レナード衛藤のブログ

Facebookやインスタが多くなりましたが、書き留めておきたいことはブログですね。

味わい深い旅 イタリア

2024-06-05 14:17:10 | イタリア

イタリアツアーから無事に帰国して1週間ほどが経ちました。

毎度のこととは言え、いろいろなプロセスを経て、4年ぶりにヨーロッパへ乗り込むことができました。

今は湿度の高い日本で少しヘタレ気味です。

思い起こせば、日本だけが海外から帰国時、PCR検査が必要で戦々恐々としていた頃から、ジョージア、フィリピン、インドとまあまあ普通ではない濃い旅をしてきましたが、今回のイタリアもこれまでにはない味わい深い旅となりました。
 
何か国を旅してきて、何回公演して何人集めたとか、情報や価値としては伝わりやすいとは思うのですが、ぶっちゃけ、そんなことよりも大切な「旅の質感」を変えたように思います。
 
ミラノでのライブは「けものみち」と題して、イタリアの太鼓ユニット"Sanbiki no taiko-uchi"とダンサーの田所いおりさん、劇場の照明・音響スタッフとともに作りました。
 
劇場の入口(いわゆる小劇場なのですが、とても素敵な空間でした。)
 
以下、ライブの写真はすべてTheatre NO'HMAからのものです。
 
森をテーマに多様な音(の価値観)と空間を演出したかったのですが、リハーサル当初は共演者の音や表現にズレがありました。それらをネガティブにとらえることは簡単でしたが、むしろ、ヨーロッパ的な視点や解釈の違いを楽しみながら、起きていることを理解し合い、相応しい音や表現を見つけていったように思います。
 
 
ライブだけでなく、ローマとレッコで開催したワークショップの熱量もすごかったです。
 
かつぎ桶太鼓クラス、アンサンブルクラス、プライベートレッスンとありましたが、太鼓初体験で私とも初対面なのに全クラス(計5時間越え)受けた方もいれば、レギュラークラスの後にプライベートレッスンの申し出をされた方もいました。
 
ライブもワークショップも企画していただいた方々のご理解とご協力がなければ成立しませんでしたが、企画した方々も驚くほど充実した内容になりました。この場で改めて感謝申し上げます。
 
そして、ふと頭に浮かんだ言葉は「信頼」でした。
信頼というと長い年月を経て築き上げていく関係のように思われますが、今回はライブ、本番までのプロセス、ワークショップの参加者、宿泊でお世話になったおうち、移動中の出来事など、あらゆる現場に信頼関係が芽生えていたように思います。
 
そのことが集約されていたのが食卓だったかもしれません。
イタリアと言えば、ごはん。感謝しきれないほどの楽しい時間と家庭料理のおもてなしをいただきました。
食は文化であり、言葉が通じなくても分かり合える場。
 
滞在先のコモ湖では、毎日(三匹の太鼓打ちの)キアラさんが色鮮やかなお料理を作ってくださいました。
 
 
ローマの休日。ステイさせていただいたご夫婦所有のガーデンでBBQ
 
「うちでみんなとごはん」はとても大切ですね。
 
信頼という言葉を噛みしめながら、今夜もおいしくごはんをいただきましょう。
 
左前:キアラさん、私、いおりさん
左後ろ:サムエレさん、トビアさん
 
この旅が影響されないわけがない!最新ライブシリーズ!
7月3日(水)渋谷 Star Lounge

けものみち

2024-05-10 19:43:29 | ヨーロッパ

4年ぶりにイタリアでの公演が控えています。「けものみち」というタイトルでコモ湖の太鼓グループ”Sanbiki no taiko-uchi ”と田所いおりさんとでステージを作ります。

これまでイタリアらしくゆ〜るゆ〜ると進行してきて、いよいよ公演月となったらグイッと巻いてくる感じ。

ホールの諸事情で急遽演出を変更しないとならなくなり、「もっと早く言ってよ」と日本的思考で受け止めつつ、その追い込まれ方は何度も経験してきているので懐かしさを感じています。

