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キョーコさんの《マジガチ》大阪初日*映画と里田監督舞台挨拶

2011-08-02 | BIG ISSUE *マジガチ*ボランティア

キョーコさんが《マジガチ》大阪初日に行ってくださいました。
はるばるのところから大阪へ。そして終電でご帰宅。
私も行く算段をしていたのに、ももの急病のせいで、いけなくなってしまいました。
 キョーコさんはとても濃い時間を持てたようです。感想を教えていただきました。
キョーコさん、ありがとうございます。

キョーコさんの《マジガチ》大阪初日*
        映画と里田監督舞台挨拶


「マジガチ」大阪初日、学生さんと思しき若いお客さんに混じって参加してまいりました。
詳細なレポートとか無理!につき、ごく個人的な感想をダラダラと。

映画の導入部からずっと、ああ私、この土や泥水や草や木や岩や風や雲や光や空気、
この屋根や車や市場の音や子供の匂いを、知っている、居心地が良いなと感じていました。

(もう全然、石松さんともGRAPHISさんとも関係ないことを書きます、すいません)

何故だろうと不思議だったんですが、里田監督のお話で、少しその理由がわかったように思います。
里田監督は学生時代、リュックを背負って世界をまわり、映像を撮っていらしたそうです。
バックパッカーの視点を持った方だったんです。美化することも貶めることもせず、
ただ視る人の視点。私もそういう旅をしますから、何か、自分に似た見方に安心したのかなと。

訪れたカンボジアの病院で、最先端の医学を学ぶ彼等がショックを受ける場面。
病院と彼等の温度差もさることながら、監督と彼等の間にも温度差が感じられたのですが、
卒業した石松さんが診療所近くの村を訪れ、痛みを訴える女性の手や腕に触れる場面
(ポスターやフライヤーになっている場面)では、互いの温度が溶け合ってました。
こういうところ、とても理知的で品位があると思います。

それから、石松さんは今、自分の将来を悩み迷っていらっしゃるそうです。
悩み迷う石松さんと、里田監督は良く電話でお話しされているそうですよ。

舞台挨拶後、監督に「カンボジアが好きなんです」とトンチンカンなことを言ってしまいましたが、
えーと、監督が撮られたカンボジアが好きなんです。
だから二回目を観に行きました。誰かに義理立てしたとかじゃなく、好きになったから。そゆことです。

石松さんが今、社会人になって悩んで愚痴も言って、でも、ずっと後輩の面倒を見ようとしていること。
映画を観た(殊に年配の)人から「一生をカンボジアに捧げるんでしょっ!?」など言われることに、
恐怖心を抱いてしまうということ。
映画化するに当たって監督が石松さんに、彼をより深く知ろうと「何でこうしたの? 何で?」と
繰り返し聞いたのだが、それに答えているうちに
真面目で繊細な彼は自己矛盾を見つけてしまい、言葉が出なくなってしまったこと。←これは映画には出ていません

映画を観て、自分のこととしてとらえてくれている感想は、嬉しい。
ある大学で上映した後、感想を述べていた女子学生が感極まって号泣してしまったそうです。
そういうのが嬉しかったと。

ちゃんとメモを取っていませんので、言葉は違っていると思います。
15分くらいの短い時間で、ものすごく濃いお話を聞くことが出来ました。参加できて良かったです。



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キョーコさん、感想(レポ)をありがとうございます。
時間を心配しながらダッシュして大阪まで来てくださり、
終電の時間がせまるなか、じっくりと監督のお話を聞いてくださり、
お伝えくださってありがとうございました。

今回は里田監督とカンボジアを旅されたのですね。
いや、それだけじゃないと思いますが、
それは私にはとても新鮮な視点に思えました。
それと同時に、「マジガチ」の奥の深さを教えられました。

私も石松さんが現地の女性の腕をとって、
「これだけじゃ判断できないですよ」とつぶやく場面、
こころに残りました。
患者さんから症状を訴えられて、
石松さんがとまどわれて、・・の部分。
どきどきしました。
でも、あれはまさしく手当てなんですよね。
医療の原点であり、ボランティアの原点でしょう。
若い学生たちがカンボジアをすべて救うことはできなくても、
手をあてがうその気持ち、そのことに救われると思うんです。

カンボジアのひとたちも、幾多の困難を乗り越えて、
いつかは自立してゆくべきなんでしょう、未来に。
ボランティアっていつかは終わるべきものですものね。

「マジガチ」は不思議な映画ですよね。
いろんなことを考えさせてくれる、
苦い思いもさせてくれるんだけれど、
でも、その苦い思いも「マジガチ」はきっと
恵みとして与えてくれるんだろうと思うのです。

キョーコさんに、どこまで掲載していいんだろう、
石松さん悩んでられるんですねー、とメールして、
キョーコさんは編集をおまかせしますと言われたけれど、
でも、私は結局そのまま載せるのがいいと思いました。

宵越しの金はもたない、というよりも、
その金を何かに使ったほうがいい、みたいなことを思って、
そこからマジガチが始まったというような話が映画にありました。

石松さんとGRAPHISは一生懸命お金をため、
カンボジアで成果を実らせました。
でも、カンボジアで学校を運営しても、
《いいかっこをしようとしているのか否か》という目で
現地で生き抜こうとするひとにじっと見つめられましたね。

そのまなざしを受けて、こちらからも見つめ返すには、
きっと、覚悟を要求されるのでしょう。
私は京都でマジガチを観たとき、
ボランティアは生き方の問題になってくるのだろうと、
そう思いました。
そして、関わったひとにしかわからない問題だろうとも。

