鴨川河川敷や京都御苑の散策だけだと何となく物足りない気持ちが拭えなかったので、もう少し遠出をしたいと思い、幼い頃に住んでいた場所の近くで、歩き慣れている東海自然歩道を鷹峯千束町から坂尻と呼ばれる場所まで往復してきました。自宅からすべて歩き通したので、ひさびさに長距離を歩きました。
京都市街を抜け、ひさしぶりに立ち寄った今宮神社に参拝して道中の安全を祈願し、門前のあぶり餅に浮気しそうになる気持ちをぐっとこらえて西に向かいます。
ここからの主要道は鷹峯街道になるのですが、この街道を通ると緩やかな坂をだらだらと登ってから転げ落ちそうな急坂を下ることになるので、すぐに紙屋川(天神川)沿いの道を選んで川沿いに歩を進めていきます。そして鷹峯街道を通ると下ることになる急坂と合流し、すぐに京見峠から氷室や杉坂へと向かう旧長坂越との分かれ道になりますが、その近くに架かる農林橋の手前で咲いていたのが……

シャク(芍)の花でした。すでに咲き終わって若い果実もなり始めていました。

北海道から九州にかけての山の谷間で見られるセリ科シャク属の多年草で、食用にもなります。このシャクと同属で、ハーブとしてよく知られているのがチャービルです。
ただし、シャクは毒草のドクニンジン(毒人参)とよく似ているので注意が必要ですが、花の時期がシャクのほうが5月から6月と早く、ドクニンジンは7月と遅いことと、ドクニンジンはカビ臭いような独特の臭いがあり、茎に赤紫色の斑点が入ることから区別がつきます。
このシャクの花に別れを告げ、農林橋は渡らずに川沿いに続く山道を進んでいきます。山道といっても坂尻あたりまでは舗装されていますので時折通る自動車にさえ気をつければ歩きやすい道です。ちょうど坂尻まで中間あたりで、紙屋川の砂防ダムがある鷹峯仏谷という場所まできて、ちょっと一休みと立ち止まった足元で咲いていたのがこちらの花。

タニギキョウ(谷桔梗)の花です。こちらは水辺ではありませんが、植林された北山杉の木陰で一日中ほとんど日が当たらないと思われるような場所にひっそりと咲いていました。名前のとおりキキョウ科タニギキョウ属の多年草で、北海道から九州の山地の木陰に分布しています。
じつは最初、この花の名前は知らず、見覚えのある花のかたちだけど何だろうと思いながらも、この雄しべと雌しべがひっついている形状がずっと気になりながら、うんうんと考えて歩いていてふと思いつきました。そうだ「キキョウ」だと。

このあたりまで来るとスマートフォンも圏外になるので検索できず、帰宅してから調べてみると、ずばり「タニギキョウ」でした。
この後は道中で咲いていたヤマフジ(山藤)などの花を楽しみながら坂尻まで向かい、事前に買っておいたお弁当で簡単にお昼を済ませました。坂尻から先は完全に地道の山道になり、上ノ水峠を経て沢池か中川のほうまで足を伸ばそうかと思いましたが今回は引き返すことにし、ちょうど先程のタニギキョウの花を見つけた場所で、道を挟んだ向かい側にあたる土手で見つけたのがこちらの花。

キュウリグサ(胡瓜草)ではないですよ。ミズタビラコ(水田平子)の花です。でも、キュウリグサと同属のムラサキ科キュウリグサ属の多年草で、本州や四国、九州の山地の渓流近くの水辺や湿ったところを好んで自生しています。通常、2本の花序が立ち上がり、サソリ(蠍)の尾のようなかたちをしているため「さそり型花序」と呼ばれます。花序の下(基部)から順に淡青色もしくは白色の花を咲かせ、黄色い副花冠を持つキュウリグサと違い、ミズタビラコの副花冠は白色です。
さて、タビラコ(田平子)と聞くと、春の七草の「ほとけのざ」でもあるコオニタビラコ(小鬼田平子)などのキク科の植物ではないのかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。じつは、キュウリグサ(胡瓜草)のことをタビラコと呼ぶ地域もあるようで、ミズタビラコは湿った場所に生えるタビラコ(キュウリグサ)という意味で名付けられたのでしょう。ちなみにタビラコ(田平子)とは、田の畦で地面に張り付くように葉を茂らせているロゼット状の姿を譬えた名前です。
近年は道端であろうと河川敷であろうと、見つける植物といえば何かと外来種が多いのが当たり前のようになってきています。今回見つけたのは山野草といっても珍重される種というよりは雑草扱いに近い種ばかりでしたが、意外とまだまだ在来種が追い出されずに観察できることに満足できた一日でした。
とはいえ、この東海自然歩道でも見かけましたが、水辺で繁茂している外来種のひとつがこちらでしょうか。

