昨年のことになりますが、10月にイギリスでワークショップを中心としたツアーをしました。
前にイギリスを訪れたのは2004年で、’80年代にポストパンクとして活動した"Siouxsie and the Banshees"(スージー&ザ・バンシーズ)のライブツアーに参加して以来でした。
とても実り多き日々でしたので、感じたことを書き留めておこうと思っていたのに書けなかったことが残念で、残念で。
事実、帰国前日に”Kemono Michi”が観客賞を授賞との連絡を受け、帰国1週間後、式に出席するためにミラノへ飛び、再帰国(笑)
そして、東京と京都で公演が続いたので頭も体もスペースがありませんでした。
さて、ワークショップを企画して下さったのは、Taiko WestのJames(ジェームス) さんとPlay TaikoのTeresa(テレサ)さん(写真右下のお二人)。
私が「かつぎ桶太鼓は一人ずつ見てあげたいので少人数が希望」と伝えただけで、お二人は具体的にどんなワークショップになるか分からないまま「とにかく、全然違うから!」と参加者を募り、延べ126名の方々が参加して下さったことは、まさにお二人の人望。
イギリスでは‘90年代から2000年にかけて多くの太鼓グループが誕生したようですが、そのリーダーや指導者は英語教師として日本を訪れ、文化に触れる中で太鼓と出会い、母国に帰ってプロ集団を設立したり、学校の教育プログラムや地域のコミュニティで教えたり・・・。
そういった背景があるからか分かりませんが、私の音へのアプローチや体の使い方に対する関心がすごく高いと感じ、私にとっても彼らの太鼓の取り組み方や向き合い方がとても新鮮で心豊かにしてくれました。
経験度合や技術の習得が異なる参加者が集まる中で、即興的にアンサンブルを作っていくのが私のワークショップのスタイルなのですが、その過程でキーワードとして上がった言葉が2つあります。それは、
Space(空間、間など)
Perspective(視点、観点)
主にワークショップでは、次のようなことを伝えています。
・音を出すエナジーは腕とバチの重さだけで十分。叩こうとしなくて良いですよ。
・桶太鼓の両面を叩く時、バチの持ち換えは遠心力を使いましょう。
でも、イギリスではこんなことも・・・。
・太鼓はリズムを叩くけれども、空間を作ることでもあるので埋め尽くさないで~。
・今、作っているアンサンブルに間違いはありません。間違いがあるとしたら、周りの音を聴かずに出した音です。
「あれ?なんか哲学っぽいこと言ってる」と自分で勘違いするくらいアンサンブルを作りながら話をしていたように思います。
今、”Kemono Michi”に取り組んでくれているメンバーとの創作の時間もしかり、先の「レオのタイバン」の共演バンド "Buntei"とのチョイコラボの時間もそう。
このところ、私自身の視点がイイ感じで変わって来ているように思うのです。
これも森の影響なのかな。。。
(森、社会、グループには)いろんなのがいる。(自分と違うからと言って)否定することは簡単。どうしたら共存できるか。
実社会ではとても難しいことだけれど、音楽の現場だったらそれは新しい音の発見になるのかも知れない。無理はしないけど・・・。