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「水たまりで息をする」高瀬隼子 ネタバレ感想

2021-11-21 | 小説・漫画他
面白かったです。4つ★

新聞かな・・?内容に興味が湧いて、だいぶ前にリクエストしていたのが回って来ました。
とても読みやすく、この先どうなるんだろう?と興味が最後までずっと続きました。

メインの30代夫婦の話(風呂に入らなくなった夫)以外の、妻の衣津実が子供の頃飼っていた「台風ちゃん」という謎の生命力が強い魚のお話が良い具合にからんでおり、この作家さんの本は初読みですが、かなり才能のある人の気がしました。

夫がいきなり水がダメになり、風呂に入らず、どんどん臭くなる・・という経過描写がちょっと気持ちが悪いものの、淡々と物語は進みます。
夫婦といえども、お互い優しい人なのかな・・遠慮がちなんですよね・・・。
そもそもこの共働き夫婦は、食事にしてもお互いが自分の食事は自分で用意して食べているし、気楽でいい感じの生活をしています。
「おままごとみたいな」と姑から言われても、風呂拒否前はうまく行ってたんですよね。

きっかけは、営業の成績の良い後輩が、飲み会の席でふざけてなのか、夫に水をかけた事件なのではないかな?と思わせられるも、はっきりはしません。

衣津実が子供だった頃、夜中に両親が話しているのを立ち聞きした事があって、父親が弱音を吐く母親に、会社関係の鬱の人の事を引き合いに出して、「お前は病気になるような弱い人間じゃないから」みたいな事を言っていました。

妻は夫に心の内科とか病院に行く様に強く勧めるわけでもなく、会社から実家の母(姑)に連絡が来て心配で家にやって来たり、電話が頻繁にかかってきたりするのだけれど、スルーしちゃうんですよね。

そのうち妻の田舎の実家に遊びに二人で行ったら、すっかり夫がそこを気に入り、そこの川なら水浴びが出来るみたいで、わざわざ一人でリピートしに行く様に・・・。

★以下ネタバレ★
結果的に夫は会社を辞め、妻の実家の田舎の空き家に二人で移住する。
しかしダムの放流で水かさが増えた日、注意・危険のアナウンスがあったものの、どうやら夫は死んでしまったっぽい(ハッキリは描かれないけれど・・)ってところで終わっています。
以上

台風ちゃんは、家族の誰もが投げやりに愛情無く惰性で飼ってるだけの存在なのに、ずっと長生きしている・・って感じの表現がなされている部分がとても印象に残りました。

他にどんな本を書いているのかな?って調べたら「犬のかたちをしているもの」の作家さんだったんですね!(こちらの方が先で、後に発表されたのが「水たまりで息をする」)
この本も以前内容が面白そう・・って思ったものの、図書館に置いていなかったので諦めて、そのまま忘れていたんです。今見たら、入荷していたので早速リクエストしました。
読むのが楽しみです。

昔、モロッコの首都(結構な都会)の友人の弟(大学生)が物心ついてから10年位だったかな・・・シャワー・風呂に入った事もなく、頭も洗った事がないという信じられない事を聞いて、物凄い衝撃を受けたんですけど、全然臭くないし、紙も油ぎってもいなくて、綺麗だったんですよ。不思議です・・。

ちなみに、私は切迫流産で入院させられていた時、風呂どころかシャワーも許されず、2か月は入れなかった事があります。ちなみにシャンプーも確か3週間くらいできなくて、気が狂いそうになりました。(入院中、たった2回しかやってもらえず)本当に辛かったです。頭が気持ち悪くて安眠出来なかったです。

水たまりで息をする  高瀬 隼子
第165回 芥川龍之介賞 候補作
ある日、夫が風呂に入らなくなったことに気づいた衣津実。夫は水が臭くて体につくと痒くなると言い、入浴を拒み続ける。彼女はペットボトルの水で体をすすぐように命じるが、そのうち夫は雨が降ると外に出て濡れて帰ってくるように。そんなとき、夫の体臭が職場で話題になっていると義母から聞かされ、「夫婦の問題」だと責められる。
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