知っ得法律コラム

最近気になった法律相談や裁判など、知ってると得する法律に関する情報を紹介します。

自転車事故による損害賠償責任

2014年01月29日 | お知らせ
自転車が加害者となる交通事故も少なくありません。
昨日も、東京地方裁判所で、歩行者が死亡し、約4700万円の損害賠償が認められたとういニュースが流れてました。
また、昨年8月には、神戸地方裁判所で、相手が重度の障害を持つことになったため、9500万円の賠償が認められたケースもあります。

道路交通法上は、自転車も車両です。原則として、車道を走らなければなりません。自転車の通行が特別に許された歩道(自転車通行可の道路標識があります)であったも、歩行者が優先です。
自転車を運転する時も、自動車と同じように、くれぐれも慎重にと思います。


逃走の罪

2014年01月27日 | お知らせ
川崎の逃走事件について、逃走そのものについては、罪に問えないとされたという報道が流れてました。
どうして罪にならないのか、意外に感じられた方も多いと思います。

逃走罪(刑法97条)は、有罪判決を受け収監されている人だけでなく、勾留状によって拘束されている被告人や被疑者も対象となります。
しかし、今回は、逮捕はされていたが、勾留の決定の前だったので、逃走罪には当たらないとされたということです。

よく似た犯罪に、加重逃走罪(刑法98条)というのがあります。
暴行、脅迫、拘束器具の破壊、2人以上協力して逃走するケースです。
この場合は、逮捕され、勾留決定の前でも、犯罪になり、逃走罪よりも、重罪となります。

今回は、1人で逃げ出しており、暴行、脅迫などもなかったため、加重逃走罪にも、該当しないという結論になったようです。

参考(?)までに。

DNA親子鑑定

2014年01月21日 | お知らせ
昨年は、産院における赤ちゃんの取り間違いを題材とした映画が評判になりました。
また、最近、DNA鑑定の結果、子どもとの親子関係が否定されたことを告白した芸能人が話題となっています。

DNA親子鑑定は、10年以上前から、裁判手続きに登場する様になってきており、私もよく利用しています。
父親に対し強制認知を請求するため、親子関係を主張するための場合、
逆に、間違って父子と記載された戸籍を訂正する場合など、様々なケースで、DNA親子鑑定に遭遇しています。

DNA親子鑑定が始まった頃は、医者のところに行き、血液を採取する必要があり、費用も高かったけど、
最近では、担当者が、事務所に来てくれ、頬の粘膜を綿棒で採るだけで済み、費用の10万円以下でやってくれます。

保釈制度と保釈保証金

2014年01月16日 | お知らせ
今朝(16日)のラジオで、プロ野球ヤクルトのバレンティン選手が5万ドル(520万円)で、保釈されたというニュースが流れてました。

日本にも、保釈という制度はありますが、アメリカとはかなり違います。
バレンティン選手が逮捕されたというニュースを、私が知ったのは、14日(火)の朝のことでした。逮捕から、数日で保釈されるということは、日本ではあり得ないからです。

日本で、保釈が可能なのは、逮捕(最大48~72時間)勾留(10~20日)されて、起訴された後です。通常、どんなに早くても、12日以上経ってからでなければ、保釈されることはないのです。
日本には逮捕・勾留段階では、保釈という制度がありません。
また、余罪がある場合には、その取調が終わるまでは、保釈が認められることは、まずありません。

また、私の経験から言って、5万ドルは、バレンティン選手の収入に比べ、安いという感想です。
日本の一般庶民の刑事事件の保釈金の額は、大半が150万~300万円の範囲内です。私の経験した中で、1番安かったのは、道路交通法違反(無免許運転)で80万円、最高は詐欺で500万円でしたが、他はほとんど150万~300万円の範囲でした。

今回のニュースを聞いて、制度としては、早い段階で保釈を認めるアメリカのような制度が理想だと思いましたし、日本の裁判所の保釈金の基準は高すぎると思いました。

ドメスティック・バイオレンス

2014年01月15日 | お知らせ
プロ野球ヤクルトのバレンティン選手が、DVで逮捕されたということが、大きなニュースとなっています。

ところで、DVというと、「殴る」「蹴る」「物を投げつける」などの、身体的暴力をイメージしがちですが、本来は、もっと、広い意味で使われています。
私が、相談を受けたケースの中には、身体的暴力以外にも、次のようなケースがたくさんありました。

