剣舎編集部の中の中にある高級感があって、どこか静かな個室―。

突然言われたのがこの言葉…、
「約200万円程頂ければ、本が出来上がりますが…。」
「月々5%ずつのローンも可能なんですよ、大空さん。」さらに―、
「絶版される可能性ももちろんないとは言えませんが、全国三箇所の当社直営の孤剣書店で、在庫は並べるだけ並べますから。」と編集企画部社員の気弱そうな男は言った。
すると、また、騙されたかと自分を悔やみきれないボク達は、「どんなに一生懸命描いたと思っているの!!感想ぐらい言って下さいよ。自分の子供のように何ヶ月もかけて築いたものを、お金という形で、惑わさないで。有り余ったお金で簡単に、はい、できあがりってなったのなんて、本物じゃない! そんなものただの答えを書いてある解答用紙になっちゃう。他人の心や立場、夢は、お金じゃ買えないんだよ!! 僕の小説を審査・評価してその審査・評価の結果をみて考えたかった!! それだけでもよかったのに…。(涙)」とそう怒鳴りつけたかったが、ふたりは、その怒りを抑え、むなしく、その出版社を後にした―。もちろん、商談は断ったよ。そんなこんなんだった…。

現状、社会は危ない。無料ほど怖いものはない。「騙す」「騙される」が常識…? 結局自分を守っているだけなんだ。盗作も誰もがどこかでやっているような…? なら、ボクはただ一人の彼女を守っていかなきゃならないんだ。そう思い考えつつ、雨の上がった、お洒落な青山の街並みを真逆に歩く―。ボクは男なのだ。そうなのだ。

壁取物語 ~壁から出てきた猫~ ―第97話―

2006-07-06 | [小説]超・壁取物語~壁から出てきた猫~
―97―(心境の変化)

数週間後―。

―ボク達ふたりは、今日は、東京・青山へお出かけ。
「忘れ物ない?」とミィ姉は気配る。

そんなボクはあることに気づく…。

「お薬忘れていたのらよ。」とボクは言った。
「えっ?何それ?」とミィ姉もあることに気づく。
「お薬…。」とボク。
「いや、その喋り口調ぉ…。」とミィ姉はボクに指摘した。
「ノラ語なのら。」とボクは説明した。
「気色悪いよ。訳分からないよ~。」とミィ姉はひいて言った。
「そんな~。何でなのら? 何でなのらか…?」とボクはもがいて言った。
「良いから早くお薬飲んで。」とミィ姉は正気に戻った。
「ハイなのら!」とボクは手をあげて大きな声で言った。
どうやら、ふたりは、妙にご機嫌だった。
「フっフフフフフ」
「フフフフフフ」
「ハっハハハハハ」
「ハハハハハハ」
―ふたりの笑う“つぼ”は、同じだった―。

「じゃあ、準備も出来た事だし、行こうかな。満流。」とボクは恥ずかしそうに言った。
「満流?」
―いつもと呼び方が違うのに気づくミィ姉こと、柳瀬満流…。
「お姉ちゃんって言う、もう、そんな歳でもないしなぁ。歳の差(8年半)は関係ないもの。」
「まあ、可愛い爽っ。ハスキー犬みたいっ。」
「なんで~ノラみたいって言ってなのら~。」とボクは親バカ心を大っぴらに出していた。

壁取物語 ~壁から出てきた猫~ ―第96話―

2006-07-05 | [小説]超・壁取物語~壁から出てきた猫~
―96―(エイプリルフール)
 
