来年に消費税を上げるのが既定の路線のように言われていますが、今年の9月に安倍首相が消費税を8%に上げるかどうかを決めます。
社会保障と税の一体改革法案の中には次のように書かれています。
「この法律の公布後、消費税率の引上げに当たっての経済状況の判断を行うとともに、経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、第2条及び第3条に規定する消費税率の引上げに係る改正規定のそれぞれの施行前に、経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、前項の措置を踏まえつつ、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる。」
非常にわかりにくい日本語で書かれていますが、要は消費税を8%または10%に上げる前に、景気の良し悪しを判断し、悪ければ消費税を上げず、良ければ消費税を上げる、ということです。
今の世の中の景気の動きを見ているとまだ良いとは言えません。
景気が悪い時に消費税を上げると、景気が最悪の状態になります。
そこで、産経新聞の田村論説委員は、
「量的緩和効果は消費増税で台無し」 (田村秀男 2013年 4月5日)
「消費需要が低迷するデフレ下での消費増税自体が無理なのだが、日経新聞に至っては3月25日付の社説で特別措置法の早期成立を国会に催促する始末だ。自由な経済原則をねじ曲げることを何とも思わず、自身の権限拡大に走る財務官僚べったりのメディアには、同業ながら怒りを禁じえない。」
と日本経済新聞の社説に対して批判をしています。
さらに、イギリスの例をあげています。
イギリスでは、景気が低迷する中で、消費税を17.5%から20%に上げてしまい、景気がたちまちに悪化し、実質成長率も0%近くまで落ちこんでしまいました。
消費税を上げるには、景気がよくなってから初めて効果がでます。税収のアップも望めます。
さらに、経済学者の浜田宏一先生は、
インタビュー:消費増税先送りも選択肢、ドル100円程度は「妥当」=浜田参与 (ロイター 4月9日)
安倍晋三首相のブレーンで内閣官房参与を務める浜田宏一米エール大名誉教授は9日、ロイターとのインタビューに応じ、日銀の黒田東彦新体制が打ち出した大胆な金融緩和政策などを受けて景気に明るい兆しが見え始めている中、その動きを確実なものにするためにも、政府が2014年4月から予定している消費税率の引き上げを1年先送りすることも選択肢との認識を示した。」
まだ、金融政策が始動したばかりです。秋には、もう少し立て直しているでしょうが、まだまだ金融緩和し始めたにすぎません。
このような状況で、消費税を上げることが何を意味するか、少し世の中を見渡せばわかることと思います。
判断するのは、安倍首相なんでしょうが、英邁な決断をお願いしたいと思います。