この映画は《学校をたてました、めでたしめでたし》の映画じゃない、
だから素晴らしいのでしょう。
このあとどうなるの?どうするの?の問いかけを
映画のなかのひとと外のひと(観客)がともに考える深みをもっている、
それはきっとひととひととのありかたという、
根源的な問いに突き当たるような気がします。
答えはすんなり出ないですよね。

相手のあることだけれど、ひとりの問題として、
考えてもいいんじゃないでしょうか。

にんげんって、一本の線をずっと引きながら過去から未来へ
生きていくのではなくて、点を記しながら生きていく、
それが遠くから見たら線に見えるんじゃないかなと。
点は未来であり過去であり現在である、
今この瞬間に完結されている、二度と生産されないものだと思います。
だから、都度都度終わらせていいと思う、
次の点を印す時、新たに生まれる自分がいるのだと思いたいからです。

《マジガチ》はGRAPHISとともに続いて行ってほしいと思うけれど、
そのなかのひとたちはやっぱりいつか卒業していっていいんだと思います。
豊かな時間だった、と胸を張ってほしいです。


(追記)

キョーコさんの感想を逸脱して、
自分の思うことばかり書き連ねてすみません。




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6 コメント

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Unknown (まろうさぎ)
2011-08-02 07:30:03
キョーコさん、感想とレポをありがとうございます。私も二回ほど監督とお話させていただいたんですが、バカ話に終始して、全然深いことは聞けませんでした(笑)

石松さんが、映画の中でも誉められて「過去のことを言われても……」と複雑な顔をしていましたが、そうか、誉められると「これからもカンボジアに深く関わる」ことを当然だと期待されていることを感じるからなんですね。最初に行った講演会でも、「もっと実際に関わらないのか」という質問がありました。資金を出し続けること、現地で動くこと、の二者択一を(もしくはその二つを)求められたら、苦しくなるでしょう。その二つ以外の緩やかな関わり方もあると思うのですが、石松さんも、質問する人も真面目だからなあ。

里田監督の視点、私も印象的でした。冷静で温かな観察者の視点。バックパッカーと伺って少し納得しました。

遅い時間なのに、本当にありがとうございます。

樹さん
ほぼ、どのイベントにもL図書特派員がいる(笑)なんて、やはりL図書は大きいですね。
石松さんも、基本的には「卒業」が前提でグラフィスを立ち上げているんですよね。学生時代に種をまく、それがいつか花が咲き実を付けることを願って活動なさっています。一度関わったら、ずっと関わらなきゃいけない、なんてなったら、誰もボランティアができなくなります。ある一時期関わって、しばらく離れて、また関わって……という点の連続が、ラインになるんだと私も考えます。グラフィスのような学生ボランティアは、個人単位では点だけれど、カンボジアから見ればラインになっているんですよね。石松さん、初代代表として悩んでいるのでしょうか。
返信する
Unknown (まろうさぎ)
2011-08-02 08:23:12
先ほどはさらっと読み飛ばしてしまいましたが、桃くん大丈夫ですか?涼しくなったり暑くなったりの繰り返しだからかしら。一番体力に満ち溢れている時期なのに心配ですね。お大事になさって下さい。
返信する
ありがとうございます。 ()
2011-08-02 08:29:33
キョーコさん、
おはようございます。

感想(レポ)をありがとうございました。
マジガチは石松さんとGRAPHISの映画でありながら、
やっぱり里田監督の作品なんだなあと、
キョーコさんの感想で思いました。
バックパッカーのまなざし、
なるほど!と思いました。
映画は題材さえあれば、誰が撮ってもいいというものではない、
そのことをあらためて教えられた気がします。

キョーコさんの感想に、
だらだらと自分の思いを連ねてすみません。
個人的に今を十全に生きることってどういうこと?と考える契機がまたあり、
つぶやかずにはいられませんでした。

自分をあらゆることから解き放って、
一度きりの人生を自分の尺度で豊かなものにしたいですよね。

唐突に言うんですが、永平寺にまた行きたくなりました(笑)

キョーコさん、本当にお忙しい中、感想もすぐにメールしてくださって、
ありがとうございました。
返信する
Unknown (キョーコ)
2011-08-02 23:10:50
☆まろうさぎさんへ☆

知性派コメンターでいらっしゃるまろうさぎさんのお言葉、勿体無いことです。
石松さんの本も読んでいないし、ボランティアに関心が高いわけでもないし、そんな私のズレた感想文を読んでくださって、ありがとうございます。

>冷静で温かな観察者の視点

そう、そうなんです! ああ、こんな風に表現するんですね。勉強になります。


☆樹さんへ☆

こんな駄文でもアップしたいと言ってくださって、優しい文章で補完までしてくださって、本当にありがとうございます。
人気ブログの、しかもコメント欄ではなく記事本文に載せていただくなんて、汗顔のいたりです、本当に…

そう、石松さんもGRAPHISの皆さんも、卒業していく。ボランティアは撤退を目的とする。それはとても正しいことですね。

あと、今になって浮かんだ聖書の言葉。
「その道を整えよ」
整えられた赤い道を、救急車が走ります。
返信する
間違えました… (キョーコ)
2011-08-03 00:58:09
×コメンター
〇コメンテーター
お手数おかけいたしますm(_ _)m
返信する
キョーコさんへ ()
2011-08-08 09:09:32
おはようございます。

感想をお聞かせくださり、ありがとうございました。
この記事に関しては、感想を逸脱した自分の思いについて、
あれこれ考えてしまいました。
でも、マジガチはボランティアに関していろいろ考えさせる、
奥の深い映画だと思います。
向井理さん主演のもうひとつのマジガチ映画?
(葉田さん視線というか)、
そちらについても、
向井さんが《ひとを傷つけるかもしれない映画》と
言われています。
なんだか感慨深いです。そちらも観てこそ、マジガチがさらに
しっかり見えてくるのかもと思います。
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