Officer's '70s Theater

'70年代の恐竜的ハイパワー車ファンが昔を懐かしむブログ

バニシングin60

2009-03-14 12:14:54 | 映画(車)
アメリカン・カー・チェイス(自動車窃盗)No.1
バニシングin60(Gone in 60 seconds)
1974年作品。DVD化済み。
主演:H・B・ハリッキー
車:1970マスタングMach1(黄色に黒ストライプ)

邦題は、明らかに配給会社が「バニシングポイント」を意識して付けた詐欺的な命名だが、内容は全く別物だ。
自動車を盗み、車台番号などを改竄して転売する業者が主人公。
色々な車を巧妙に盗むのだが、最後の1台で盗みを失敗して、伝説の大追跡劇が始まる。特撮・CG一切無し(!)
実写のみでラスト連続40分間のカーチェイスと壊した車93台の記録は、いまだに破られていない。

YouTube - Gone in 60 seconds 1974 (part 1)
http://www.youtube.com/watch?v=GlzWF_VmEu8

監督・主演は正真正銘の元自動車泥棒で、その後改心して防犯業者に転身し大金持ちになったというアメリカン・ドリームの体現者。
彼はカーコレクター・レースマニアでもあり、とにかく自動車が映っているシーンの割合が多いのが特徴の映画となった。
車両進入禁止の公園内からカー・ディーラーやオフロードバイクレース会場にまで入って逃げまくるが、その後TV会社のインタビュアーが通行人に話を聞くなど、ドキュメンタリー・タッチになっている。
オープニングクレジットに「主役:エレノア」とあるのは、1970マスタングMach1のコードネーム(符丁)である。
出演料の高い役者を使わず「クルマが主役」にこだわるその姿勢は型破りで、弱小プロダクション作品ながら大好評を得た。
チェイスシーンはスタントマンを使わず自演するというのが売り物だったが、負傷入院による撮影遅延は日常茶飯事だった。
それは、役者やスタントマンにかける金があったら、その分1台でも多くの車を出したい・壊したいという意志の現れでもあった。
彼はPart2撮影中に事故死してしまい、第二作が未完のままお蔵入りとなってしまったのが残念だ。

DVD化に際して、劇中のBGMが音楽著作権問題でほぼ全面的に差し替えられた上、「破損したエレノアの助手席にハリッキー夫人が乗って走り回る映像」と「H・B・ハリッキーに捧げる」の字幕が追加された。
オリジナル作品を観たければ、中古のVHSビデオを買うしかない。

劇中の電光掲示板で「Please lock your car or it will be gone in 60 seconds」という警察の防犯標語が流れる。表題はここからきている。
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<リメイク作品>
60セカンズ(Gone in sixty seconds)
2000年(当然、DVD作品)
主演:ニコラス・ケイジ
車:1967シェルビー・マスタングGT500エレノア(グレーメタリック)
1974年作品のリメイク版。ニコラスはカーマニアで、主役の車は前作より高価・高性能・低年式(希少)なため前作ファンはおおいに期待した。
しかし役者のシーンが中心でカーチェイスシーンの割合が少ない上にCGで誤魔化しているなど、前作とは全く違うアプローチの作品だった。
YouTube - A Flying Ford Mustang Shelby GT 500 1967
http://www.youtube.com/watch?v=aH2Vb5MzQ5U

マックQ

2009-03-13 14:08:10 | 映画(車)
アメリカン・カー・チェイス(刑事もの)No.2
マックQ(McQ)
1974年作品。DVD化済み。
主演:ジョン・ウエイン
車:1970ポンティアック・ファィアバード・トランザム(黒)

 トランザムと言えばバート・レイノルズ主演の「トランザム7000」シリーズでの角型4灯式の黒地に黄金色(F-1ではJPSカラーと言う。)の1978ファィアバードが有名だが、私はこの丸型2灯式のファィアバードがデザイン的には最も好きだ。劇中では正義の味方の「グリーン・ホーネット・カー」と呼ばれる。
 悪役(武装強盗団)は偽装デリバリー・バンながら随分と先行しているので、McQは必死で追跡せざるをえない状況に陥る。
舞台はシアトル。サン・フランシスコに強い対抗心を持った街だ。

