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行方不明

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地味ドライ薄汚い

2012-07-28 13:06:13 | 映画

「苦役列車」を観た。

 原作者から不評で興行的にもコケてるらしいこの作品。

 自分が観た回も、まあまあ大きい会場に30人未満。実に閑散としていた。

 

 が、原作の比較は抜きにして映画としては全然、イケてる作品だった。

 

 森山未来がキモクて嫌われそうな難しい役どころに好感が持てるような演技をしていて良かった。

 きちんと役作りしたのか元来の性分か知らんが、前者だとしたらメシの食い方まで人間性を統一しているのは凄い事だ。

 また、“下衆感”が取って付けた感じがしなかったので、それも良かった。覗き部屋で元カノにバッタリ出くわしても充分フェラサービスをお願いしてきそうな人間性に見える説得力があった。

  

 前田敦子も悪くなかったと思う。

 適度な地味感とそこそこなカワイイ感が、「パッとしないガード下の古書店のマドンナ」像にピタリ。トックリセーターとかローゲージなニットが似合う。

 前田敦子に大方予想していた芝居は、高良健吾の彼女役の子の芝居だったのだが、案外アイドル感を無しで出ていたし、2012年の20台前半トップアイドルの基準としては大分エログロに寛容だったかと思う。

 独立して「女優」と言う肩書を得る彼女のタイミングに、この作品がに上手い事乗っかれたからこそ寝たきりジジイの放尿補助や変態男の舌舐プレイの餌食や下着スケスケ海水浴もOK出た可能性もあるが、まあ山下監督としては望む望まないは別にして機会に恵まれて少し面倒なハードル越えの手間が省けたのでは無いか?

 

 しかしながら、そもそも前田敦子出演と芥川賞作品、しかも原作者は今テレビタレントとして旬な状態なだけに、上映館が大き過ぎる。

 故に大コケしている。

 また、原作者が望む作風がもっとメジャー志向な作風だとしたら、山下テイストに仕上がったこの作品はキツイかもしれない。

 いつも通り美しくなく、何処と無く退廃的なニオイが強い。だから、全体の雰囲気がストーリーとマッチしていて良い作品にはなっていた。

 

 山下監督の作品は小じんまりとユーロスペース辺りで上映してくれれば良いのに。

 テレビドラマの延長線上で観に来る人に山下敦弘作品は地味過ぎるし、ドライ過ぎる気がする。

 

 とにかく世間的に捉えられている程に作品は駄目でないし、演者も悪くない。「ヘルタースケルター」何かよりは評価されるべきだ。

 ただ、立つべき壇上は違ったような気はする。

 港の荷役の悶々とした日々の話を“国民的”基準で評価するのはヒドイ・・・

 

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追逃跡亡

2012-07-27 06:46:55 | 映画

「プレイ 獲物」を観た。

 何だかフランス映画を観るのが久々な気がした。うん、確かにしばらく観ていない。

 男女のイザコザが余り無いお話なので、フランス映画風な激情的な男女は登場しないが(最近は恋愛モノ含め全般的に仏映画もおとなしいか)、誰も信用しない男が秘めたる情熱の限りを尽くして娘を探す。

 Don’t trust anybodyな男が不安感からつい人を信用してしまい、しかもそいつが最凶悪なヤツだったと言うツイてないストーリー。

 追っ手と逃げ手にはさまれた、追跡と逃亡同時進行の状況のアドリアンがどう危機を脱して娘を救うかが中々面白い。

 初っ端に自宅のアパートメントから追跡刑事諸共、階段の踊り場から硝子を突き破って表に駐車していた車の屋根に落ちて脱出のシーンは、あらかじめ車が下に停まっていたかどうかを確認していてくれていれば納得したが、結果オーライの感じだったので、必死の思いで家族を救う為に逃げてきたのにいきなり“死んでもいい”の決断しちゃあ元も子も無いじゃないか、と思った。

 その他は、誰も信用しないの縛りを利して中々見応えあるお話だった。

 あ、女刑事の行動が全て正解過ぎる超人ぷりにもちょっと鼻に付く感はあったが、お話がスムーズに行かなくなってしまう関係上、仕方が無いか。

 

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断罪

2012-07-25 08:12:25 | 映画

「ヘルタースケルター」を観た。  

 主演の沢尻エリカが、ここ数年の一連のスキャンダラスな振舞いなどからかなりハマり役なのでは?などと言う見込み発進も踏まえて観に行ったのだが、このヒトは上から目線の傲慢な女王様気取りの役には無理があるかな、と思った。  

