いくらハリウッド史上最高のヒット作「風と共に去りぬ」でも、やっぱり一回見たらもういい。
しかし翻訳本をいくつか読むと、アレ?映画ではどうだったかな?と気になり始めて先日からDVDでまた見てしまった。
すると、原作では激情型で強欲なスカーレットの性質が、映画ではかなり薄まってしまっている。
原作の中で、私の好きなシーンで比較してみる。物語序盤。パーティの午前中、アシュレの婚約を知りながら、強引に告白するスカーレット。当然あっさり振られる。おまけに一部始終をバトラーに聞かれていた!どん底の気分でお昼寝の部屋(お年頃の淑女は午後のパーティに備えて昼寝する。)へ帰ってきたら、今度は数人の友人たちが自分への罵詈雑言をぶちまけていた。「手当たり次第に男を口説いてるけど、スカーレットの本命はアシュレ(メラニーと婚約中)なのよ!」アシュレの妹が言い放った。
血の気がひいた。夕方には噂は地方中に広まるだろう。みんなの笑い者だ!うちに帰りたい!ーー
一旦は、表のポーチまで帰りかける。しかし思いなおすのだ。ここからが、スカーレットの本領発揮。
やはり逃げ出すことはできない!娘たちの意地悪(自分が撒いたタネだけど)も、屈辱も胸がつぶれる思いも我慢して最後まで見とどけよう。逃げ出すのは、自分に投げつける弾薬を、彼女らに増やすだけだ。(毅然として決断!カッコいい)
一方、幼稚な妄想?が始まる。
私が怪力サムソンなら屋敷ごとぶっ壊して1人残らずほろぼしてやるのに。(アニメか?!)ーー彼女たちにあやまらせてやる。とにかく自分を傷つけた以上に彼女たちを傷つけてやる。方法はわからないけど。(わからんのかい!やっぱり子どもか?)ーー16歳の彼女には、愛情より虚栄心の方が強かった。ーー
と、翻訳本のあちこちかいつまんで自分なりに好きにシーンにアレンジしてみたけど。とにかく、失恋して悪口を言われても落ち込むどころか、なぜかこの場にいる全員に復讐を誓っているのだ。こんな過剰な情熱的シーンが数ページにも渡って続くのに。映画の方は残念ながらほんの一瞬で終わってしまう。
スカーレットの悪口(アシュレの話は出てこない)を言いながら、大階段を降りてくる友人たちをその階段下の陰で涙を流しながらじっと聞いてるだけ。彼女たちが通り過ぎていくまで。
絶対負けない気丈な女が、悔し涙で耐えるだけの健気な少女に成り下がってしまってる。
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