レナード衛藤のブログ

音楽のこと、食のこと、旅のこと・・・
書き留めていけたらと♪

イギリスで感じたこと

2025-02-06 14:48:55 | けものみち

昨年のことになりますが、10月にイギリスでワークショップを中心としたツアーをしました。

前にイギリスを訪れたのは2004年で、’80年代にポストパンクとして活動した"Siouxsie and the Banshees"(スージー&ザ・バンシーズ)のライブツアーに参加して以来でした。

とても実り多き日々でしたので、感じたことを書き留めておこうと思っていたのに書けなかったことが残念で、残念で。

事実、帰国前日に”Kemono Michi”が観客賞を授賞との連絡を受け、帰国1週間後、式に出席するためにミラノへ飛び、再帰国(笑)

そして、東京と京都で公演が続いたので頭も体もスペースがありませんでした。

さて、ワークショップを企画して下さったのは、Taiko WestのJames(ジェームス) さんとPlay TaikoのTeresa(テレサ)さん(写真右下のお二人)。

私が「かつぎ桶太鼓は一人ずつ見てあげたいので少人数が希望」と伝えただけで、お二人は具体的にどんなワークショップになるか分からないまま「とにかく、全然違うから!」と参加者を募り、延べ126名の方々が参加して下さったことは、まさにお二人の人望。

イギリスでは‘90年代から2000年にかけて多くの太鼓グループが誕生したようですが、そのリーダーや指導者は英語教師として日本を訪れ、文化に触れる中で太鼓と出会い、母国に帰ってプロ集団を設立したり、学校の教育プログラムや地域のコミュニティで教えたり・・・。

そういった背景があるからか分かりませんが、私の音へのアプローチや体の使い方に対する関心がすごく高いと感じ、私にとっても彼らの太鼓の取り組み方や向き合い方がとても新鮮で心豊かにしてくれました。

経験度合や技術の習得が異なる参加者が集まる中で、即興的にアンサンブルを作っていくのが私のワークショップのスタイルなのですが、その過程でキーワードとして上がった言葉が2つあります。それは、

 

Space(空間、間など)

Perspective(視点、観点)

 

主にワークショップでは、次のようなことを伝えています。

・音を出すエナジーは腕とバチの重さだけで十分。叩こうとしなくて良いですよ。

・桶太鼓の両面を叩く時、バチの持ち換えは遠心力を使いましょう。

 

でも、イギリスではこんなことも・・・。

・太鼓はリズムを叩くけれども、空間を作ることでもあるので埋め尽くさないで~。

・今、作っているアンサンブルに間違いはありません。間違いがあるとしたら、周りの音を聴かずに出した音です。

 

「あれ?なんか哲学っぽいこと言ってる」と自分で勘違いするくらいアンサンブルを作りながら話をしていたように思います。

今、”Kemono Michi”に取り組んでくれているメンバーとの創作の時間もしかり、先の「レオのタイバン」の共演バンド "Buntei"とのチョイコラボの時間もそう。

このところ、私自身の視点がイイ感じで変わって来ているように思うのです。

これも森の影響なのかな。。。

 

(森、社会、グループには)いろんなのがいる。(自分と違うからと言って)否定することは簡単。どうしたら共存できるか。

実社会ではとても難しいことだけれど、音楽の現場だったらそれは新しい音の発見になるのかも知れない。無理はしないけど・・・。

レナード衛藤プロデュース”Kemono Michi”
3月8日(土)9日(日)大阪・花博記念ホール

けものみちの時代が来る!?<その1>

2025-02-04 18:22:06 | けものみち

"Kemono Michi"にフォーカスする日々を送っています。

昨年、イタリア・ミラノで初演され、お客様に最も熱狂的に愛された作品として観客賞を受賞した”Kemono Michi"。
 
そのコンセプトは数年前の「森体験」です。
 
森に入るといろいろな生物や木々の色や形といった「膨大な情報」が目に入ってきます。
そして、歩を進めていくほど、見えてくるものだけではないパワーを感じました。
 
これまでの「旅体験」でも感じていたことがあります。
目で見た記憶よりも強烈な記憶として刻まれている体験には、皮膚感覚や匂いといった目に見えない要素がたくさん含まれているなと。
 
