それみし

よしなしこと

夜が明けて

2006年04月12日 13時02分32秒 | ことのは
今朝みれば
        夜半の嵐に
               ちり果て
    庭こそ花の
            さかり也けれ

左兵衛督実能 金葉集・二度本巻一:春(58番歌)

昨日の雨で桜も殆ど散ってしまいました。
昨夜のうちはまだ、散ったばかりのはなびらで足元がきれいに彩られていたのですが今朝になってしまうともう…(苦笑)

古典の世界、とくに古今集やそれ以前の時代では、「花」といえばそれは梅を意味しました。梅が中国から日本に伝来したのは西暦700年以前といわれています。当時の文明の中心地中国に倣って、当時の日本でも梅は花の姿や色彩よりも芳香を有するか否かという点で愛でられるものとなり、萬葉集などでもその香を詠む歌が多く残されています。
一方、平安時代のころから桜が一般に広まるようになり、だんだん市民権を得てきます。そして武家社会になるとその散り際の潔さから大ブレーク、日本の象徴的地位を占めるような位置づけになって行くわけです。
古典の和歌の中で「花」がどちらの花を意味しているか、それを見分けるのは簡単。香りを詠んだ歌なら梅のこと。見た目、とくに霞などになぞらえたりして儚さを詠んだ歌なら桜だと思ってほぼ間違いないでしょう。

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