こちらは鴨川の丸太町橋近くで見つけたものですが、オランダガラシ(和蘭芥子)です。クレソンと呼んだほうがわかりやすいかもしれませんね。
京都市街を抜け、ひさしぶりに立ち寄った今宮神社に参拝して道中の安全を祈願し、門前のあぶり餅に浮気しそうになる気持ちをぐっとこらえて西に向かいます。
ここからの主要道は鷹峯街道になるのですが、この街道を通ると緩やかな坂をだらだらと登ってから転げ落ちそうな急坂を下ることになるので、すぐに紙屋川(天神川)沿いの道を選んで川沿いに歩を進めていきます。そして鷹峯街道を通ると下ることになる急坂と合流し、すぐに京見峠から氷室や杉坂へと向かう旧長坂越との分かれ道になりますが、その近くに架かる農林橋の手前で咲いていたのが……

シャク(芍)の花でした。すでに咲き終わって若い果実もなり始めていました。

北海道から九州にかけての山の谷間で見られるセリ科シャク属の多年草で、食用にもなります。このシャクと同属で、ハーブとしてよく知られているのがチャービルです。
ただし、シャクは毒草のドクニンジン(毒人参)とよく似ているので注意が必要ですが、花の時期がシャクのほうが5月から6月と早く、ドクニンジンは7月と遅いことと、ドクニンジンはカビ臭いような独特の臭いがあり、茎に赤紫色の斑点が入ることから区別がつきます。
このシャクの花に別れを告げ、農林橋は渡らずに川沿いに続く山道を進んでいきます。山道といっても坂尻あたりまでは舗装されていますので時折通る自動車にさえ気をつければ歩きやすい道です。ちょうど坂尻まで中間あたりで、紙屋川の砂防ダムがある鷹峯仏谷という場所まできて、ちょっと一休みと立ち止まった足元で咲いていたのがこちらの花。

タニギキョウ(谷桔梗)の花です。こちらは水辺ではありませんが、植林された北山杉の木陰で一日中ほとんど日が当たらないと思われるような場所にひっそりと咲いていました。名前のとおりキキョウ科タニギキョウ属の多年草で、北海道から九州の山地の木陰に分布しています。
じつは最初、この花の名前は知らず、見覚えのある花のかたちだけど何だろうと思いながらも、この雄しべと雌しべがひっついている形状がずっと気になりながら、うんうんと考えて歩いていてふと思いつきました。そうだ「キキョウ」だと。

このあたりまで来るとスマートフォンも圏外になるので検索できず、帰宅してから調べてみると、ずばり「タニギキョウ」でした。
この後は道中で咲いていたヤマフジ(山藤)などの花を楽しみながら坂尻まで向かい、事前に買っておいたお弁当で簡単にお昼を済ませました。坂尻から先は完全に地道の山道になり、上ノ水峠を経て沢池か中川のほうまで足を伸ばそうかと思いましたが今回は引き返すことにし、ちょうど先程のタニギキョウの花を見つけた場所で、道を挟んだ向かい側にあたる土手で見つけたのがこちらの花。

キュウリグサ(胡瓜草)ではないですよ。ミズタビラコ(水田平子)の花です。でも、キュウリグサと同属のムラサキ科キュウリグサ属の多年草で、本州や四国、九州の山地の渓流近くの水辺や湿ったところを好んで自生しています。通常、2本の花序が立ち上がり、サソリ(蠍)の尾のようなかたちをしているため「さそり型花序」と呼ばれます。花序の下(基部)から順に淡青色もしくは白色の花を咲かせ、黄色い副花冠を持つキュウリグサと違い、ミズタビラコの副花冠は白色です。
さて、タビラコ(田平子)と聞くと、春の七草の「ほとけのざ」でもあるコオニタビラコ(小鬼田平子)などのキク科の植物ではないのかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。じつは、キュウリグサ(胡瓜草)のことをタビラコと呼ぶ地域もあるようで、ミズタビラコは湿った場所に生えるタビラコ(キュウリグサ)という意味で名付けられたのでしょう。ちなみにタビラコ(田平子)とは、田の畦で地面に張り付くように葉を茂らせているロゼット状の姿を譬えた名前です。
近年は道端であろうと河川敷であろうと、見つける植物といえば何かと外来種が多いのが当たり前のようになってきています。今回見つけたのは山野草といっても珍重される種というよりは雑草扱いに近い種ばかりでしたが、意外とまだまだ在来種が追い出されずに観察できることに満足できた一日でした。
とはいえ、この東海自然歩道でも見かけましたが、水辺で繁茂している外来種のひとつがこちらでしょうか。

こちらは鴨川の丸太町橋近くで見つけたものですが、オランダガラシ(和蘭芥子)です。クレソンと呼んだほうがわかりやすいかもしれませんね。