 きっと根がそういう根性の人では無いからだろうが、命令形な演技に違和感を感じた。

 むしろ、心が裂ける・ポロリと出る弱音などの方に魅力を感じさせた。

 きっと本人も内面の弱さを外面の虚栄心と強気な姿勢で誤魔化しているのだろうと思う。周りの貨幣獲得の為の期待のプレッシャーが半端無いだろうし、重箱の隅のような芸能報道ばかりで職業の方をを評価され難いのでおのずとそう振舞わざるおえないのだろう。

 

 映画自体だが、監督はフォトグラファーで色彩豊かな事が殊更特徴のある作品を創る人だけに、セットや画面の光にはその個性を発揮させていた。

 だけに!!

 言いたい、

 ラストに全てを丸裸にされたリリコが報道人に囲まれた最期の自分の華やかな舞台で紅く染まると、そこへ真紅の羽が舞い、終焉の紅い景色になるのだが、何故にそこに流れる曲が「美しき青きドナウ」なのかが全く分からない。

 別にお話には関係無い事なのだが、色彩にこだわるのならここにも理由が有るのだろか?

 それと、大森南朋をはじめ、原田美枝子、窪塚洋介、哀川翔、寺島しのぶ、は今まで観た映画の中で全員一番ヒドかった。

 よくもこんなに魅力無い芝居をさせてるなあ、と改めてアート系に傾倒している人の演技眼の無さを感じた。

 あ、そんな中でも桃井かおりはさすがに“桃井かおり”だったし、特に何も小細工をしてない水原希子はまあ観てられるかな。

 

 見えるものだけがキレイでインパクトが有れば全てオッケーでは無い。

 

 ストーリー、芝居、ただただゾワッとした感だけが残った。

 面白いものが観えるだろうと、映画も撮れない監督に下手に期待してしまったのがいけなかった。

 

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宣伝ミスだ

2012-07-04 23:54:59 | 映画
「ラブド・ワンズ」をみた。
 笑いに来ている客がまあまあ居ました。
 クセにあんまり笑えるシーンも無い。

 なのに無理矢理笑ってるからもっと笑えなかった。

 宣伝と前情報で面白要素有りますの演出効果をした為に、中身をキチンと味わえない人が
空気読めずに前宣通り面白がってしまった感じ。
 作品の配給宣伝担当が能無しだったばかりに、ポップな色彩と王子&姫的なビジュアルだけで
宣材を判断された不幸な作品。
ダークな作風を全面に持ってくれば、少なくともパパの芝居とブライト・アイズ?の存在は
滑稽に思えたのに…
 
 象徴的なのは、警官の家族の家に娘をダンスパーティーに誘おうと迎えに来た男のところへ
警官の父親が家から出て来て記念写真を撮るシーン。
 
 何と無く空気がおかしいのをオフビートなシーンと捕らえて笑っている客がちらほら。
 しかし、実はここの家の長男(娘の兄)が既に行方不明になっていて、自分の娘が
良く知らないハイスクールの男友達と自分の目の届かないパーティーへ出掛ける事への
不安を象徴するシーンだったのに。
 
 真面目に観ていれば、ここの違和感に笑いで反応するよりも、疑問に思う程度のはず。
 それが客がクスクスしてしまったのは、「理想のイケメン王子様捕獲完了」と言う
キャッチコピーとミラーボールの有る部屋で電ドリ片手に覗き込むような表情でこちらを見る
小学生レベルの工作の冠を付けた女のポスターやチラシや映画の半券のせい。


 この画はオモシロじゃなくて狂気なのに・・・


 もっと宣伝は作品の雰囲気に沿ってすべき!!とつくづく思った。
 
 
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うまし

2012-04-25 14:05:39 | 映画

「キツツキと雨」を観た。

 田舎の村にゾンビ映画を撮る映画クルーが来て、そこに巻き込まれていく林業のおじさんの話。

 いかにも日本映画のオフビート感と言った、含み笑いで見れる作品。

 役どころがストライクだったのか、役所公司の自由自在な芝居力に感嘆してしまう。

 映画ののっけから「え?」だけの台詞のリフレインでキャラクターを表現している。

 頑固だけど素朴でお人好しなおじさんを観る側にとことん愛させてくれる。

 そして相変わらずの台詞まわしの巧さ。

 理屈抜きに楽しめる。

 

Photo