蕪村の挿絵の版木が発見された、と。
永井一彰 (近世日本文学教授:奈良大学) の調査によって、
京都の古書店、竹苞書楼の所蔵品から。
版木は、
畠中観斎の「勢多唐巴詩」の版木の中のもので、
表表紙の見返しに使われた、
伊勢神宮のおかげまいりを描いたもの。
図柄は、中国風の風俗で書かれている、と。
奈良大学のweb-page には、まだ、報知がありませんでしたが、
永井教授の、以前の、他の発見についてのものはありました。
「「永井教授、またまた発見!たまたま発見?」
2004.9.3発表
永井一彰先生
一昨年来、京都佛光寺の版木調査を続けていた
永井教授がまた貴重な版木を発見し、
九月三日に佛光寺でマスコミ発表をしました。
今回確認されたのは慶安三年(1650年)版の
『撰集抄(せんじゅうしょう)』の版木で、全9巻248丁
(496ページ)分の版木63枚がすべて残っていました。
同書は、鎌倉時代に成立した仏教説話集で、
西行に仮託されたこともあって鎌倉室町期は広く写本で行なわれ、
江戸時代に入ってからは数次にわたって出版され、
近世の文学者に大きな影響を与えました。
慶安三年版は、その最初の版本です。
とりわけ、西行を崇拝していた芭蕉への影響は大きなものがあり、
芭蕉の「乞食行脚」思想は、この書をぬきにしては考えられません。
また、『雨月物語』巻頭の「白峰」が『撰集抄』を下敷きに
していることは、よく知られているところです。
この版木が彫られることがなければ、芭蕉の「乞食行脚」思想も
『雨月物語』も、なかったかも知れません。
慶安三年といえば、今から354年前のこと、
そのような江戸時代初期の本の版木が丸ごと残っていることは
大変珍しく、出版研究の上からも貴重な史料です。」
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永井研究室:奈良大学
竹苞書楼:寺町専門店会商店街