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リートリンの覚書

日本書紀 巻第二十四 天豊財重日足姫天皇 二十七 ・乙巳の変 二 中大兄と中臣鎌子連等、蘇我入鹿を伐つ 2



日本書紀 巻第二十四 
天豊財重日足姫天皇 二十七

乙巳の変 二
中大兄と中臣鎌子連等、蘇我入鹿を伐つ 2



倉山田麻呂臣(くらやまだのまろのおみ)は、
表文を唱え終えようとしましたが、

子麻呂(こまろ)等来ないのを恐れ、
汗が流れ、
身に広くゆきわたりました。

聲が乱れ、
手が動きました。

鞍作臣(くらつくりのおみ)は、
怪しんで問いかけて、

「何故、
おののきふるえているのだ」
といいました。

山田麻呂は答えて、
「天皇の近くにいることが畏れ多く、
不覚にも汗が流れてしまいました」
といいました。

中大兄は、
子麻呂等が入鹿(いるか)の威を畏れ、
旋(めぐ)り進まないことを見て、

「咄嗟(とっさ)」
といいました。

卽ち、
子麻呂等と共に出て、
不意に剣で入鹿の頭肩を傷つけ、
割りました。

入鹿は驚き起きました。

子麻呂は、
手を運び、
剣を揮(ふる)いました。

それは、
一脚を傷つけました。

入鹿は、
御座(おもと)へと転がりついて、
頭を叩きつけて、

「まさに
嗣位(ひつぎのくらい)に居るべきは、
天の子です。

臣は罪を知りません。

乞います。

審察(しんさつ)を垂れてください」
といいました。

天皇は大いに驚き、
中大兄に詔して、
「所作を知りません。
何事が有ったのですか」
といいました。

中大兄は、
地に伏して奏して、

「鞍作は、
天宗をことごとく滅ぼし、
まさに日位を傾けようとしています。

どうして、
天孫を鞍作に
代えることができましょうか」

(蘇我臣入鹿の更の名は鞍作といいます)」

といいました。

天皇は卽ち起きて、
殿中に入りました。

佐伯連子麻呂、
稚犬養連網田
(わかいぬかいのむらじのあみた)が

入鹿臣を斬りました。



・鞍作臣(くらつくりのおみ)
蘇我入鹿
・咄嗟(とっさ)
舌うちしてうなること。舌うちして嘆息すること
・御座(おもと)
天皇の元
・嗣位(ひつぎのくらい)
天皇位
・審察(しんさつ)
詳しくとり調べたり、観察したりすること。 また、そのとり調べ



(感想)

前回のお話

日本書紀 巻第二十四 天豊財重日足姫天皇 二十六 ・中大兄の謀 ・乙巳の変 中大兄と中臣鎌子連等、蘇我入鹿を伐つ1 - リートリンの覚書

日本書紀巻第二十四天豊財重日足姫天皇二十六・中大兄の謀・乙巳の変中大兄と中臣鎌子連等、蘇我入鹿を伐つ1六月八日、中大兄は、密かに倉山田麻呂臣(くらやまだのまろの...

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(皇極天皇4年6月12日)

蘇我倉山田石川麻呂臣は、
表文を唱え終えようとしましたが、

子麻呂ら来ないのを恐れました。

汗が流れ、
全身を湿らせました。

声が乱れ、
手が震えました。

蘇我入鹿は、
これを怪しんで問いかけて、

「何故、
おののき震えているのだ」
といいました。

山田麻呂は答えて、
「天皇のお側にいることが畏れ多く、
不覚にも汗が流れてしまいました」
といいました。

中大兄は、
子麻呂らが入鹿の威を畏れ、
めぐり進まないことを見て、

「ちっ!」
舌うちして嘆息しました。

すぐに、
子麻呂らと共に出て、

不意をつき、
剣で入鹿の頭肩を傷つけました。

入鹿は驚き立ち上がりました。

子麻呂は、
手を運び、
剣を振り回しました。

それは、
片脚を傷つけました。

入鹿は、
天皇の元へと転がりついて、

頭を叩きつけて、
「まさに天皇位に居るべきは、
天子です。

私は罪を知りません。

請います。

とり調べをしてください」
といいました。

天皇は大いに驚き、
中大兄に詔して、

「分かりません。
何事があったのですか?」
といいました。

中大兄は、
地に伏して報告して、

「入鹿は、
皇族をことごとく滅ぼし、
まさに天皇位を傾けようとしています。

どうして、
天孫を鞍作に代えることができましょうか」
といいました。

天皇はすぐに座を立ち、
殿中に入りました。

佐伯連子麻呂、
稚犬養連網田が、

入鹿臣を斬りました。

( ̄ー ̄ )

読めば読むほど…

蘇我入鹿は悪い人ではなかったのでは、
と感じます。

まぁ、
天皇や藤原氏の御先祖を
悪く書くことはできませんから、

打たれた蘇我入鹿臣を
悪く書いたのでしょう。

しかし、
文の端々から真実が
伝わってくるような気がします。

"子麻呂らが入鹿の威を畏れ、めぐり進まない"

とありますが、

もし、
自分が子麻呂の立場なら、
相手が悪者なら躊躇なく斬ると思います

なんたって、
入鹿臣は、
丸腰ですから反撃される心配もないし。

躊躇するのは、

自分達のやっている行為に
良心が痛むからでしょう

また、
入鹿臣の死後、
蝦夷の反撃に躊躇しているのか?

それに関しては、
前々からの計画です。

おそらく、
蘇我倉山田麻呂臣が
蘇我一族に根回しをしている可能性が高い。

また、
切れ者で野心家の中臣鎌子ですから
別の豪族にも根回ししていることでしょう。

やはり、
恐れる理由は、

蘇我入鹿臣に何の罪もなく、
入鹿臣の怨みを恐れているのでは?

乙巳の変をおこした
一番の理由は、

自分達の思いのままに
政治を動かしたいが故の犯行でしょう。

他にも理由は多々あるとは思いますが。

しかし、
武力での改革は怨恨を生み
いずれ自分たちに返ってくることでしょう

明日に続きます。

読んでいただき
ありがとうございました。



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ここからは、主の妄想です。

皇極天皇が蘇我入鹿臣を
見放した理由ですが…

もしかすると、
聖徳太子一族を滅ぼすよう命じたのは、
天皇に近い存在だったのかも知れませんね。

入鹿臣の語った、

"まさに嗣位に居るべきは、天の子です"

つまりは、
天皇の位につけるのは、
天孫の子であると入鹿臣は考えていた。

その天孫を脅かす
天孫以外の霊威(聖徳太子)はいらない…

主は、
聖徳太子は神武天皇の血筋ではないと思っています。

日本書紀 巻第二十二 豊御食炊屋姫天皇 四十 ・聖徳太子薨る - リートリンの覚書

日本書紀巻第二十二豊御食炊屋姫天皇四十・聖徳太子薨る二十九年春二月五日、半夜(よなか)、厩戸豊聡耳皇子命(うまやとのとよとみみのみこのみこと)が、斑鳩宮(いかる...

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実直な蘇我入鹿は、
命じられた通りに
聖徳太子一族を滅ぼした。

そして、
ことを実行した
蘇我入鹿臣に罪を全部背負わせて、

乙巳の変に乗じて口封じ。

聖徳太子、
あなたの一族を滅ぼした、
蘇我入鹿は、

殺されましたよ。

もう、
恨まないで下さい。

もう、これ以上、
異常気象、天変地異を
起こさないで下さい…

:(;゙゚'ω゚'):

だったりして。

あー、
とんでもない妄想してしまった。


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