ミラノ公演(ノーマ劇場)オフィシャルサイト

そのイタリア公演直前に組んだソロライブ「衝動」は、それこそコロナ禍の中で人生初体験で調子に乗ってツアーまで組んだ時以来のフルソロ。当時とは世の中が変わったし、あの頃の失うものは何もないという挑戦とは違って、「今、自分は何ができんの?」と思うくらい冷静に連日スタジオで太鼓を叩いています。

「衝動」ライブ詳細

そんな私ですが、イタリア公演後の自分をイメージできているところもあります。と言うのも、ホントに世界を旅して生きてきたし、その影響で自分の音楽が作られてきたので、今回の旅の影響も行く前からうっすら見えています。

昨年から色々とチャージされてきたであろうものが、外から刺激を受けることでドヒャーッ!と出てくるのではないかと。そして、新しい世界=Another Worldを作ってみたい、見てみたいと。

ところで、イタリア公演のタイトル「けものみち」は、野生動物が通ることでできた道のことですが、「平穏無事な生活とは違う人生や生き方をする」という比喩でも使われます。

はい、まさに私です。そんなイタリア公演前のソロライブは、旅支度のようにリズムを見繕っています。


素晴らしいライブから感じたこと

2024-04-29 14:09:16 | 日々雑感
連休が始まり、ザ・イエローモンキー、そして、鬼怒無月さんとcobaさんのライブに行き、清涼感のある素晴らしい体験をしました。
 
 
久しく(でもないか!?)ライブに足を運んでいなかったこともありますが、ライブ後の浄化作用が凄かった。
自分が演奏するだけでなく、聴く観る体験がないとバランス崩れますね。
 
私は昨年9月から即興ベースでライブをしながら、これからの自分の音の在り方を想像してばかりいたので、純粋に音を楽しんで、心も体も委ねる時間が足りてなかったな~と。
 
でも、ライブの興奮が落ち着いてくるとともに、「果たして自分はこのような体験を提供できているのか?」と再び自分の在り方を問う深いツボにハマっていくのでした(笑)
 
イエモンのライブは、初めて聴く曲でもその歌詞のひとつひとつを受け取れるくらい音のバランスが良かった。
また、鬼怒さんとcobaさんのライブは一転してインスト(歌のない曲)なのだけれど、その楽曲の構築力が素晴らしかった。
 
 
表現も会場の規模も違うのだけれど、共通していたのは、音楽のちからとその曲を支えている哲学でした。
 
音楽表現であり、パフォーマンスだから、言葉としては哲学ではないのかもしれないけれど、そこには「生きることとは何か」、「いかに生きていくか」というメッセージがありました。
 
世の中は連休真っ只中。
私はじっくりと自分の心と体と太鼓と向き合って過ごそうと思います。
 
みなさん、くれぐれも事故には気を付けて下さいね。穏やかに。。。
 
 
 

旅のロマンは続く

2023-12-12 20:40:53 | 太鼓と旅して40周年記念
デーモン閣下との久しぶりのパフォーマンス"Silently She Dances"が終わりました。
太鼓と旅して40周年の企画として、絶対に再演したかった作品です。
 
 
閣下とはお互いにリスペクトしつつも、多感な20歳前後に同じバンドで音を出していただけに、私が閣下から容赦ないダメ出しを食らったり普段の現場にはないやり取りが面白く、スタッフや関係者もその空気を楽しんでくれていたように思います。
 
そして、何よりもご来場いただいたお客さんが「いつもと違う」楽しさを感じてもらえたとしたら最高です。
 
SNSにも書きましたが、私は旅の経験が支えとなって自分の音楽が作られたようなものですが、"Silently She Dances"はそれが濃縮された作品だなぁと演奏しながら感じていました。
 
私のアフリカ体験や太鼓とダンスの関係。そんなこんなを脚本家の高階さんに丸投げして作品化して下さった。でも、それがパフォーマンスとなれば、一転して即興で進んでいく・・・。
 
