LAPISの彦左衛門日記

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9月LAPIS通信 巻頭言

2014-09-11 12:38:04 | LAPIS通信・巻頭言

9月度 LAPIS通信


 以前、保護者会アンケートで、次のような質問をいただきました。
  【夏合宿では、苦手な教科を中学生が何日も何時間も取り組めるものですか?】

 まずは、今年も合宿最終日に生徒たちが書いてくれた作文をいくつか一部抜粋してご紹介いたします。

**8月20日 合宿最終日 「合宿を終えて」**

《 夏合宿を終えて 》 ペンネーム…N・K+1 
 この夏合宿の1日目に書いた作文には、自分から質問に行き、自分を変えると書いた。でも、3日目までで自分が質問をしに行ったのは1回だけだった。受動態のテストが終わらなく、自分は5日目の朝までかかった。きっと原因は質問をしに行かなかったからだと思う。質問をする時に話すのが嫌だという気持ちを捨てることができずに、全く質問をしなかった。4日目から5日目に変わる時の夜に、田中先生に、
 「質問に来い。」
と言われて、質問をしに行った。質問をしている時は先生と話すのが怖くて、嫌で逃げ出したくて泣いてしまった。でも、泣いたら何かが吹っ切れて、次からは少しずつ自分で質問できるようになった。わからない所をきちんと聞いたら、100点も何枚か取れた。合宿で質問することの大切さを実感することができた。今も、質問をしに行くのが怖いという気持ちはあるけれど、自分の気持ちの弱さに負けないようにしたい。この合宿で、質問をすることの大切さと、自分の気持ちの弱さをきちんと知ることができた。これからは自分に厳しく、自分に負けないようにしたい。


《 成長できた5日間 》 ペンネーム…m・e
 勉強面では、初めてオールをしたけど、まだもっとたくさん、みんなと一緒に勉強したかったです。この4日間で、はっきりと自分は変われたとは言えないので、少しは不安もあります。でも、わからない問題は質問して、なぜにこだわり、一つ一つの問題に立ち向かうことができたと思います。そして、これからもたくさん勉強してたくさん質問し、分からないところを少しでも多く克服していけたらいいと思います。
 先生の武者語りでは、先生たちの意外な過去の話を聞き、たくさん笑って眠気がなくなりました。
 この合宿は、私にとってとてもいい経験になりました。この合宿で学んだことを生かして少しでも志望校に近づけるようにしていきたいと思います。


《 がんばった自分&ありがとうS先生 》 ペンネーム…十 升
 英語を重点弱点克服科目にしており、この5日間ずっと英語をやり続けました。最初は、新演習の問題や受動態のテストは1枚に30分かかっていてもう逃げてあきらめようとしたけど、1枚くらいはしっかりやろうと思った。テストは5割の点数しか採れなかったけども、S先生やK先生にずっと質問して大体分かり、先生に「もう一度やってみな!」と言われて、もう1回やったら8割以上採れていて、とても嬉しかった。


《 Never give up! 》 ペンネーム…PEANUTS
 あと5分で休憩になってしまう…3日目くらいから、毎コマそう感じていた。今回の合宿で、私は大きく変われたと思う。勉強に対する意識はもちろん、仲間の大切さや、両親への思い、時間への価値観など色んな事に気づけていた。
  …… 中略 ……
 正直、もう少し長く合宿を続けたいと思うくらい充実した。でも、これはまだ受験へのスタートだ。この経験を生かして自分自身でどうやって道を切り開くかが大切だ。私はもっと自宅などでも勉強し、希望校に受かるようにしていきたい。本当の限界を越えられるように!やってやる!