 それから、それから、そんな日々が、数ヶ月が続いたのさ。、 

2006年4月1日、原稿はやっと、ほぼ完成した。
そんな今日は、エイプリルフールであるが、嘘ではない誠だ。

 ボクは、天笛舎に電話を入れる。
<プルルルルルルルルルル。プルルルルルルルルル……。>
繋がらない。何回かけても繋がらない。
また、5分ごとに電話を入れる…。
<プルルルルルルルルルル。プルルルルルルルルル……。>
繋がらない。また何回かけても、またも繋がらない。
ミィ姉は、「胸騒ぎがするわ。」と言った。
それで、ボクは直感でヤフー検索で「天笛舎」と検索してみた。そしたら、見事にヒット!ヒットの!!連続―!
掲示板検索で「天笛舎―倒産―社員リストラ―書籍絶版、さらに、著作権が天笛舎に…被害総額…1000万円か?」と散々書かれていた。
“ソーシャル・ネットワーキングサイト[mixi(ミクシィ)]”では、被害にあった著者の一人の津山三郎さんによって、管理人参加承諾された人のみに公開できるコミュニティも立ち上げられたぐらいだ。
被害者の会の人の中には病死したその人の両親がその闘病生活を書き残した遺品を自費出版した書籍もあったそうだ。誠に残念だ。
そして、さらに新聞、テレビ局などのマスコミも介入した。

 ボクは幸い、金銭的契約にも著作権にも出版にもかかわっていいない為、助かった。不幸中の幸いだった…。

だが、そんなボクは混乱していて、新聞に「あなたの原稿、本にします。」…と載っていたのをみて、ボクは会社をかえ、真剣舎という同様に出版会社を訪れる事を決意する。ボクの意志はふたりの絆のごとく根強かった。


壁取物語 ~壁から出てきた猫~ ―第95話―

2006-07-04 | [小説]超・壁取物語~壁から出てきた猫~
―95―(夢だった)

「爽、爽、爽。」―ミィ姉の声だ。ビシ!バシ!と叩かれて、その叩かれたボクの頬は左、右と、振り回されている。そして寝ぼけ眼をゆっくりゆっくりと開く―。
「戻ってきてくれたのか―?」とボクは涙を流していて、それでいて、光の射すほうへ向かって、問う。そして、ボクの涙は光っている。

「何、言ってんのよぅ!」―ミィ姉は強気だ。
あたりを見渡すボク…。
―まわりにはボク達ふたりだけしかいない。

そう、ここはいつもの部屋だった。ボクはどうやら執筆中にパソコンに前かがみになって居眠りして、夢を見て、そして、うなされていたのだ。
―ボクは安心する…。
「それはこっちの台詞よ。」というような面持ちでミィ姉はボクを見ている。ミィ姉は編物をしていた。「さあ、布団しいて寝ようか…。」とミィ姉が言うと、ボクは頷いてすぐ、協力しながら布団をしいて、ふたりは眠りにつく。ボクは、今まで眠っていたし、小説の事で頭が、沸騰…、興奮…していて眠れない…眠れない。

壁取物語 ~壁から出てきた猫~ ―第94話―

2006-07-03 | [小説]超・壁取物語~壁から出てきた猫~
―94―(映画化?)
 
それは、小春日和のサンサンと太陽の光がいつもより明るく射しているような日…。

今、映画館で何かが始まる…。ある映画の試写会と舞台挨拶だ。ボクは一番前、隣にミィ姉が座っている。間にノラがいて、横にずらっと盛大なるキャストが顔を並べている。キャストもとより、ボク達ふたりは輝いていた。ノラはキョロキョロとはしてるがいつもより、落ち着いている。
「おっと、あの江原さんもいる…!!!」と満流ははしゃぎまくって興奮している。満流は江原さんのファンなのだ。

―というのも、ボクの小説は、猫好きに留まらず、障害者、そして、スピリチュアルを体験するシャーマン達にも指示を得て、ベストセラーになり、たちまち映画化されたのだ。人生を諦めていたようなボクが栄光を手に入れたのだ!! みんなに夢を提案しているんだぁ。素晴らしい。ボクのこの大きな頭が役に立つなんて…。

<ブー………。>という音とともに、映画が始ろうとするシアター内は照明をおとす。まわりから緊張感が伝わってくる。「ボクはなんて幸せ者なんだぁ。あの時、道を休んで、また、遠回りしてよかったんだ。」

いよいよ始まる。まずは予告だ。緊張だ。ボクの小説が、ボクらの街・清瀬と、父の修行場の割烹みよしを舞台に大きなシアターいっぱいに映っている。
ボク達は感動のあまり、涙を流した。ボクは隣にいるミィ姉にこう、話しかける。
―「こ、この小説・壁取物語が愛する満流へのプレゼントだ!!」―取って置きの決め台詞だ。喜ぶだろう、そう思った。