「あまりリハすると飽きちゃうんだよ、即興が多いから。」
 
という閣下に逆らう者はいません。私もそうだから。
でも、照明や音響スタッフは大変!彼らも即興で対応してくれたわけですが、そこはチームレオ。頼もしい限りでした。いや、ほんとに。私らがMCでしゃべりすぎたため、終演が遅れ、40分で撤収というおまけ付き。
 
さて、酔いも醒め(笑)
太鼓と旅して40周年ラスト企画「レオクラシックス」と「ブレンドラムス」の2つの衝動にシフトし始めました。
世界情勢が厳しくなり、これからは今までのように旅を続けて活動していくことは厳しくなるかも知れないけれど、迷いや不安、自信とプライドが混在しながら、これからも自分のコンパスを頼りにライブという航海をしていきたいと思います。
 
その都度、乗り降りする乗組員=共演者とどこへ行くのか。風が強ければ、帆は推進力を増します。その風はお客さんが生むのか、時代の流れが生むのか。本当は自分がその風を巻き起こせたらカッチョイイのだけれど、そんな甘くはない。そもそも、ミュージシャンなんてそんな強い生き物じゃないですし、風という推しが必要です。
 
年末から年始にかけて、旅のロマンを満載してパフォーマンスしていきたいと思います。
 
12/29(金)19時開演
晴れたら空に豆まいて
レナード衛藤「年納めソロ&特別映像試写会」
2004年、アフリカ中東を旅したロードムービーを上映します。
素朴で素敵な仕上がりになっています。その予告編をどうぞ!
ご予約
 
2024年
1/13(土)16時開演
大阪花博記念ホール
レナード衛藤「レオクラシックスの衝動」
特設サイト
 
1/26(金)19時開演
新宿ReNY
レナード衛藤「ブレンドラムスの衝動」
特設サイト
 
終演後、新宿ReNYの楽屋にて。
 

ライブに反映させて成長する!?

2023-07-23 15:47:19 | 太鼓と旅して40周年記念
この2~30年で太鼓やバチの材料となる木や(動物の)皮の質が変わってしまい、良いものが本当になくなってきたなと感じています。これは日常の食生活と同じように、素材と供給のバランスが崩れてしまったんだと思います。
 
世界的な気候変動とはスケールが違いますが、身近なところで起きている素材の枯渇や変化に従って自分の表現も変えていく必要があると思っています。
 
だからと言って、電子ドラムやプラスチックの皮へ全面シフトする必要はなく、良き素材や時代を知る私らが率先して新しい表現を示していければと思っています。
 
話は変わりますが、先日、ヨーロッパのダンス関係の方とZOOMで話したこと。
この3年間を経て、お客さんが客席に座って(一方向の)ステージと対面して2時間を過ごすことに耐えられなくなっているという話になりました。
 
私は実感としてはなかったのですが、昨年3月の東京3daysで全方位ライブをしたことを思い出しました。
客席のフロア中央でトリオの演奏をして、本来のステージも含め、その周りをお客さんが囲む超臨場感あるパフォーマンスは叩き手同士のやり取りや音の混ざり方がとても新鮮で大好評でした。
 
そして、久しぶりのブレンドラムスも臨場感を演出のテーマにしました。
 
2023年6月23日 新宿ReNY「太鼓と旅してブレンドラムス」写真:橋本和典
※写真をクリックすると大きくなります。
フロアで大太鼓は凄く音がズレまくりまして。でも、臨場感をお届けしたく~。
 
 
ダンサーには無音で踊ってもらうシーンを作りました。打楽器炸裂からの無音というダイナミックレンジ。
 
 
実は、9月の即興ライブツアーもそのような状況を作れたらと思っています。
 
 
そもそも即興ということでテーマ性や作品性はなく、共演者とのやり取りや駆け引きが軸になりますが、先の太鼓やバチの素材の枯渇の話と繋がっていて、このような(不安定な)世の中だからこそ、少し斜(はす)に構えて色々と試していくチャンスかなと思っています。
 
結局、旅も即興ですし、すべての動機付けもそこかな。