今、その記憶をたどるように音やリズムを作っていることが楽しくて仕方がありません。

ところで、昨年何度かヨーロッパへ行って、帰ってくるたびに感じていたことがあります。
 
「日本人は本当にうつむいてばかりだな。」

みんなスマホ。。。
 
仕事はもちろん、惰性でも開けてしまうスマホやPC。
毎日毎晩、私たちは目に入ってくる「膨大な情報」の処理に追われています。

今も思っていることや感じていることを書き残しておこうと思い、PCでこのブログを書いています。
 
太鼓という最強のアナログと向き合って自分を形成してきたわけだし、やめられない&止まらないライブの創作をしながら、ブログを書いて自分の時間を大切にしていこうと思います。
 
レナード衛藤プロデュース”Kemono Michi”
3月8日(土)9日(日)大阪・花博記念ホール

味わい深い旅 イタリア

2024-06-05 14:17:10 | イタリア

イタリアツアーから無事に帰国して1週間ほどが経ちました。

毎度のこととは言え、いろいろなプロセスを経て、4年ぶりにヨーロッパへ乗り込むことができました。

今は湿度の高い日本で少しヘタレ気味です。

思い起こせば、日本だけが海外から帰国時、PCR検査が必要で戦々恐々としていた頃から、ジョージア、フィリピン、インドとまあまあ普通ではない濃い旅をしてきましたが、今回のイタリアもこれまでにはない味わい深い旅となりました。
 
何か国を旅してきて、何回公演して何人集めたとか、情報や価値としては伝わりやすいとは思うのですが、ぶっちゃけ、そんなことよりも大切な「旅の質感」を変えたように思います。
 
ミラノでのライブは「けものみち」と題して、イタリアの太鼓ユニット"Sanbiki no taiko-uchi"とダンサーの田所いおりさん、劇場の照明・音響スタッフとともに作りました。
 
劇場の入口(いわゆる小劇場なのですが、とても素敵な空間でした。)
 
以下、ライブの写真はすべてTheatre NO'HMAからのものです。
 
森をテーマに多様な音(の価値観)と空間を演出したかったのですが、リハーサル当初は共演者の音や表現にズレがありました。それらをネガティブにとらえることは簡単でしたが、むしろ、ヨーロッパ的な視点や解釈の違いを楽しみながら、起きていることを理解し合い、相応しい音や表現を見つけていったように思います。
 
 
ライブだけでなく、ローマとレッコで開催したワークショップの熱量もすごかったです。
 
かつぎ桶太鼓クラス、アンサンブルクラス、プライベートレッスンとありましたが、太鼓初体験で私とも初対面なのに全クラス(計5時間越え)受けた方もいれば、レギュラークラスの後にプライベートレッスンの申し出をされた方もいました。
 
ライブもワークショップも企画していただいた方々のご理解とご協力がなければ成立しませんでしたが、企画した方々も驚くほど充実した内容になりました。この場で改めて感謝申し上げます。
 
そして、ふと頭に浮かんだ言葉は「信頼」でした。
信頼というと長い年月を経て築き上げていく関係のように思われますが、今回はライブ、本番までのプロセス、ワークショップの参加者、宿泊でお世話になったおうち、移動中の出来事など、あらゆる現場に信頼関係が芽生えていたように思います。
 
そのことが集約されていたのが食卓だったかもしれません。
イタリアと言えば、ごはん。感謝しきれないほどの楽しい時間と家庭料理のおもてなしをいただきました。
食は文化であり、言葉が通じなくても分かり合える場。
 
