知っ得法律コラム

最近気になった法律相談や裁判など、知ってると得する法律に関する情報を紹介します。

賭けマージャン

2020年05月22日 | お知らせ

賭けマージャンは、刑法185条の賭博罪にあたります。

金銭を賭けた以上、金額の多寡は関係ありません。

なお「一時の娯楽に供する物」を賭けた場合は、例外とされており、一時の娯楽に供すべき「飲食の費用」を敗者に負担させたケースで、賭博罪にあたらないとした裁判例はあります。

その場で消費され、価格も僅少のものであれば、犯罪にはならない可能性があるということです。

しかし、金銭を賭けた場合は、例え1円でもアウトです。

 

東京高等検察庁の検事長の場合は、月に数回、繰り返し、賭けマージャンを行っていたということですので、常習賭博罪(186条)に該当する可能性すらあります。

検察官として、許されない行為です。

訓告処分(懲戒処分でないので、退職金には影響ない。退職金は5900万円と言われています)の上、辞任が承認されたということですが、あまりにも軽過ぎると思います。

 

 


検察庁法改正②

2020年05月12日 | お知らせ

日本弁護士連合会が、検察庁法改正に反対する2回目の会長声明を出したので、紹介します。

4月6日に次いで、短期間に、再び、反対声明が出されるのは、異例のことです。

 

 

 

当連合会は、本年4月6日付けで「検事長の勤務延長に関する閣議決定の撤回を求め、国家公務員法等の一部を改正する法律案に反対する会長声明」を公表し、検察庁法改正法案を含む国家公務員法等の一部を改正する法律案に反対した。


検察庁法改正法案によれば、内閣ないし法務大臣が、第9条第3項ないし第6項、第10条第2項、第22条第2項、第3項、第5項ないし第8項に基づき、裁量で63歳の役職定年の延長、65歳以降の勤務延長を行い、検察官人事に強く介入できることとなる。


当連合会は、検察官の65歳までの定年延長や役職定年の設定自体について反対するものではないが、内閣ないし法務大臣の裁量により役職延長や勤務延長が行われることにより、不偏不党を貫いた職務遂行が求められる検察の独立性が侵害されることを強く危惧する。「準司法官」である検察官の政治的中立性が脅かされれば、憲法の基本原則である三権分立を揺るがすおそれさえあり、到底看過できない。少なくとも当該法案部分は削除されるべきである。


しかしながら、政府及び与党は、誠に遺憾なことに、検察庁法改正法案を国家公務員法改正との一括法案とした上で衆議院内閣委員会に付託し、法務委員会との連合審査とすることすらなく、性急に審議を進めようとしている。5月7日に開催された内閣委員会理事懇談会の結果からすると、まさに近日中に開催予定の内閣委員会において本法案の採決にまで至る可能性もある。そもそも、検察庁法の改正に緊急性など全くない。今般の新型インフルエンザ等対策特別措置法上の緊急事態宣言が継続する中、かくも重大な問題性を孕んだ本法案について、わずか数時間の議論だけで成立を急ぐ理由など皆無である。


当連合会は、改めて当該法案部分に反対するとともに、拙速な審議を行うことに強く抗議する。

 

 2020年(令和2年)5月11日

日本弁護士連合会

 


検察庁法改正に反対する会長声明

2020年05月11日 | お知らせ

愛知県弁護士会の会長声明の全文を紹介します。

 

1.政府は、本年1月31日、東京高等検察庁検事長について、国家公務員法第81条の3の勤務延長の規定を適用し、同検事長の定年を同年8月7日まで延長する閣議決定を唐突に行った(以下、本閣議決定という)。
 検察庁法第22条は、「検事総長は、年齢が65年に達した時に、その他の検察官は年齢が63年に達した時に退官する」と定めている。同検事長は「その他の検察官」にあたり、同年2月7日に63歳の定年を迎える予定であったが、検察官は一般の国家公務員と異なり検察庁法により定年の特別の定めがあり、国家公務員法の勤務延長の規定も検察官には適用されないのであるから、本閣議決定は違法である。
2.検察官に、国家公務員法の定年及び勤務延長の規定が適用されないことは、これまでの政府の公権的な解釈で明確にされていたが、本閣議決定に際して、政府から従前からの公権的解釈を変更する旨説明がなされた。
 そもそも検察官が一般の国家公務員と異なり検察庁法により規律されるのは、公訴権を独占する準司法機関である検察官は、厳正公平、不党不偏が求められるためである。他の一般職員と同じように、政府による検察官の定年に介入することを許せば、検察官の政治的中立性や公平性を害し、ときには政治家をも捜査起訴する検察官の職責を十分に全うさせることができなくなる。
 本閣議決定は、検察庁法の規定に違反するとともに、検察官の政治的な中立性や職務の独立性を侵害し、検察官が刑事司法手続の一翼を担うことに鑑みれば、憲法の基本理念である三権分立をも揺るがすものである。
3.さらに、内閣は、同年3月13日、国家公務員法等の一部を改正する法律案を閣議決定し、これを国会に提出した。同法律案は、新型コロナウイルス対策急務の中、同年4月16日、衆議院本会議で審議入りした。
 同法律案には、検察庁法の改正も含まれており、検察官の定年を段階的に現行の63歳から65歳まで引き上げるとともに、63歳になった検察官は、原則として、最高検次長検事、高検検事長や地検検事正等の官職に就くことはできないとするいわゆる役職定年制を導入するが、「内閣」が「職務の遂行上の特別の事情を勘案し・・・公務の運営に著しい支障が生ずる」と認めるときは、特例措置として、当該官職のまま引き続き勤務させることができるとされている。
 このような法律改正案は、前項記載のとおり、政府による恣意的な検察官人事への介入を許すことになり、検察官の政治的中立性や公平性を担保しようとする検察庁法の基本理念が失われる。
4.よって、当会は、検察官の定年延長に関する本閣議決定の撤回を求めるとともに、現在国会に提出されている国家公務員法等の一部を改正する法律案のうち、検察官の勤務延長の特例措置に関する部分に反対し、検察官の政治的な中立性・公平性を担保するよう求めるものである。
2020年(令和2年)4月23日