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名優・山田辰夫さんが逝く・・・

2009-07-28 | 気になる表現者


名優・山田辰夫さんが逝く・・・

俳優・山田辰夫さんが26日午前10時15分、
東京・西多摩郡の病院で亡くなった。53歳だった。
シンガー・ソングライターの長渕剛(52)が27日、
スポーツ報知に散文詩を緊急寄稿し、ドラマ「しゃぼん玉」(91年)、
「RUN」(93年)などで共演した山田さんを追悼した。




 ダチ山田辰夫へおくる 長渕剛
辰ちゃん 
そりゃないよ。
なんで? 
なんで言ってくれなかったんだ! 
あれだけ
またいっしょに
映画やろう!ドラマやろうって
約束したじゃねえか! 鋭利な刃物を忍ばせ、
機関銃の言葉を放射し、
俺に、
そして
日本映画界に
強烈な個をたたきつけてきやがる
凄え俳優だった。
日本映画界からまた本物が消えた。
怒りと悲しみがこみあげて来る。
これだけ役者という職業を命かけて愛した男を俺は他に見た事がない。
たまらなく俺は辰が好きだった。
大っ嫌いな卑怯者がその昔、いて、
俺を守ろうと、
からだごと、そいつに突進して、
血まみれになったほど、
奴の魂は、限りなく優しかった。
男気に満ちあふれ、
笑顔がいつも、悲しく…、かわいかった。
酒をくみかわし、
いつも映画の話をした。
「ねえ! 剛、やんないの? ねえ、やんねえの映画?」
「…うーん」
「やろうよ! 俺あんたとしばいすんの大好きなんだよ。ねえ、やろうぜ」
いつも飲むと俺にからんできやがった。
もっと、俺、死ぬ気で原案を考え、
いっしょにやればよかった。
よれた皮ジャンひっかけてひょっこり俺ん家に辰はやってくる。
「よ!酒飲みに来たよ」って。
けど、
辰、お前、今回ばかりは何も俺に言わなかったな!
悔しいな、辰!
なぜだ?
あの時、俺たちは体制にまかれず、
いい本物のしばいを作ろうと
戦ったじゃないか。
また、俺
ひとりぼっちかよ。辰ちゃんよ!!
『山田辰夫』
生涯不良・生涯青春を貫いた本物のアウトローだった。
信じたくない。
あの時、約束したよな!
「今度、また映画やる時はな、辰!!
お前は狂気の役だぜ!」辰はニッコリ笑って
「うん…俺、好き。そういうの…好き。あんたとならやれる」
信じたくない。
辰が死んだ!?
ふざけんな!!
なぜ俺から大切なものを神様の野郎はうばって行くんだ!?
悲しくて悲しくて…しかも、
辰のような男がいなきゃつまんねえ。
けど…想像以上に悲しい。
絶望以上に悲しい。なぜなら、二度とおまえと逢えないからだ。
辰!天国へ行けよ!
俺もそのうち行くからよ。
だけど、ニコッといつものように笑って、
お前、すぐ、手まねきすんじゃねえぞ。
愛うしい山田辰夫様。
いや、
辰ちゃん。しっかり眠ってな。
合掌。今までありがとう。お前に逢えてしあわせだった。(原文まま)
                       (スポーツ報知)



すみません、名前も存じ上げなかったんですけど、
すっごい役者さんだなあといつも感動していました。
怜悧なナイフのようなあのお声。あーもう聞けない!! 
いつも怖いんです、淡々と話されて、
そういう役柄だと言うことなのでしょうけれど、
いえ、お若い頃の作品を存じ上げないので、
でもカッコいいんですよ、本当に。
≪いいとも≫のテレフォンショッキングでお見かけしたときも
テンション上下なくて、大人で素敵でした。
なんと言ってもあの声!なんです、私の場合。

≪おくりびと≫で田舎のおじさんの役をしていらして、
おおお、こんな田舎のおじさんの役を、
おっかねえっていう感じで
画面に溶け込んでいらっしゃって、
大きな役ではなかったけれど、唸ってしまいましたよ。
いかにも都会のニヒルな大人の男ってイメージが強かったので、
反対側にいるようなおじさんをそのまんまに演じていらっしゃるのが。

長淵さんとそういう、とても近しいお付き合いを
なさっていらっしゃったんですね。
長淵さんの慟哭が聞こえるようです。

お名前も存じ上げない、だけど、見るたびに引き込まれる、
それは役者としてはひとつのきわみでもあるのではないかと、
不明を恥じながら、申し上げたいです。

拝啓、山田辰夫さま、
あーーなんてせつないのでしょう、
どうぞ、ごゆっくりおやすみください、
あなたのご出演なさった映画やドラマは不滅です、
これからじっくりとまた、拝見させていただきます。
ありがとうございました。


