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「あずかりやさん 彼女の青い鳥」大山淳子 感想

2020-01-16 | 小説・漫画他

「あずかりやさん」シリーズ3作目
『ねこふんじゃった』『スーパーボール』『青い鳥』『かちかちかっちゃん』『彼女の犯行』の5編が入っています。
最初のお話は、もやもやしたけれど、スーパーボールと、かちかちかっちゃんが良かったです。
また、このシリーズ4作目も是非読みたいなあ。


ねこふんじゃった
なんと猫にくっついてるノミが語り手。

スーパーボール
一日に3個だけ100円ショップで物を買っていいと自ら決まり事を守っている老女。買い物依存症で、必要ないのに家に新品の物が溜まり溜まっている・・・

★以下ネタバレ★
なんと、彼女は高齢になっての記憶障害で、親から愛されまっとうに生きて来た自分を、幼い頃から問題のあって親からも拒否られていた姉と思い込んでいたのだった。13年前に姉から届いた手紙。中を開けて読むのが怖くて(また金の無心とかじゃないか・・・と)、あずかりやさんに預けたものの、そのまま記憶障害のせいで引き取りに行くのを忘れてしまっていた。
あずかりやさんは、その封書をまだ保管していて、それを開けて読んだら、色々すったもんだあったものの医者と結婚して今は落ち着いて暮らしていることが書かれている。
もう70代を過ぎた姉妹だが、これから会いに行く、きっとまた交流が復活する・・・という明るさの見えるラストでした
以上

青い鳥
店の前で鳴いている青い鳥ルリビタキ。成長するにつれて青い色が深くなり、寿命が4年くらいだとされている。
でも店主は目が見えない。だからこそ、段々鳥の青が深くなって、もう寿命が短いだろうと推察されることなく、鳥はいられるのだった。

かちかちかっちゃん
芥川賞を受賞している男。
今回の語り手は、男が昔から手直しし続けている原稿。
小説家にはなったものの、行き詰っている男が、その原稿を持って、あずかりやさんにふらっとやって来る。
偶然、そこにテスト前だから読書禁止したいからと、男の小説を持ち込んだ少年がいたり、あずかりやさんの桐山君が初期の作品を知っていたりと、男は自分の本の読者がいる事を身をもって知り嬉しくなる。
そして、その古くからの原稿を桐山君に読んでもらって、勇気が出て、編集者の女性に投函するのだった。
その原稿小説こそが「かちかちかっちゃん」です。

★以下ネタバレ★
その内容はというと、少年2人が登場してきて、泳げない消極的な子と、活発な人気者の泳げる子。2人が本好きということで仲良くなる。村には、かちかちかっちゃんと呼ばれれる謎の不気味な男がいて、バカにされる存在なのだけれど、実はそれが活発な少年の父だったことが後に解って泣く・・・という話なのだけれど、その短い2,3頁だけでも、うるっと来るお話で、是非私も読んでみたいと思わせられる内容でした・・・。以上
この本の中で、一番この小説が好きです。

彼女の犯行
今回の語り手は古い壁時計。
自分が修理に出されている間に、とても高価なドイツ製の時計が置かれていた。
それを持ち込んだ謎の女(青いバックを持って、月に1,2回やってくる謎の女で、預けるだけで取りに来ない、ウナギの差し入れもしたことがある 笑)
その女と幼い頃から友達の芸者の美女。
貰いものが一杯部屋にあって、それを褒めてくれた彼女に、色々あげていたのだけれど、彼女はそれを全て、あずかりやさんに置いていたのだった。
友達関係を続けるにおいて、一方的にもらうばかりではなく、対等であることが・・・というのは、ある意味そうだよなあ・・・と思わせられました。

そして、15歳の少女。再発した病気に勝って、無事にラブレターを取りに来られることを願います!!

あずかりやさん 彼女の青い鳥  2019/5/1
大山 淳子

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