《 限界を見下せ 》 ペンネーム…日本刀
 合宿が終わって気づいたことは、4日あれば人は変われるんだと思いました。ぼくは合宿前に、英語長文を得意にすることと長時間の勉強に慣れることを決意し、合宿に参加しました。1~2日目は、とにかく眠くて徹夜なんて無理だと思っていたけど、3~4日目はほとんど寝なくなりました。
 この合宿で感動したことがありました。それは徹夜が終わり窓を見ると、日が昇っていた。それを見て、最初は徹夜など長時間の勉強ができるわけないと思っていた自分が4日目のラスト1コマを終えて、朝日を見れているということに感動した。そしてこの先、勉強などで行き詰まったときは、この感動した経験を支えにしたい。


《 グータッチ 》 ペンネーム…かっこいい弱虫
 あー!! 合宿終わっちゃった。まだ終わってほしくなかった。初日すごい不安とかあって自分は、のびるかな?って心配だったね。でもあきらかに9割はのびてる!! 3日目とかほとんど寝てないじゃん。すごいよ。これだけ頑張れたのは、自分自身のやる気もあったけれどやっぱりLAPISの先生方の支えがあったから、9割も満足してできたんだと思う。できたときに色々な先生たちが、「よく頑張ったね」と言ってグータッチしてくれたのが、すごい印象的に残っています。だから頑張りも10倍100倍に増えました。5日間はあっというまで、あっ、もうこんなにわかる!! っていう感覚がすごい良かったです。私は5日でノート1冊使ってしまいました。こんなに勉強したから最後の日は9割達成できていたのだと思います。先生方もありがとうございました。

 生徒たちの合宿最終日の作文、お読みいただき、いかがでしょうか?

4泊5日、朝は6時40分から夜は2時、3時まで、不思議なもので、何日も何時間も取り組むのです。
人の意思ってすごいなぁと合宿でいつも感じます。
「やろう!」とすると、やりきるものなんですね。

 ただし、そこには、合宿を運営し、やりきらせるための多くの工夫があり、現場でうまくいかないときには、生徒にどう取り組ませたらよいかをスタッフ間で頻繁に話し合います。
 その結果、ときには呼び出されて活を入れられる生徒もいます。 

 例えば、
(1)合宿前、講習中に、「やる気アップ講座」で先輩の映像を見、先輩の生の話を聴いたり、「先輩からのアドバイス集」を読んだり、聞いたりして、何をすれば夏の勉強や合宿に最適なのかを事前に 学習しています。


(2)写真を見てください(掲載省略)。先生12人~15人が勉強している生徒45人をぐるっと囲みます。生徒4~5人に1人の先生配置です。
 うまく進んでいない生徒、少し萎えてしまった生徒には、小さな達成感を積み上げ、できる喜び、わかる喜びを味わせるために、ベテランスタッフが何をどうやらせれば進みやすいかを、若いスタッフに具体的に指導し、生徒それぞれに進めやすいやり方を、その場その場で臨機応変に変えて、学習に取り組みやすくしていきます。

 例えば、日頃からなかなか自分では勉強を進められない生徒には、自分の席ではなく、先生の隣にずっと座らせて、手が止まったら先生が声をかけ、そして質問するように促して、集中力を保たせるようにします。
 また、「何?」「なぜ?」にこだわっているかいないかを見極めるために、質問の回数が少ない生徒を呼んだり、近くに寄ったりして、「これはどういう意味?」「なぜそうなるの?」とこちらから質問して、何を質問したらよいのかを教えます。
 そして、ここまで終わったら見せに来るようにと決め事をし、先生に寄って来やすくし、質問に来ることを促しています。
 たくさん質問に来る生徒には、たくさんの「イイネ」を押し続けます。「なぜ」の部分をていねいにていねいに教え続けると「なるほど!そうだったんだぁ!!」というすっきり感、喜びにつながり、勉強に対するモチベーションがどんどん上がるようです

 合宿中1つの教科だけをやり通すのですが、実はそんなに勉強が進むわけではなく、1つのことにこだわると、1ページ終了するのにこんなに時間がかかるものなんだと実感する合宿なのです。


