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リートリンの覚書

日本書紀 巻第十七 男大迹天皇 二十七 ・毛野臣、政治を怠る ・帰国を拒む毛野臣



日本書紀 巻第十七 男大迹天皇 二十七

・毛野臣、政治を怠る
・帰国を拒む毛野臣



秋九月、
任那の使いが奏して、
「毛野臣は、
遂に久斯牟羅(くしむら)に
舎宅(いえ)を起こし造り、
淹留(えんりゅう)すること二年。

(一本は云う、三年というのは、往来する年の数を連ねたからです)

政治を聴いても、
懶(おこた)っています。

日本人と任那人に、
頻(しき)りと子が生まれても、

諍訟(そうしょう)を決めるのが難しいので、
元から判決をしません。

毛野臣は、
このんで誓湯(うけひゆ)を置き、

『実のある者は爛(ただ)れない、
偽りある者は必ず爛れる』
といい、

ここをもって、
湯に投じられ爛れ死ぬ者が多いのです。

また吉備韓子那多利(きびのからこなたり)、
斯布利(しふり)を殺しました。

(大日本の人が、蕃(となり)の女を娶り生まれたのが韓子です)

恒に、
人民を悩まし、
ついに和解することがありません」
といいました。

ここにおいて、
天皇は、
その行状(あるかたち)を聞き、

人を遣わして召し出しました。
肯(うなず)かず来ませんでした。

ひそかに
河内母樹馬飼御狩
(かわちのおものきのうまかいのおびとみかりを、
京(みやこ)に詣でさせて、

奏して、
「臣は、まだ勅旨を成していません。
京郷(みやこ)に還り入って、

労して行き、
虚しく帰ることになり、
はずかしく気がひけます。

伏して願うは、
陛下、

国命(おおみよごと)を
成してから朝廷に入り謝罪しますので
お待ちください」
といいました。

使いを奉った後、
更に自ら謨(はかりごと)して、
「その調吉士(つきのきし)は、
またこれ、
皇華(みやこ)の使いである。

もし吾より先立って帰り、
実のまま奏聞(そうぶん)したなら、
吾の罪過(あやまち)は必ず重くなるだろう」
といいました。

すなわち、
調吉士を遣わし、
衆守(ともから)を率いて、
伊斯枳牟羅城(いしきむらのさし)
を守らせました。

ここにおいて、
阿利斯等(ありしと)が、

そのくわしくただしきこと、
約束したことに務めないことを知り、

頻(しき)りに帰朝を勧めましたが、
なんども還ることを聴きませんでした。



久斯牟羅(くしむら)
=現在の昌原市馬山地区
・淹留(えんりゅう)
永く滞在すること
諍訟(そうしょう)
訴訟を起こして争うこと
・罪過(あやまち)
=ざいか・1罪とあやまち。法律や道徳に背いた行為2・罰すること
・衆守(ともから)
軍兵



(感想)

継体天皇24年秋9月、
任那の使者が奏して、
「毛野臣が、
ついに久斯牟羅に舎宅(いえ)を造り、
永く滞在すること二年。

政治を怠っています。

日本人と任那人との間に、
頻繁に子が生まれましたが、

帰属の諍訟(そうしょう)を決めるのが
難しいので、
元から判決をしません。

また、
毛野臣は、
好んで誓湯(うけいのゆ)を置き、

『真実のある者はただれない、
偽りある者は必ずただれる』
といい、

こういうわけで、
湯に投じられ
ただれ死ぬ者が多いのです。

また吉備韓子那多利、斯布利を殺しました。

(大日本の人が、蕃(となり)の女を娶り生まれたのが韓子です)

常に、
人民を悩まし、
ついに和解することがありません」
といいました。

ここにおいて、天皇は、
その現状を聞き、
人を派遣して、
毛野臣を召し出しました。

しかし、
承諾せず、
参内しませんでした。

毛野臣は、
密かに河内母樹馬飼首御狩を、
京(みやこ)に参上させて、

奏して、
「私は、まだ勅旨を成していません。

今、京郷(みやこ)に帰還したならば、

苦労して行ったのに、
成果があげられぬまま虚しく帰ることになり、
はずかしく気がひけます。

伏して願うは、陛下、

私が勅旨成してから、
参内し、
謝罪しますのでお待ちください」
といいました。

使者を派遣した後、
更に自ら画策して、
「その調吉士は、

これまた、
朝廷の使者である。

もし吾より先立って帰国し、
実情のまま奏聞(そうぶん)したなら、

吾の罪過(あやまち)は
必ず重くなるだろう」
といいました。

すなわち、
調吉士を派遣し、軍兵を率いて、
伊斯枳牟羅城を守らせました。

ここにおいて、
任那王・阿利斯等が、

その詳しく正しき事、
約束した任那復興のことに
務めないことを知り、

頻繁に帰朝を勧めましたが、

毛野臣は
何度も還ることを聴き入れませんでした。

帰国を拒み続けた
毛野臣…。

任那国で甘い汁を
吸いまくっていたのかなぁ。

任那国にとっては、
いい迷惑。

さて、今後はいかに。

明日に続きます。

読んで頂き
ありがとうございました。


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