―しかし、映画もクライマックスになると満流は一転した。
「何よ、この映画!!!ふん。プライバシーの侵害よ。」
と言って怒って試写会会場を出て行った。ボクは絶望感に見舞われる。ボクはしゃがみこんで、ワーワー!と突然の夕立のように泣き、会場の映画観覧客からもあっけにとられ、ブーイングかかり始め、たちまちブーイングの嵐となった!ボクは障害者や貧乏人は、緒戦、お金がなければ、何にも始まらない。そういう、重い壁が降ってくる。
そう思って「重い!重くて…。うわぁぁぁぁーーーー」
―と、これまでにない重い声で叫んだ…!!

壁取物語 ~壁から出てきた猫~ ―第93話―

2006-07-02 | [小説]超・壁取物語~壁から出てきた猫~
―93―(執筆活動)

 翌日、朝陽が昇ってきてボクは目を覚ました。ミィ姉は眠っている。
早速―、執筆、加筆、削除、推考にパソコンに向かった。寒いながらも、ボクはある事の為に向かった。それは、ゆっくりというか、転んだり、バトンを落としたり、落としたバトンを拾ったり、だった。一冊の本にする為に構成を考えていた。

執筆しては、「客観的に見るのも大切だ」―と、昨日のセミナーで勉強していたので、いつの間にか起きていて、ミィ姉にてお肌のお手入れをする合間を縫って、客観的に読んでもらっていた。

ミィ姉は、一生懸命なボクをすっかり支えてくれていたというか、ボクが甘えているようで、申し訳がなかった。

それは、薬の影響で、モヤモヤする頭脳、痒い身体は、確かに障害物であって、仕方がなかったが、今度は、前向きであった。

 つづく


壁取物語 ~壁から出てきた猫~ ―第92話―

2006-07-01 | [小説]超・壁取物語~壁から出てきた猫~
―92― (社会に出た!)

相談会が終わると、ミィ姉が喋った。
「かっこよかったよ。爽…。でも、ちょっと…忘れていたね…。」
「えっー!!何々?何を…?」―ボクはそれをきくと不安定になった。

ボクは肝心の最初のあいさつ―“こんにちは”と言うのを忘れていたのだ―。でも、ボクは一方で、古山さんからきいたコツとか、指摘して下さった事を思い出して…、ボクはこれでも第1歩を踏みしめたんだ…。それは、「案ずるより産むがやすし」だったんだ。

だが、行動して安心したはずなのに身体は言う事をきかない。体内の薬が切れてなくなったのか―。それは、いつものことだ…。薬を飲めば、すぐ治るのさ。

その後、ボク達は天笛舎の近くにある宝くじ売り場で宝くじを買って、清瀬へ帰ったっけ…。それは、ボクの第1歩の記念になったんだ。
 
 つづく

壁取物語 ~壁から出てきた猫~ ―第91話―

2006-06-30 | [小説]超・壁取物語~壁から出てきた猫~
―91―(天笛舎・相談会)

 次の相談会では、髭を生やした古山さんという男性の編集部担当の方が担当だそうだ。彼は少し遅れていらっしゃった。
「こんにちは。おまたせいたしました。」と笑顔であいさつする古山さん。
「ボクは、ですね、壁から出てきたんですよ。いやいや、猫がですね。ひょっこりひょうたん?という感じで…。それで、ですね、ですね、……ノラがボク達のキューピットだという小説を書きたいと思いまして。ですね…。多少はブログでやっているんですがね…。」と延々一時間ちょっとは語ったボクは、緊張しているせいか、手足がしびれ、顔も真っ赤になって冷や汗だらだらだった。
「緊張している?」と率直に古山さんはご自慢の鼻の下のちょび髭をつまんで伸ばしてそう訊いてきたんだ。ボクも率直に自慢の高い鼻をなでおろし…、
「は、ハイ。とっ、とっても…。」と言った。
「それとも怖いかな?髭面で…。」と古山さんは言う。
「いえ、いえ、は、は、初めてですから…。」…図星だったボクは苦笑い。
次にこう、ごまかした。
「企画出版になるように頑張りますから…。」
「そうだよね。」と言って、ボクのプレゼンテーションに耳を傾ける古山さんは何を感じていたのだろうか…。
 ボクは夢中になって小説の事を必死に必死に夢を語ったのだった―。