滞在先のコモ湖では、毎日(三匹の太鼓打ちの)キアラさんが色鮮やかなお料理を作ってくださいました。
 
 
ローマの休日。ステイさせていただいたご夫婦所有のガーデンでBBQ
 
「うちでみんなとごはん」はとても大切ですね。
 
信頼という言葉を噛みしめながら、今夜もおいしくごはんをいただきましょう。
 
左前:キアラさん、私、いおりさん
左後ろ:サムエレさん、トビアさん
 
この旅が影響されないわけがない!最新ライブシリーズ!
7月3日(水)渋谷 Star Lounge

けものみち

2024-05-10 19:43:29 | ヨーロッパ

4年ぶりにイタリアでの公演が控えています。「けものみち」というタイトルでコモ湖の太鼓グループ”Sanbiki no taiko-uchi ”と田所いおりさんとでステージを作ります。

これまでイタリアらしくゆ〜るゆ〜ると進行してきて、いよいよ公演月となったらグイッと巻いてくる感じ。

ホールの諸事情で急遽演出を変更しないとならなくなり、「もっと早く言ってよ」と日本的思考で受け止めつつ、その追い込まれ方は何度も経験してきているので懐かしさを感じています。

ミラノ公演(ノーマ劇場)オフィシャルサイト

そのイタリア公演直前に組んだソロライブ「衝動」は、それこそコロナ禍の中で人生初体験で調子に乗ってツアーまで組んだ時以来のフルソロ。当時とは世の中が変わったし、あの頃の失うものは何もないという挑戦とは違って、「今、自分は何ができんの?」と思うくらい冷静に連日スタジオで太鼓を叩いています。

「衝動」ライブ詳細

そんな私ですが、イタリア公演後の自分をイメージできているところもあります。と言うのも、ホントに世界を旅して生きてきたし、その影響で自分の音楽が作られてきたので、今回の旅の影響も行く前からうっすら見えています。

昨年から色々とチャージされてきたであろうものが、外から刺激を受けることでドヒャーッ!と出てくるのではないかと。そして、新しい世界=Another Worldを作ってみたい、見てみたいと。

ところで、イタリア公演のタイトル「けものみち」は、野生動物が通ることでできた道のことですが、「平穏無事な生活とは違う人生や生き方をする」という比喩でも使われます。

はい、まさに私です。そんなイタリア公演前のソロライブは、旅支度のようにリズムを見繕っています。


素晴らしいライブから感じたこと

2024-04-29 14:09:16 | 日々雑感
連休が始まり、ザ・イエローモンキー、そして、鬼怒無月さんとcobaさんのライブに行き、清涼感のある素晴らしい体験をしました。
 
 
久しく(でもないか!?)ライブに足を運んでいなかったこともありますが、ライブ後の浄化作用が凄かった。
自分が演奏するだけでなく、聴く観る体験がないとバランス崩れますね。
 
私は昨年9月から即興ベースでライブをしながら、これからの自分の音の在り方を想像してばかりいたので、純粋に音を楽しんで、心も体も委ねる時間が足りてなかったな~と。
 
でも、ライブの興奮が落ち着いてくるとともに、「果たして自分はこのような体験を提供できているのか?」と再び自分の在り方を問う深いツボにハマっていくのでした(笑)
 
イエモンのライブは、初めて聴く曲でもその歌詞のひとつひとつを受け取れるくらい音のバランスが良かった。
また、鬼怒さんとcobaさんのライブは一転してインスト(歌のない曲)なのだけれど、その楽曲の構築力が素晴らしかった。
 
 
表現も会場の規模も違うのだけれど、共通していたのは、音楽のちからとその曲を支えている哲学でした。
 
音楽表現であり、パフォーマンスだから、言葉としては哲学ではないのかもしれないけれど、そこには「生きることとは何か」、「いかに生きていくか」というメッセージがありました。
 
世の中は連休真っ只中。
私はじっくりと自分の心と体と太鼓と向き合って過ごそうと思います。
 
みなさん、くれぐれも事故には気を付けて下さいね。穏やかに。。。