(3)合宿の時間割を見ていただければわかりますように、合宿中1科目だけと言いつつ、初日から3日目まで「英語」の授業を入れています。この英語の授業は、相当ハードルが高い授業です。
 S組、1組、2組は「受動態テスト」連続2枚85点以上をとれたら合格。
 3組は「不定詞・動名詞テスト」連続2枚85点以上とれたら合格です。
 英語がもっとも苦手な生徒は、テストをするだけではなく、1枚を完璧にして、その後先生の前で1文ずつ英文を音読、音訳する、というものです。
 ただ、丸暗記したのではいけません。なぜその答えになるのか、すべて自分で説明できて完璧としています。
 この作業を通して、今までこんなに質問したことがない、ここまでわかるまで質問したことがない、そして質問すればするほどわかるんだ、また1回質問してもすぐに忘れ、同じことを何回でも質問しないと定着しないんだと感じるほど質問させます。質問し、ノートまとめし、同じテストをわかるまで完璧になるまで何回もやり直した後に、次のテストに臨むと最初は30点ぐらいしか取れていなかったテストが次第に80点、90点と取れるようになってくる。この達成感が心を気持ちよくさせ、勉強は楽しいと思えるようにさせるようです。

 今年の中3生の勉強姿勢は、最初からすばらしいものがありました。合宿では勉強をする!何としてでも弱点を克服する!自分を変える!自分を超える!という覚悟があり、「先輩たちのおしえ」を守ろうと、10分の休み時間や食事が終わった後の休憩時間には休むために寝て、勉強時間は勉強をやりきる。そしてできるだけ勉強時間を確保するために、毎晩3時までは絶対勉強してやる!とがんばっていた生徒が10数名いました。その生徒たちに引っ張られるかのように、ほぼ全員が合宿の最初から 逃げずに立ち向かい、真剣に勉強に取り組んだのです。
 「できるようになる生徒」の第一条件は「まずは何でも素直に取り組んでみることができる。その上で試行錯誤できる」ことです。自分の勝手な判断は、結局は「逃げ」「立ち向かえない」に繋がります。
 今年の中3生は本当に素直にやりきりました。素晴らしいです。


(4)弱点克服の時間も、上記の英語のように、各科目ごと、一人ひとりごとに、きめ細かにやることを決め、自ら作業し質問に来やすい工夫をしています。


(5)試行錯誤&眠気対策
 朝早く起きて、イベントに一生懸命になれば、学習時間に眠くなるのは当然です。
 夜遅くまでがんばろうとしますが、夜中いつまでも眠らないでいるわけにはいきません。
 初日、夜中までがんばった子は、翌日の昼間にうつらうつらすることもあります。しかし、今年の生徒たちは違いました。夜中までやっていた生徒ほど、翌日もうつらうつらせずにがんばって勉強していたのです。休むときはしっかり休む。ずっと前から楽しみにしてきた合宿だから、やりきりたい!という想いが、彼らをそうさせたのだと思います。

 僕らは、眠気に勝つことが弱点克服ではない、自分に克つことではない、「何?なぜ?にこだわり続け、夢中になってやることが弱点克服だ!」と言います。

 だから最終日も徹夜して勉強することが目的ではなく、とことんやり抜くことが目的なのです。その結果、途中で力尽きて寝てしまってもいいし、やりきった結果として徹夜となってもいいのです。

 想いの通りにやりきった生徒たち。自分はやればできるんだと、自分の成長を実感できる夏の合宿です。
 実は、生徒の様子を見て、スムーズに勉強を進ませるために昼寝タイムを設け、眠気調整することもしています。


(6)バスに乗った直後からカラオケ
 スタッフや合宿に行く仲間。その仲間たちの違う一面をかいま見ることによって、共に学ぶ仲間同士の心の距離を縮め、合宿生活をともに支えやすく、また質問にも来やすいムードを作ります。


(7)初日に川で思いっきりはしゃぎ、別世界を経験させた後の開校式
 「ここから気持ちを切り替えて!」と言い、決意の作文を書かせます。自然と戯れる別世界に入ることで、異次元に入りやすいようです。今年は川が増水していて、例年通りではなかったにしても、生徒たちは異次元に入れたようです。


(8)バーベキュー星の観察みんなで協力しあうゲームなど1日1つのイベントを楽しみにして勉強に向かいます。


(9)授業の最初に、先生のモチベーションアップの話(武者語り)があり、先生の失敗談や逃げた話、自分が弱点克服した話などを、それぞれのスタッフが合宿中に1回は披露します。ときには、大笑いさせる一芸も披露します。そんな話を聴いて、ときには大笑いし、子どもたちは気分一新。すんなり勉強を継続できるようです。