 つづく

壁取物語 ~壁から出てきた猫~ ―第90話―

2006-06-29 | [小説]超・壁取物語~壁から出てきた猫~
◆夢を抱く章◆

―90―(猫にマタタビ)

 3時間も早くに、お茶の水近くの出版社「天笛舎」に到着した。地図で探した天笛舎は、ちょっと汚いビルだった。―というのも裏通りにあったからかな…。
この前、事前にネットでボクのブログがエントリーする、「ブログランキング」でみつけたセミナーと出版相談会に、申し込んでいて準備が揃っていた。早く着きすぎたので、近くでミィ姉とともに時間つぶしにお茶をすることにした―。
 ボクは、今朝は、それほど実感はなかったんだけど、この時間になって猛烈に緊張してきた。執筆中の小説を見てもらうので、どう表現しようか…、頭の中が、破裂しそうなくらい心配で心配で本当にしょうがなかった。
 「緊張するよ。ミィ姉…。」
ボクの手足は震えていた。
「心配するなって、私が付いているじゃないですか。“案ずるより産むがやすし…”自分に言い聞かせてって言ったでしょ。」とミィ姉は、いつものように優しかった。さすが、将来の妻である。ふたりで右と左の反対のイヤホンをふたりの内側の耳に入れ、音楽を聴いていた。

それはそれは、あっ!という間に、時間になって、会場のあるビル3階の天笛舎へ行き、ボクは無料セミナーを受けた。セミナーは、19歳以来の高校の国語の授業のようだった。実に懐かしかった。ボクも、もともとこんな事だって出来たんだよな…。ちょっとあの頃を思い出したり…。

 つづく

壁取物語 ~壁から出てきた猫~ ―第89話―

2006-06-28 | [小説]超・壁取物語~壁から出てきた猫~
―89―(朝食はパンにメイプル)

それから1時間後―。ボクは、お出かけの準備をしていた―。
―コーヒーを飲み終えると…―ボクは、簡単な朝食を用意した―。夕食はミィ姉が作るので、朝食ぐらいは…と、用意した―。
「朝食はパンにメイプルだよ。」と、―すると、
ミィ姉はその後ろの化粧棚からいつかの桜あんぱんを出した。
「どうしたの?それ。随分萎びているね、カビ生えてるし。」とボクは眼を見開いて言った。
「前、爽が風邪ひいて寝込んでいたときにコンビニから買ってきたやつだよ。まるで今日のこの日のために取っておいたかのようなタイムカプセルだね。」とミィ姉は言った。

「桜あんぱん食べたいって言ってたから、あるよ、新しいのがここに。」とミィ姉は言ってテーブルの紙袋から桜あんぱんを出した。
「ボク桜あんぱん食べたいって言ったっけ?」
「覚えてないのね…?」
そして、「じゃあ、いただきましょう。」とミィ姉が掛け声をかけた。
「いっただっきまーす!!」と、ふたりは、朝食のありがたさに、元気よくあいさつをした。

そう会話は続いて「朝食はパンにメープル+α(桜あんぱん)」をふたりは、口の中も身体をも潤い滑らかにするかのように頬張っていった―。

―爽は、手のしわとしわをこすりあわせる。
「最高に、美味しかったよ…。しかし、寒いな!!」
「そういえば、天気予報では、雪って言っていたからね…。」
―ボクはカーテンをチラッとめくると―、
「雪だ~。」とボクが言った。
ミィ姉もボクのいる窓辺に近づいて来て、窓から身をのりだして、ボク曰く、神様のスカートの中に入る…。

「綺麗だね…。」とミィ姉が言うと、
「そう、雪が下へ下へと降りて行くようだけど、逆に考えてこちらが天へ天へと昇って行くようにも見えるね。」とボクは空を仰いで言った。
「そうね。美しいわ。」とミィ姉が言った。

