TP-S1と天井の間に動物の皮を挟むとより良い音になります。動物の皮だと音の再現性が低いため、アルカンターラ等の人工皮革やその他の緩衝材などを試しましたが、音は動物の皮の方が良かったです。動物の皮は、刺々しさが少なく艶めかしい音が出る感じでした。この記事の試みは、音の再現性も期待できるし動物愛護の観点からも素晴らしいと思います。
TP-S1と天井の間に動物の皮を挟むとより良い音になります。動物の皮だと音の再現性が低いため、アルカンターラ等の人工皮革やその他の緩衝材などを試しましたが、音は動物の皮の方が良かったです。動物の皮は、刺々しさが少なく艶めかしい音が出る感じでした。この記事の試みは、音の再現性も期待できるし動物愛護の観点からも素晴らしいと思います。
間が空いてしまいましたが、ネジは一期一会 3回目は、音の良いネジを追跡したら信頼できる工場に行き着いた話です。スピーカー開発の過程で色々なネジが集まってきます。そして、同じネジ規格でもそのロットでないと出せない音があることがわかってきました(詳しいことは企業秘密)。ホームセンターなどではダメですが、親切な小売店で箱買いするとそのロット番号を教えてくれます。そのロット番号からどの工場が製造か追跡できます(簡単ではないです)。TP-S1のある部分にこれでなければならないというネジがあり、なぜ音が良いのか知りたくて大阪の工場に電話しました。工場長さんに取り次いで頂き、「あなたの工場で製造されたネジの音が良いのですが、話をお聞かせ頂けませんか?」とお願いしたのですが、「そういった対応はしていません」と断れてしまいました。それから数分すると電話がかかってきて「社長が興味を持ち、良かったらいらして下さい」と仰って頂きました。
冬の寒い日、工場を訪ねました。社長さんは、ネジの音が良いと言われたのは初めてで面白いと思ったそうです。開発中のTP-S1を見せ、この部分があなたのネジでないと良い音にならないと伝え、音の良いネジと音の良くないネジ数種を見せました。それらは同じ規格のネジなので私にはほとんど区別出来ないのですが、社長はルーペを取り出し見比べると「確かにウチで作ったネジだ」と断定しました。そして、その判別ポイントを説明してくれました。また、製品管理のため保管してある同ロットのネジと見比べ同じネジであることも確認しました。その工場のネジはどのような点にこだわって製造されているか(製造法の違いや金型の管理など)、音の悪いネジと違いを見比べながら説明して頂きました。音質でたどり着いたネジ工場が私と同じく拘った物作りをしていると知り嬉しくなりました。
次回は、最終回、なぜネジは一期一会なのかお伝えします。
ネジ工場に訪問した朝の写真
「ネジは一期一会」として特にお伝えしたいことは次回以降になりますが、ここではネジの種類と音の関係について私が感じたことをお話しします。TP-S1のすべての部品は、音を比べて決めています。TP-S1のある一箇所のために検討したナベ小ねじの試聴をもとにお伝えします。実際はもっと多くのネジを試しているのですが、煩雑になるので一般的なネジに絞って紹介します。他の使用目的では音の印象が異なると思いますので、参考程度として下さい。【材質】と【表面処理】に分けてお話します。
【材質】
1. 鉄
2. ステンレス
3. チタン
4. 黄銅
ネジの一般的な素材としては上のようになると思います。鉄の音は、柔らかく伸びやかで懐が深い印象があります。磁性体ではありますが、実際に音を聴くととても良い音と思います。先入観なく試聴で決めることが重要かなと思います。ステンレスは固くてキツイ音の印象がしました。チタンは、音が弱い印象。黄銅は、記憶が少ないですが(暗い?重い?)使用しないことにしました。
【表面処理】
1. 六価クロム(銀) (ユニクロ)
2. 三価クロム(銀)
3. 六価クロム(黒)
4. 三価クロム(黒)
5. 四三酸化鉄皮膜 (黒)
鉄に対する表面処理は、主に上のようになります。クロム処理は、大まかに1-4の種類があります。銀色と黒色では、黒色の方が落ち着いた感じがします。ホームセンターで売られているのは、1.のユニクロのネジです。一般的に、ユニクロというのは六価クロムを指します。六価クロムは、毒性があり、環境負荷も高いので、最も一般的なものとして流通しているのは気になる点です。音は悪くないと思います。六価クロム(黒) と三価クロム(黒)を比べると、六価クロム(黒)は艶めかしい音がするように思います。三価クロム(黒)も良いネジを選ぶととても良い音と思います。四三酸化鉄皮膜は、枯れた音の印象で、使い方次第では面白いと思います。2-5のネジは、ホームセンターで売られていないと思いますので、専門店で購入する必要があります。あっ、そう言えば生のネジというのもあります。これは、メッキなどの表面処理をする前のネジで鉄そのものです。これも素直で太く良い音がしていました。錆びてくるので実用性はないですが...
ざっと、お伝えしましたが、色々な種類のネジを揃えて音の違いを楽しんでみて頂けたらと思います。
スピーカーを自作されている方もいらっしゃると思いますが、ネジで音が変わるというのをご存知でしょうか?トルク管理など話題になりますが、ネジで音が全く変わります。もちろん、材質、太さ、長さ、表面処理など吟味して最も音が良い適切なネジを探すことは当然ですが、製造業者、製造ロットでも音が違います。ユニクロメッキ スチール製 M5 x 10mmのなべ小ねじをホームセンターAで購入したとします。しかし、その規格のネジをホームセンターBで購入しても同じネジではなく音も全く異なると思っておいた方が良いです。あなたが手にしたネジは、その時、奇跡的確率で存在した1本であり、同じのも二度と買うことができないかもしれません。なぜネジは一期一会なのか、何回かに分けて説明します。
良いスピーカーほど、ネジで敏感に音が変わるはずです。TP-S1の開発には3年以上かかりましたが、どうでも良い音のスピーカーであれば苦労はしなかったと思います。TP-S1の構造を発明し、些細な部品の違いで音が変わることが明確になり、ネジを含めすべての部品を音で選定しました。ルミノサウンドは、良い音のネジを同一ロットで大量ストックしています (写真は一例)。