ご冥福をお祈りします。




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4 コメント

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日本映画の宝がまた・・ (コップニ)
2009-07-28 22:32:07
樹さんこんばんわ
昨日うちのダンナが「山田辰夫さんが死んじまったよ」と嘆いていましたが、
名前を聞いてもピンとこなかったのです。
お顔を拝見してええ?この人が!と驚きました。
長淵剛さんの追悼記事にも思わず涙です。
子供のようにただ一心に友の死を悼んで慟哭する様子が胸に迫ります。
泣かせる映画などでは決して泣かないのですが、こういう文章にはめっぽう涙脆くなりました。
山田辰夫さんは主役をはるような華やかな役者ではありませんでしたが、この人がいることで映画がピリっと引き締まっていました。
映画の嘘っぽさが消えていました。
本当にもったいない・・
緒形拳さんといい日本映画はまた一つ宝を失くしたなという思いです。
出来ればケンイチと共演して欲しいと思ってる役者の一人でした。

返信する
Unknown (さく蔵)
2009-07-28 22:35:11
樹さん、こんばんは。
この訃報が今朝、こちらに掲載されていたことに気づいていなくて、
7時半頃の芸能ニュースで知ったとたん、樹さんにメールしようと思ったくらいショックでした。
山田辰夫さんという方をよく存じ上げていたわけでもなく、
若い頃、まぁ今で言えばクローズ系の俳優さんという感じでしょうか、
何に出ていらしたかも覚えていないのですが、
樹さんが仰るように声に特徴があることと、
要所要所で危ない光を放っていて、ちょっと気になる方でした。
「おくりびと」で久しぶりにお見かけして一瞬、誰?と思ったのですが、
おのお声を聞いて、うわー懐かしい!すっかり枯れていいおじさんになられたなー、
と感激しました。
あまりにも昔のイメージと違うお姿と役どころでしたが、
ちょっと怖くて不器用だけれど、実は情感溢れる田舎のおじさんが見事にハマっていて、
新境地開拓、これからのご活躍を楽しみにしていた矢先でした。
まだまだお若く、年齢の近い方がお亡くなりになるのは大変残念です。
長渕剛さんの慟哭も胸に迫るものがあります。
ご冥福をお祈りしたいです。
返信する
コップニさんへ ()
2009-07-28 23:30:26
こんばんは、コップニさん。

存じ上げなかったのですが、
山田さんという方、デビューの頃から、
華々しい栄光のなかにいらしたのですね。
でも、悲しいかな、自分が好んで見る映画屋ドラマと
名優といえども、出会う機会はないものだなあと思いました。

もう少しお若い方かと思っていました。
いえ、まだ十分お若いのでしょうけれど、
あの、クールな容貌だけでなく、
なにか、さび付かないものがいつも、静かにたたずまいのなかに、
現れていたからではないかと思います。

悲しいですね、出逢いはひろがるものだけれど、
別れはそっとひとりで見送るという気がして。
せめて、長淵さんの慟哭を
すぐとなりに感じていたいです。
長淵さんの慟哭にウソはないですね。
私たち、きっと、騙されすぎたから、真実のものに出会うと、
安心して、素の感情を解いてしまうのではないでしょうか。

悔しいですね、悲しいです。
声のドラマを聴いて、こんな役、これから誰がやるんですか!と
怒鳴りたくなりました。

松山さんとさしで勝負してほしかったです!
返信する
さく蔵さんへ ()
2009-07-28 23:40:45
こんばんは、さく蔵さん。

メールしようかと思ってくださっていたのですか?
ありがとうございます。
実はこの記事、朝、UPしたのですが、訃報ということで、
一番下に置かせていただいたのです。

WSのニュースで、クローズみたいな映画に出ていらしたこと、
それで賞を総なめになさったことを知りました。

>要所要所で危ない光を放っていて、ちょっと気になる方でした。

さく蔵さんが仰るとおりです。主役のほかに山田さんのような方が
いらっしゃることで、
どんなに作品に奥行きが増すことかと思います。

「おくりびと」での役柄、本当に新境地と呼ぶべきものでしたね。
あまりに都会のイメージがつよかったので、最初、誰だった?ああ、あのひと、
と頭の中が混乱していました。

>長渕剛さんの慟哭も胸に迫るものがあります。

すぐに書いてしまわないと、そのあと、ずっと書けないで、
親友の死にうちひしがれたままになると、
長淵さんが思われたのではないかと思いました。

悲しいですね。悔しいですね、
あの声をもっと聞きたかったです。
私もじっと、ご冥福をお祈りしたいです。






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