この動画は、映画の追跡シーンに勝手に字幕でシアトル観光地情報を合成したもの。「ここは灯台の丘公園」といった具合。
途中で砂塗れになった車が、なぜかハイウエイ上では綺麗になっているという字幕も入る。(笑
最後に「次の映画のロケ地は、ぜひシアトルを使ってね。」という字幕が入るのがお洒落だ。
YouTube - John Wayne McQ Driving Tour of Seattle
http://www.youtube.com/watch?v=PvluHfTVrdU

ジョン・ウエイン主演と聞くと「単調な勧善懲悪ヒーロー映画」かと思いがちだが、シナリオは「ダーティーハリー2」並みに良く練られており、ひねくれた展開のため真犯人は終盤まで判らない。

 題名McQは「主役の刑事の苗字」だが、マックイーンという苗字の略称と思われる。ところが上司が彼を叱責するときの「マッキュー!」という発音はどう聴いても先頭が「マ」では無く「ファ」と聞こえるイントネーションだ。日本語翻訳の際に題名を考えた担当者は、さぞ悩んだ事だろう。題名からして、この映画には「マックイーンのブリットには負けんぞ!」という強烈な意志が込められている。

 1968「ブリット」1971「ダーティーハリー」が世に出たとき、米国の各マスコミは「もはや馬とコルト・ピースメーカーの時代は去った!現代のヒーローはスポーツカーを駆り、ダブルアクションリボルバーをぶっ放すのだ!」と囃し立て、若くスリムなマックイーンやクリント・イーストウッドがスターとして持てはやされた。それを見て「そんなもの、俺でも出来るわい!」と御大ジョン・ウエインが出演したフシがある。監督も音楽も、西部劇時代に馴染みの顔ぶれだ。

 車の面から見ると、ブリットでは主役メカのフォード・マスタングの人気がアップし、悪役のダッジ・チャージャーに悪いイメージを与えた。それを見たGMが対抗車ポンテイアック・トランザムの宣伝映画としてこの作品を支援したという側面がある。
 この時期のアメリカ車は燃費がリッターあたり3km程度の「燃料ガブ飲みハイパワー車」であり、そのV8エンジンの音はドラムの連打のようなビート音だ。出てくるパトカーもゴッツい板金バンパーが付いていて、ステンレスパイプのルーフキャリアに重そうなクロームメッキの回転灯を載せたレトロな雰囲気が堪らない。

ブリット

2009-03-12 21:49:30 | 映画(車)
アメリカン・カー・チェイス(刑事もの)No.1
ブリット(Bullit)
1968年作品。DVD化済み。
主演:スティーブ・マックイーン(Steve Mcqueen)
車:1968フォード・マスタング(初代モス・グリーン色)

オープニングはハードボイルドタッチで、銃撃シーンも多い映画。
主人公フランク・ブリット警部補を演じるスティーブ・マックイーンは、男の目から見ても文句なしに格好良い。

国際A級ライセンスを持っているクルマ好きの彼は、下積み時代にスタントマンの経験も有ったので、クルマ映画になると「こんな面白い事は自分で味わいたい!」とばかり自分で運転を買って出たようだ。
彼の引き締まった体とコンパクトな初代マスタングの姿がダブって見える。
当時「ポニー・カー」と呼ばれ大ヒットしたマスタングは、日本のトヨタ・セリカの開発・販売に影響を与えたのは有名な話。

悪役の殺し屋2名は黒の(GM)ダッジ・チャージャーに乗っている。大パワーで「マッスル・カー」と呼ばれた車だ。燃費はリッター3km(!)
舞台は「坂の街」サン・フランシスコ。カー・ジャンプにはもってこいの場所だ。

YouTube - bullit famous car chase
http://www.youtube.com/watch?v=Z-7IEPTAoTg

最初は追跡されるが、撒いて追跡し返すという演出がクールで格好良い。
シートベルトが、高級車でさえもまだ2点式ベルトなのが時代を感じる。

野心家(策略家)の上院議員を演じるロバート・ボーンも好演しているし、ブリットの彼女役はジャクリーン・ビセットと大物揃いの配役だ。