精神的暴力  ののしる 怒鳴る 話しかけても無視する 人格を否定することを言う
性的暴力   性的行為を強要する 避妊に協力しない 
社会的暴力  外出を制限する 交友関係や行動を監視する メールをチェックする
経済的暴力  生活費を渡さない お金を事由にさせない 外で働くことを制限する 

また、DVを受けていながら、「パートナーが怒るのは自分に非があるからだ」「自分は駄目な人間だ」「自分さえ我慢すれば」などと考え、自分ひとりで抱え込んでしまう人が多いのも、DVの特徴です。
ひとりで悩まず、まず、相談してみることが大切です。 


無期懲役と仮釈放

2014年01月11日 | お知らせ

無期懲役というと、みなさんは、どのような印象をお持ちでしょうか。

無期懲役と言ったって、ほとんどの人が、仮釈放されているのではないかと、思っている方も、少なくないと思います。

しかし、現実はなかなか厳しいです。犯罪白書によれば、無期懲役(禁固)が確定した刑法犯は、次のとおりです。年度によってかなり人数にばらつき(135人から38人)がありますが、平成15年から平成24年の10年間で、合計870人です。

http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/60/nfm/images/full/h2-3-1-01.jpg

他方、その間に、仮釈放された人数は、次の通り、合計55人です。確定者の人数の10分の1以下です。しかも、平成19年は0人。平成20年以降は、25年以上服役した人のみ、平成23年以降は、30年以上服役した人もだけです。

http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/60/nfm/images/full/h2-5-1-03.jpg

死刑は、マスコミなででも話題になることが多いけど、無期懲役が話題になることは、ほとんどないと思います。無期懲役の現状を知っていただけたらと思って紹介します。

 


氏の変更と年賀状

2014年01月07日 | お知らせ
この正月に、妻宛てにきた年賀状の友人の氏のことで、妻から質問されました。離婚後もずっと、結婚中の氏で年賀状が来ていたけど、今年は結婚前の氏で年賀状が来たということでした。
直接本人に確かめたわけではないので、間違っているかもしれませんが、私が、考えたのは、
 1 離婚後、戸籍上では、旧姓に戻したけど、仕事の都合などで、通称として、結婚中の氏をそのまま使っていた
 2 離婚後、戸籍上も、結婚中の氏を使っていたが、家庭裁判所の許可を得て、旧姓に戻した
の、いずれかだろうということです。

氏の変更は、「やむを得ない事由」がある時に、家庭裁判所に申し立てすることにより、認められます。
やむを得ない自由としては、珍奇・難読、永年使用などがあります。
また、離婚の際、婚姻前または婚姻中のいずれかの氏を選択しなければならないのですが、その後の事情により、婚姻中または婚姻前の氏にしたい場合もあると思います。このような場合には、「やむを得ない」事由があるとして、氏の変更が認められることも多いと思います。

名前の変更と年賀状

2014年01月06日 | お知らせ
正当な理由がある場合には、家庭裁判所の許可を得れば、名前を変更することができます。
正当な理由があるとされる場合は、たとえば、奇妙な名前であるとか、異性とまぎらわしい、同性同名者がいて不便であるなどがあります。
私が修習生のころだったので、今から35年くらい前のことでしたが、「優」という名前の女性が、「まさる」と読まれてしまうので、「優子」と改名したいという相談に立ち会ったことがあります。その女性が、実際に改名されたか否か知りませんが、その後、早見優さんがタレントとして活躍され、今では「優」も女性の名として定着してきたと思います。

ところで、私がこれまで、名前の変更で相談を受けたケースで多いのが、字画が悪いという相談です。裁判所は字画が悪いということだけでは名前の変更を認めておりません。しかし、字画の良い希望する名前が、通称として永年使用されておれば、変更することが可能です。通称として利用されてきたことを証明する資料として、本人あてに通称で送られてきた郵便物なども証拠となります。
新年に、年賀状をいただいた方も多いと思いますが、通称で送られてきた年賀状は、永年使用の証拠となりますので、大切にして下さい。