021:仲（今泉洋子）

恋仲と噂されたる事もなく過ぎし一世をすこし寂しむ

020:嘆（今泉洋子）

嘆きてもどうにもならぬ時はいざ他力の風が吹くまで待たう

019:同じ（今泉洋子）再投稿

北斎も同じ風景見しならむ凱風吹きて富士赤めゆく

018:闘（今泉洋子）

結婚は闘争なりと詠みし友寡婦となりしが久しく会はず

017:彼(今泉洋子）

夭折の友を想へば彼岸花不意打のごと咲き初めにけり

016:仕事（今泉洋子）

よき仕事して柿右衛門逝きませり技を伝へて柞の木植ゑて

015:吐(今泉洋子）

あけぼのに仏が言葉を吐くやうにじわり解けて蓮の花咲く
　

014:更(今泉洋子）

陽の温み陽の匂ひほのと春めきて干し物畳む更衣まひる

013:極（今泉洋子）

前置きを激暑極暑と書き出せばなほ暑くなる真夏日の午後

012:わずか(今泉洋子）

青桔梗わづかに揺れて歌詞（うたことば）風が運び来る秋は来にけり