リートリンの覚書

日本書紀 巻第二十四 天豊財重日足姫天皇 十九 ・中臣鎌子連、中大兄に心附する



日本書紀 巻第二十四 
天豊財重日足姫天皇 十九

・中臣鎌子連、中大兄に心附する



中臣鎌子連(なかとみのかまこのむらじ)の
人となりは、

忠(まごころ)があり、
正しく、
匡済(きょうさい)の心がありました。

乃ち、
蘇我臣入鹿(そがのおみいるか)が、
君臣長幼の序を失くし、

社稷をうばおうと、
すきをうかがい權(はか)ることに、
憤っていました。

王宗の中を歴試(れきし)に接し、
功名を立てる哲(さと)い主を求めました。

便ち、
中大兄(なかのおおえ)に
心附(しんぷ)しましたが、

疎で、
その幽抱(ゆうほう)を
展(のべ)ることを
獲ることができずにいました。

たまたま、
中大兄が法興寺(ほうこうじ)の
槻(つき)の樹の下で
毱を打つの侶(とも)を預かりうけ、

皮の鞋(くつ)が毱に随(したが)い、
脱げ落ちたのをうかがい、

取り掌中(しょうちゅう)に置き、
前に跪(ひざまず)き
恭しく奉りました。

中大兄は、
むかいあい跪き敬って執(と)りました。

自ずとますます、
互いに善となり、
倶に所懷(しょかい)を述べました。

既に匿(かく)す所がありませんでした。

後に頻(しき)りに接して、
他に嫌(うたが)われることを恐れて、

倶、
手に黃巻(こうかん)を把(と)り、
自ら周孔(しゅうこう)教えを
南淵先生の所で学び、

遂に路上で、往還の間に、

肩を並べ、
ひそかに図(はかり)ました。

互いに協(かな)わないことは
ありませんでした。



・匡済(きょうさい)
悪をただし、乱れをすくうこと)
・歴試(れきし)
いろいろと試みること。つぎつぎにためすこと
・心附(しんぷ)
心からつき従うこと。心服
・幽抱(ゆうほう)
心の深い思い
・法興寺(ほうこうじ)
=飛鳥寺
・槻(つき)
ケヤキの古名
・掌中(しょうちゅう)
手のひらの中
・所懷(しょかい)
心に思うところ。 思い。 感想。 所感
・黃巻(こうかん)
(昔、中国で書物の虫食いを防ぐため、黄蘗(おうばく)の葉で染めた黄色の紙を用いたところから) 書物の異称
・周孔(しゅうこう)
儒教のこと



(感想)

前回のお話

日本書紀 巻第二十四 天豊財重日足姫天皇 十八 ・中臣鎌子連の人となり - リートリンの覚書

日本書紀巻第二十四天豊財重日足姫天皇十八・中臣鎌子連の人となり三年春正月一日、中臣鎌子連(なかとみのかまこのむらじ)を神祗伯(かみづかさのかみ)に拝しました。再...

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(皇極天皇3年)

中臣鎌子連の人となりは、
真心があり、正しく、

悪をただし、
乱れを救う心がありました。

( ̄ー ̄ )

ここ2年ほど、
日本書紀を読み続けてきましたが、

ここまで一個人を
褒め称えた文はありませんでした。

ここまで酷いと
ヨイショしているのが
バレバレですな。

そこで、
蘇我臣入鹿が、

君臣長幼の序を失くし、
社稷をうばおうと、

すきをうかがう権謀に
憤っていました。

( ̄ー ̄ )

あー入鹿氏のことは、
あまり日本書紀に書かれていないので
わかりませんが、

古人大兄皇子の意見をちゃんと
聞いているし、

古人大兄皇子を
次期天皇に擁立しようと望んでいたし。

社稷を奪おうなんて
思っていなかったと思う。

王族の中を次々に試し接し、
功名を立てる聡い主を求めました。

( ̄ー ̄ )

おーい、
神祇伯辞退して、

王族を次から次へと調べて回るって、

本来、中臣氏に当てられた
仕事以外のことやっているじゃん。

これ、

( ̄ー ̄ )

権利奪おうとしているのはむしろ、

お前じゃん

それに、
軽皇子のことはどうしたー

"軽皇子を天下の王にさせないなどと
いうことがありましょうか"


って言っていたよね。

前回のお話と言っていることと
やっていることが

違うぞー!

そこで、
中大兄に心からつき従いたいと
思いましたが、

疎遠で、
その心の深い思いを述べることが
できずにいました。

たまたま、
中大兄が法興寺の槻の樹の下で
毱を打つのお供に加わり、

皮の靴が毱を蹴った際、
脱げ落ちたのをうかがい、

その靴を取り、
手のひらの中に置き、

中大兄の前にひざまずき恭しく奉りました。

かー!
もう、おべっか、丸出しやん!

中大兄は、
鎌子とむかいあい
跪き敬って取りました。

自ずとますます、
互いに親善となり、

ともに心に思うところを述べました。

既にかくす所がありませんでした。

後にしきりに接して、
他人に疑われることを恐れて、

ともに、
手に書物をもち、

自ら儒教の教えを
南淵請安先生の所で学び、

遂に路上で、
往還の間に、
肩を並べ、ひそかにはかりました。

互いに協力しないことはありませんでした。

今後はいかに…

明日に続きます。

読んでいただき
ありがとうございました。

(¬_¬)

ああ、
知れば知るほど
嫌いになる人物…

中大兄と中臣鎌子。

あっ、うっかり本音が。

(⌒-⌒; )


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