そして、ミィ姉は詠った―。

 過去へ未来へ旅をした日には
頭痛がする

憤りを救うのは
夢の青写真をみるのがいい
ほらあの星をごらんなんてね
あの星みたいにいつか輝きたいねって

桜あんぱん片手にメディシン飲んで
いつしか心の弦が弾かれて
咲かせてよ散らしてよ
待ち遠しい季節

甘くて香しいこのあんこみたいな幸せがあれば
それはピンクのバクを繋いでるのと同じ
悪い夢は消えてしまうよね
いつでも…

キミとだからこそ
叶えたい
大丈夫道に迷っても
いつもの場所で待ち合わせ
桜あんぱんを分け合い
頬張った場所で
ずっと待ってるから


「うんじゃあ、ミィ姉、行くよ。」とボクは言うと、

玄関のドアをそっと開けると…外は眩しい銀世界だった―。
「わぁ、カキ氷だぁ~。」とボクはこれから立ち向かう遠い未来を見据えて言った。

―晩冬の大空の下…

ボクは、予てから夢だったブログ「ノラの清瀬日記」に掲載し公開していた自作のボク達ふたりの事のブログ小説「壁取物語」を信じて、出版相談会に行くのだ―。そう張り切ってこれまでの前を向いていなかった自分の分身に伝えた―。
「いってきます!!」

…ボク、…爽少年・大空清人の後姿は、その頃からはもう、以前のような猫背、猫に小判では、なかった。

すべては、簡単なようだが、困難あっての確かな獲物だった。

 つづく

壁取物語 ~壁から出てきた猫~ ―第88話―

2006-06-27 | [小説]超・壁取物語~壁から出てきた猫~
―88―(お風呂にて―)

風呂にて…。

ボクはお風呂で、小学校のときやった波プールのごとく、水をジャバジャバと波を立たせていた―。
―身体を洗っていたミィ姉のその身体に波立った浴槽のお湯が打ちかかる。
「何やっているの!爽!」とミィ姉は怒ると―
「あのね。精霊さんいる…? きいてみて。」ってボクは突如、言い出した。そして、ミィ姉は精神集中して、「精霊のサトちゃん、いますか―?」って精霊の岡部聡さんを呼んでみた。
―さっきまで、騒がしかったお風呂場は静まり返っていて、ひとりだった頃を少し感じさせた。

「精霊さんはいつまでもいるよね?」とボクは言葉を追加する。
―ミィ姉は明後日の方を見据えるようにして、眉間にしわを寄せ、また目を裏返す。そして、突然、眼はパッと白から黒へと切り替わる。
「君達がもっと幸せになるまではね…。」
―そこでボクに疑問はそういうふうに生じ、そして、こう言った。
「もっと幸せになったらどうなるの―。」
「『ボクが昇天して、ボクの先生がつくの…、』って言うけどそう、何か、酔っ払っているみたいな感じだよ。精霊さん。」とミィ姉は言った。
「精霊さんの先生?」とボクは質問する。
「うんうん、精霊の先生は偉いんだって。」とミィ姉は言った。
「何で酔っ払っているの?」とボクはまた間接的に精霊さんに質問する。
「『私たちがうらやましいんだよ。』って…。」
―精霊さんは、ミィ姉の事が好きだから…焼き餅焼いているとボクは思った…。

ボクは思った…。
お風呂とは―、身体を清める神聖な場所なのである。
シャンプーとコンディショナーと、そして、入浴剤、
精霊さんは、これらが大好き…。そして、
精霊さんは、ふたりが大好き…。だから、
運命の糸(意図)で、結んで…。と一方通行の想いに浸って、酔っ払い狂っていたんじゃないかな…。

 つづく

壁取物語 ~壁から出てきた猫~ ―第87話―

2006-06-26 | [小説]超・壁取物語~壁から出てきた猫~
―87―(朝の仕事)

