日本書紀 巻第二十六
天豊財重日足姫天皇 十四
・盂蘭盆会を説かせる
・不吉な兆し
・羆の皮
十五日、
群臣に詔して、
京内の諸寺に、
盂蘭盆経(うらぼんきょう)を
講じるよう勧め、
七世の父母を報いました。
この歲、
出雲国造(いずものくにのみやつこ)
(名を欠く)に命じて、
神之宮を修繕しました。
狐が
於友郡(おうのこおり)の役丁が執る所の
葛(かずら)の末を、
囓り断じて去りました。
また、
狗が死人の手臂を囓り、
言屋社(いうやのやしろ)に置きました。
(言屋、これは伊浮瑘(いうや)といいます。天子が崩じる兆しです)
また、
高麗の使人は、
羆の皮一枚を持って、
その價を称して、
「綿六十斤」
といいました。
市司(いちのつかさ)が笑うと、
避去(ひきょ)しました。
高麗画師子麻呂(こまのえかきこまろ)は、
同姓の賓を私家に設けたとき、
官の羆の皮七十枚を借りて、
賓の席としました。
客等は羞しく思い、
怪しく思い、
退きました。
・神之宮
意宇郡の熊野大社
・於友郡(おうのこおり)
松江市・安来市・能義郡・八束郡
・葛(かずら)
つる
・言屋社(いうやのやしろ)
島根県松江市東出雲町揖屋の揖夜神社
・市司(いちのつかさ)
市店の財貨、売買のことをつかさどり、また度量の軽重、売買の価格などの非違を取り調べる役所
・避去(ひきょ)
のがれる
(感想)
(斉明天皇5年7月)
15日、
群臣に詔して、
京内の諸々寺に、
盂蘭盆経を講じるよう勧め、
七世の父母を報いました。
この歲、
出雲国造に命じて、
神之宮を修繕しました。
狐が於友郡の役丁が取った
つるのはじを、
食いちぎって去りました。
また、
犬が死人の手臂を食いちぎり、
言屋社に置きました。
(天子が崩じる兆しです)
また、
高麗の使者が、
ヒグマの皮一枚を持って、
その価格を称して、
「綿六十斤」
といいました。
市司が笑うと、
逃げました。
高麗の画師、子麻呂は、
同姓の賓客の宴を私家に設けたとき、
官のヒグマの皮七十枚を借りて、
賓客の席としました。
客らは恥ずかしく、
奇怪に思い、
退きました。
明日に続きます。
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