 また、「武者語り」以外にも、各スタッフから素晴らしくタイミングの良い指摘やアドバイスがあり、ハッとさせられ、一生懸命に取り組むきっかけとなるようです。


(10)写真をご覧ください(掲載省略)。靴がきれいにそろっているでしょ?
 整理整頓は心を整えるため。禅で言う「調身・調息・調心」の第一歩が身の回りの整理です。席を立ったときは必ず椅子を入れる。履き物は手でそろえて、心を改めて部屋に入る。不要なものはこまめにしまう。机上のものは垂直平行に並べる。そんな行為を通して、学習に正しく向かう心を作ります。


(11)1日の振り返り
 夜12時。各クラスごとにきれいな円陣を組み、その日一日を振り返り、感じたこと、明日への思いを一人ずつ発表します。一緒に学ぶ仲間の想いをじっと受け容れ、自分の想いを受け容れてもらう時間です。初日は、中学生特有の茶化しが入ったりしますが、日がたつにつれて、みんなががんばっているから自分も頑張れる。机上を垂直平行にそろえたり、椅子や靴をそろえたり、ホテルの方に元気良く挨拶したり、「いただきます。ごちそうさま。」の挨拶を元気良くする仲間の姿を見ることによって、自分もパワーがもらえる、などの話が出てきます。一人では決してここまでやりきることができないことを言葉に出し始めるのです。そんなお互いの気持ちがお互いを高め合って、とにかくやりきろうという思いが高まります。


(12)心理カウンセラー
 ここ4~5年、外部講師として、モチベーションアップや自己管理方法の専門家、林大樹先生(リンリン)に合宿に参加していただき、様々なやる気アップや仲間づくりの手法を取っていただいています。林先生は、合宿前日に留学先のアメリカから戻ってきたばかり、合宿翌々日には再びアメリカに戻るというハードスケジュールでの合宿参加です。
 彼の手助けで、合宿がさらにパワーアップしたものとなっています。感謝、感謝です。

 正直、やればやるほど、また、そのときどきの生徒や時代背景にあわせて、まだまだ修整すべきところがある合宿だと感じています。
 さらにパワーアップできる合宿にしたいです。
 最大の問題は、田中の年齢(自称92歳)かもしれません。。。(^^;)

 今年は最初から立ち向かう生徒が多く、いままで合宿のレベルをはるかに超えることがとても楽しみでした。それぞれスタッフも同じことを感じており、とにかくはるかに超えていく生徒の力になろう、そして、今しか彼らにつきあってやることはできないという思いから、自分の空き時間もつぶして、休みも取ること無しに夜中まで生徒たちに付き合ってくれました。
 夜、起きてがんばる生徒が一人でもいたらスタッフは最後まで付き合います。スタッフも休み時間をシフトで入れてあるのですが、思いが先立ち、生徒につきあう合宿の日々です。
 合宿最終日、やりきった達成感。最後は、がんばった自分、支えてくれた仲間たちに大きな拍手です。

 そして、最後の最後に全員で握手とハグ。
 感動のあまり思わず涙するスタッフまでいた過去最高の合宿でした。


 ただし、
 残念ながら、結果がそううまく出るわけではありません。夏休み前から、子どもたちには口酸っぱくして言っていました。

 「夏期講習や合宿は、始まり(スタート)に過ぎない」と。
 3ヶ月間、「何?」「なぜ?」にこだわって、やり続けて、初めて成績は上がるのだと。

 すぐに上がれば苦労はありません。すぐに上がらずとも、ただただ3ヶ月、ひたむきにこつこつと続けていく。それしか成績が上がる方法はありません。

 机上の垂直・平行、椅子や靴をそろえる。大きな声で挨拶し、真剣にやる仲間を支える。まずは3ヶ月続けましょう!
 
 学校が始まり、体育祭の練習も行われ、疲れるでしょうが、1日10分でも良いですから勉強の習慣だけは崩さぬようにやってみましょう!
 期待しています!!


 

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