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リートリンの覚書

日本書紀 巻第二十六 天豊財重日足姫天皇 六 ・蝦夷の朝献 ・大唐に僧を派遣 ・紀温湯に行幸



日本書紀 巻第二十六 
天豊財重日足姫天皇 六

・蝦夷の朝献
・大唐に僧を派遣
・紀温湯に行幸



秋七月四日、
蝦夷二百余が
闕(みかど)に詣でて朝献しました。

常よりも増して、
饗(もてな)しを賜り、
贍給(せんきゅう)しました。

なお、
柵養(きかう)の蝦夷二人に位一階、

渟代郡(ぬしろのこおり)の
大領(おおこおりのみやつこ)の
尼具那(さにぐな)には小乙下、

(或る所では云う。位を二階授けて、戸口を検(かむがえ)させたと)

少領(すけのみやつこ)の
宇婆左(うばさ)には建武(けんむ)、

勇健者(いさみたけきもの)の二人には、
位一階を授けました。

別に、
沙尼具那(さにぐな)等には、
鮹旗(たこはた)二十頭、
鼓(つづみ)二面、
弓矢二具、鎧二領を賜りました。

津輕郡の大領の馬武(めむ)に、
大乙上(だいおつじょう)、

少領の青蒜(あおひる)に、
小乙下(しょうおつげ)、

勇健者(いさみたけきもの)の二人に、
位一階を授けました。

別に馬武等に
鮹旗二十頭、鼓二面、
弓矢二具、鎧二領を賜りました。

都岐沙羅(つきさら)の
柵造(きのみやつこ)(名を欠く)に、
位二階、
判官には位一階を授けました。

渟足(ぬたり)の柵造の
大伴君稲積(おおとものきみいなつみ)に、
小乙下(しょうおつげ)を授けました。

また、
渟代郡の大領の沙尼具那に詔して、
蝦夷の戸口と虜の戸口を
検覈(けんかく)させました。

この月、
沙門(ほうし)の智通(ちつ)、
智達(ちだち)は勅を受けて、

新羅の船に乗り、
大唐国(もろこしのくに)に往き、

無性衆生(むじょうしゅじょう )の
義(ことわり)を

玄奘法師(げんじょうほうし)の所で
受けました。 

冬十月十五日、
紀温湯(きのゆ)に幸しました。

天皇は、
皇孫の建王を憶(おも)い、
いたみ、悲泣(ひきゅう)しました。

乃ち、口号(くちうた)して、 

山越え 海を渡るとも 
おもしろき 
今城(いまき)の中は 
忘(わす)れないだろう 
その一 

水門(みなと)の 
潮(うしお)の流れや 
海(うな)流れは 
後(うしろ)も暗く 
置いて行くのか 
その二 

愛おしい 
吾(あ)が若い子を 
置いて行くのか 
その三

秦大蔵造万里
(はだのおおくらのみやつこまろ)に
詔して、
「この歌を伝えて、
世に忘れさせることなかれ」
といいました。



・闕(みかど)
宮闕
・贍給(せんきゅう)
恵み与えること
・柵養(きかう)
語義未詳。柵、すなわち砦の中に住居する意味か?陸奥国にあった地名か?)
・渟代郡(ぬしろのこおり)
秋田県能代市辺
・検覈(けんかく)
厳しく調べること。くわしく調べること
・沙門(ほうし)
=しゃもん・出家の総称。 髪をそり、悪を止め、善を勤める修行者のこと。 僧侶。 桑門
・大唐国(もろこしのくに)
中国の唐
・玄奘法師(げんじょうほうし)
三蔵法師
・悲泣(ひきゅう)
悲しみ泣くこと



(感想)

(斉明天皇4年)

秋7月4日、
蝦夷200余りが
宮闕に詣でて朝献しました。

通常よりも増して、
饗応を賜り、
さらに物を与えました。

なお、
柵養の蝦夷二人に位一階、

渟代郡の大領の沙尼具那には小乙下、
(或る所では云う。位を二階授けて、戸口を検させたと)

少領の宇婆左には建武、
勇健者の二人には位一階を授けました。

別に、
沙尼具那らには
鮹旗20頭、鼓2面、
弓矢2具、鎧2領を与えました。

津軽郡の
大領の馬武に大乙上、
少領の青蒜に小乙下、
勇健者の二人に位一階を授けました。

別に馬武らに
鮹旗20頭、鼓2面、
弓矢2具、鎧2領を与えました。

都岐沙羅の柵造(名を欠く)に位二階、
判官位一階を授けました。

渟足の柵造の
大伴君稲積に小乙下を授けました。

また、
渟代郡の大領の沙尼具那に詔して、
蝦夷の戸口と虜の戸口を
くわしく調べさせました。

この月、
僧侶の智通、智達は勅を受けて、

新羅の船に乗り、
大唐国に行き、
無性衆生のことわりを
玄奘法師の所で受けました。 

冬10月15日、
紀温湯に行幸しました。

天皇は、
皇孫の建王を追憶して、
いたみ、悲しみ泣きました。

この時、
くちうたして、 

山越え 海を渡るとも 
おもしろき 今城の中は 
忘れないだろう 
その一 

水門の 
潮の流れや 海流れは 
後も暗く 置いて行くのか 
その二 

愛おしい 
吾が若い子を 置いて行くのか 
その三

秦大蔵造万里に詔して、
「この歌を伝えて、
世に忘れさせることなかれ」
といいました。

明日に続きます。

読んでいただき
ありがとうございました。


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