最近の家電メーカーは本当に元気がありません。
ようやく、円安になって、輸出企業も利益が出そうになってきましたが、今までの円高がボディーブローのように効いていて、体力がほとんどない状態と思います。
まずはシャープに関する評論を見つけてきました。
「いよいよどんづまりに来たシャープそして出口はなかった (週刊現代 3月18日)
復活が囁かれたのも、ほんの束の間。韓国企業とのサプライズ提携が、賛否両論を呼んでいる。経営不安説も再燃してきた。アベノミクスに沸く市場から、ポツンと取り残された大企業の行く末とは。」
と書かれています。
最近、韓国のサムスンとの提携があり、一息ついたように見えましたが、台所は火の海状態のようです。
「それだけではない。大手証券会社幹部はこう指摘する。
「シャープがいま『必達目標』としているのは、2012年10月~2013年3月期を通しての営業黒字だが、実はこれがかなり難しくなってきたといわれる。この営業黒字を達成することがメインバンクであるみずほコーポレート銀行、三菱東京UFJ銀行からの支援継続の条件なので、どんな手を使ってでも財務体質を改善しなければいけない状況が続いている」」
営業黒字を出すことが難しく、そのことで銀行からの支援継続を得ることが難しい瀬戸際に追い込まれているのだそうです。
ここまで追い込まれたのには、3つ理由があるそうで、
1.アップルのiPhoneやiPadの売れ行きが減り、アップルに供給している液晶の生産が減産しているそうです。
2.最近の円安によって海外で生産しているシャープの製品が国内に逆輸入したときに割高になり、苦戦を強いられている。
3.台湾・鴻海精密工業との出資交渉が難航していることにある。
以上の3つの条件が悪化し、シャープを苦境に追いやっているそうです。
さらに、政府からの支援も今のところ期待薄の状況のようです。
最後に、「今回、その売り先として最大のライバルであるサムスンと手を結んだが、これが買収危機の引き金になる可能性もある。
しかし、シャープにはほかに打てる手はなかった。いよいよ出口がなくなってきた。」と締めくくっています。
この評論を見ていると、シャープは本当に苦しそうです。
次に、パナソニックの最近の動きを見てみます。
「パナソニック、プラズマテレビ生産からの撤退を検討 (FNNニュース 3月18日)
テレビ事業の不振などで経営が悪化しているパナソニックが、プラズマテレビからの撤退を検討していることがわかった。
「脱テレビ依存」を掲げて、経営の立て直しを進めているパナソニックは、プラズマテレビの生産から撤退する検討に入った。
2014年度中にも、生産を終了するものとみられる。
プラズマテレビは、海外メーカーとの競争も激しく、国内の大手電機では、パナソニック1社だけ、兵庫・尼崎市の工場でパネルを生産していた。
パナソニックは、2年連続で、7,000億円を超える最終赤字となる見通しで、今後の事業方針を盛り込んだ「中期経営計画」を来週発表する。」
パナソニックはプラズマテレビから撤退するでしょう。
遠からず、さらに、液晶テレビからも撤退することになるでしょう。
さらに、
「パナソニック、ヘルスケア事業の売却を検討 (FNNニュース 3月17日)
主力のテレビ事業の不振で経営が悪化している大手電機メーカーのパナソニックが、医療機関向けのシステムなどを手がけるヘルスケア事業の売却を検討していることがわかった。
パナソニックは、経営再建のため進めているリストラの一環として、医療機関向けの電子カルテのシステムや血糖値の測定器などを手がけるヘルスケア事業を売却することを検討している。
ヘルスケア事業は黒字を確保しているが、多額の研究開発費用がかかることなどから、売却に踏み切るものとみられる。
パナソニックは2012年度、7,650億円の赤字となる見通しで、2年連続で巨額赤字を計上することになるため、黒字の事業もリストラの対象として経営の立て直しを急ぐ。」
パナソニックのヘルスケア事業を売却検討しているとのことです。
パナソニックのヘルスケア事業は松下寿電子工業が基になっている事業です。
松下寿電子工業は、VHSビデオレコーダーの北米向けを開発販売していました。
一時は株価も高く優良企業でした。
今後のパナソニックの売れ筋商品は何になるのでしょうか?
AV関連で、今後売れ筋の商品が何になるのか?が見えてきません。
さらに、33万人にものぼる社員の固定費はシャープ5万6千人やソニー16万人に比べ桁違いに多く、ひたすらリストラしていくしか道はないように思います。これからリストラを進め、そこから売れ筋商品をしぼっていくしか道がないのが現状です。
パナソニックはアナログ時代の大量生産、大量消費の時代の儲け頭でした。
デジタル時代のAV関連の商品は、部品が汎用化されており、一旦、開発・商品化すると、どんどんと値が下がっていきます。
ソフトやデザイン、エコシステム等で他を圧倒する商品を販売しないと生き残れません。
それとも、ニッチを狙い、高級品市場に参入するか、独自性を出すか等の商品を販売に徹するしか道はないでしょう。
ただ、パナソニックはニッチを狙う企業ではないと思います。
パナソニックは消費者向けのテレビ、レコーダー、オーディオ関連のAV関連の事業から撤退しようとしていると見てよいでしょう。
AV関連で残るのは特機関連の商品だけになるでしょう。
パナソニックは白物家電に特化するしか生き残りの道はないと思います。
それまで、長いリストラの道を進むことになるでしょう。