2006年2月

20年ぶりの大寒波がきた―。ボクが生まれて4年経った季節だ。

♪リリリリリリリリリリリリリ
「うるさい!」
―と、ミィ姉は寝ぼけ眼で言った―。
「目覚まし時計だよ~。朝だ!」とボクはつぶやき、
目を覚まし、上体を起こした。
「眠い。」
―ミィ姉はまた眠りそうになった。そこでボクはいつものように…
「コーヒー飲んで~。」と優しく囁く―。
「んん?」
―ミィ姉は目が裏返るほど、寝ぼけている。
「コーヒーのネスカフェに牛乳入れたよ。」とボクが言うと、
「起こして。起こさないと飲めないよ~。むにゃむにゃ。」ってミィ姉…、ボクは笑みをこぼしていた。
―そして、何とか起こそうと、ボクは夢の世界にまだ脚を入れているミィ姉はボクの首に掴まって状態を起こし、お互いの口と口は密接に貼りついた状態で上体は起こされ、目を覚ます―。
「ウッウ、ウウウ…、ありがとう。」ミィ姉はまだ寝ぼけている。
「起きて。起きて。」とボクはミィ姉を急かす、急かす。
「今、おぼれる夢、見たよ。」ミィ姉はやっと目を覚ました。

 つづく

壁取物語 ~壁から出てきた猫~ ―第86話―

2006-06-25 | [小説]超・壁取物語~壁から出てきた猫~
―86―(夢の命)

―ミィ姉からボクの見え方は変わっていった―。
「そして、また、渡し伝えて、そして、繋いで行くんだね。バトンのように…。本当だったら、すごいよね…。運命的な出逢いだったんだね。ハハハ!!!」
「うん。ボク、自信出た…。ボク、何か障害があっても、何か出来る気がする―。いつしか空っぽになった夢。夢が、希望が、満ちてきた―!よしよしよーし!!!!!!」とボクはかつての夢を思い出したのであった。
「爽も成長して大人になったよね…!」とミィ姉はボクの肩を叩いて言った。
ボクはハッと心を掴んだように顔を赤らめて…、
「そうだ。クマンほしいね。」と言った。だが…、
「クマンはいるよ。」とミィ姉の目は点になって言った。
「縫いぐるみじゃなくてさっ…ボクらの間に…」とボクは赤くなって、どもった。
「えっ?」
―ミィ姉は驚く。
「空が満ちるって書いて…空満(ク―マン)ってさ…。可愛いだろうな…。ボク達の子供。」ボクは言った。
「えっ?」―ミィ姉は、心という器の中に漂う魂というものが波立って、眼から込み上げてくるものを感じた。
すると、
「そういえば、さぁ~、さっき三波先生、診療、今度から一割負担だってな。」
―とボクは言って話の方向を変えた。
「………。」―ミィ姉は黙ってしまった。
「お薬も…一割負担って…言っていたな。」
「………。」
「1ヶ月で5000円近くかかるな。」
「………。」
「“障害者自立支援法”だよ…つらいな…。」
「………。」
「たださえ、働けないのに、そんなボクラから、お金とるんだよな。障害の痛みを知らないやつらは…。―かと言って、働かせてくれない。何なんだよこの世の中…。具合悪いとき診察行けなくなるな。“障害者自立支援法”というよりは、“障害者の生活不安支持法”だよな。」
「………。」
「でも、しっかりして、そういう努力してじりつ、自立しなくちゃね…。」
「……なんで!!!…いいムードだったのに~…なんでそんな、病、病の話をするの~?」
「残念~。みたいな~!!」
「もう、流行っていませんから~!! みたいな~!!」
「ハハハハハハハハハ」
「ハハハハハハハハハ」
ふたりは笑っていた―。
でも、ボク達は…、危険な麻薬に匹敵するような薬を飲んでいるので、子供を創ることが出来るのだろうか―不安である。

さて、―ボクたちは、障害と言われてこの毎日の生活どうしているの!?…って言われるかも知れないけど、ミィ姉の母親の遺産によって、何とか生活できている。でも、もう少しで生活保護を頼ることとなるだろう。
それは、世間的につらい。ミィ姉のマンションの大家には、仕事をしている身だということで借りた賃貸のマンションだ。そして、生活は毎日が日曜日―、それがまた、精神的な負担を軽くするためにも、そうせざるを得なかったのだが―。なぜなら、障害者はまだ働くような場所は確保されておらず、時代の流れが障害者の受け入れ態勢という制度を整える日を、ボクたちは待っていたからだ―。

そして、報告します。ミィ姉の親友だった友達、塩川香味さんに、気持ちを振り切ってミィ姉が連絡をしていました。なんか、前の事が嘘だったかのように、明るく話せたようで…。

 つづく