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行方不明

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那智モノはいいなあ

2012-10-04 21:36:46 | 映画

「アイアン・スカイ」を観た。

 1945年、ナチスは第二次大戦敗戦直前に月面の裏側に逃亡。そこでヘリウム3と言うエネルギー資源を採掘しながら、地球への侵略を企てていた・・・。

 もはや設定がぶっ飛びすぎてて・・・。日本人なら中学生でも発想しない設定。

 こんなスゴイ設定を考えるヒトは頭がどーかしてる。

 しかも、月面に基地を作り、宇宙船まで作り上げる技術力があるのに、ナチスの兵隊の衣装は機能的進化はあれどファッション的には全く変化が無く、最終兵器の「神々の黄昏号」もチェーンとゼンマイ駆動。「未来世紀ブラジル」のようなアナログな未来感が素晴らしい。

 宇宙船でさえも、小型機はUFO的な形だが、母艦は相変わらずヒンデンブルグ号と同じ飛行船形状。

 

 米国大統領と直接折衝をしに地球にやって来るが、大統領の再選の材料に利用され、その過程で知り合った女との愛憎入り乱れた戦争になる。

 いきなりアメリカの大統領がこの2018年に「月からナチスが地球に攻撃をしてきます!!」なんて言い出したら、そりゃ笑うわ。

 それと、UFO襲来を実は我が国のです、と大見得を切る北朝鮮の代表が滑稽過ぎる。

 また、ナチスの忠誠心を示す、国家への敬意と敬礼がアダとなるのもナチスをコケにしまくっている。

 映画自体のストーリー展開がだいぶ荒くて、「第7地区」を越える可能性のあるぶっ飛び設定であったのにチョイとストーリーに乗り切れないのが残念。

 脚本をもっと練れるヒトが居たら、かなりヤバイ映画になっただろうに。

 

 WEB上で製作資金の募金を募って作った作品らしいが、一億円ものお金が集まったらしい。こんな下らないSFこそ、今の時代に求められたSFなのだろう。

 科学の進歩で暗闇が無くなった現代にはこのくらいぶっ飛ばないともはやSFにはならない、と深く深く同意する!!

 こう言っちゃあ御幣もあるかもだが、「処刑山 デッドスノウ」のゾンビといい、ナチス物は今後のトンデモ映画には金の鉱脈かもしれない。

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2012-09-30 19:38:12 | 映画

「夢売るふたり」を見た。

 西川美和監督はえげつないと思う。

 切り盛りしていた居酒屋が焼失してしまい、ふとしたきっかけで、情に訴えてお金を借りる(貰う)事で新店舗の資金繰りをする夫婦の話。

 松たかこは今まで演じて来た役柄に汚れ要素が加わった。その演出がえげつない。生理ナプキンの交換、ケツの痣をパンツをめくって確認、自慰行為、と女性監督でないと演出出来無そうなもの。

 そしてそれがそれぞれ寂しさや孤独感などを見ているものに増幅させる効果になっている。

 お金借用の実行者の阿部サダヲは自分の3倍はあろうかと言うパワーリフティングの女子とも情に訴えるべく関係を持つ。

 持って生まれた人の懐に入る才能とこれもまた生来の御人好しで、金の為に与えられた役割こなす阿部サダヲ。

 只の御人好しもここまで行くと変態と言える。性的な嗜好性など無いマシーンの様。

 この資金繰りの計画を最初に立案し指示したのは自分なのに、夫の資金調達の情事に徐々に嫉妬していく松たか子。

 この描写の展開が見る側が同調出切る様にきちんとしている。ここまでキッチリと物事を分かり易く展開させるのは、創り手が生半可な腕では無い。

 映画の完成度は高い。

 ただ、見終わった後に何かモヤモヤとスッキリしない。

 ハッピーエンドでは無いからもそうだが、結局のところ、この夫婦のやり口が好きになれなかったからだろう。この夫婦間には愛情と言うものが欠落しているからだろう。

 居酒屋の切り盛り時代には“おしどり夫婦”のそれだが、それは映画が展開すればするほどこの二人の絆は愛情では無い、と思えてくる。

 ラスト、どこぞの北の漁港でフォークリフトを操作する松たか子のたくましさに女のしぶとさと図太さを感じた。

 それもまた女子のえぐさを感じてしまった。

 

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吸血

2012-09-21 01:53:49 | 映画

「ヴァンパイア」を観た。

 岩井俊二“監督作”としては「花とアリス」以来らしい。

 へー、そうなんだ。自由が丘で撮影した栗山千明の作品は?とか「ハルフウェイ」とか「frends after 3.11」あったからそんなに映画撮ってなかったイメージが無かった。

 

 ヴァンパイア映画だが、ホラーではなく、吸血?のシーンは医療的でそれが逆に近親な感覚で痛々しい。相変わらず物事の伝達のセンスが上手いなあ、と思った。

 結局、ピュアな愛情のストーリーだが、痴呆症の母がバルーンに繋がれていたり、死体は漏れなく美しい女性で、保存を良くしているので皆損なわれずに亡くなっていたり、ビジュアルのこだわりが美しい。

 アデレイド・クレメンス演じるレディーバードが、薄幸で健気で母性に満ち溢れた役に仕上がっているのでヴァンパイア・サイモンが心を許し、全ての罪を終えようとする為の努力を始めるきっかけとしての説得力が強い。なので、心から幸せを掴んで欲しいと、レディバードには感情移入が出来た。

 窓の無い地下の部屋に住む彼女が、決して求めても得られない空の景色をその部屋にたくさん飾っているのが切なかったが、そこがまた変に屈折せずにありのままを受け入れて健気に希望を求める感じにで、とても同情した。

 しかし、現実はそうそう美しい愛情だけではチャラに償えない。

 結局、サイモンを見送った後、自分の“唯一の居場所”から出る事が無く、再び暗い“居場所”に戻って行くレディーバードに、その先の暗示を感じた。

 なんとも切ない映画だった。

 

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解釈??

2012-09-20 02:55:44 | 映画

「LIVIDE」を観た。

 久々に上映前に、“本作は血が出たりやショッキングなシーンの連続なので心臓の弱い方や妊娠している方 云々・・・」と言うNOTICEを見かけた。

 「セルビアン・フィルム」でもこんなの確か出なかったので、心臓は弱い方では無いと思うが、ビクッとかなってしまうと後ろの人とかに見られた場合、ちょいハズいので、ある程度のびっくりが起こる事を想定してどっしりと構えて観た。

 新人介護ヘルパーのリュシーからのネタ提供でその彼氏で漁師・ウィリアム、その友人の料理人(見習い?)・ベンの3人で植物状態の老婦人の屋敷へ宝探し(と、言うか泥棒)に。

 チョイトした無礼から屋敷の主の怒りを買い、次々と襲われていく・・・。

 でも、そこはフレンチ・ホラー。只々、襲う側と襲われる側の対立構造のせめぎ合いでは無く、終盤は話が展開してこの屋敷の住人の一人と襲われる側の一人が結託し、この屋敷の呪縛からの解放戦線へと変化する。

 

 ラストはやはり根源的な場所へ・・・、なところへ辿り着き、そのシークエンスは冒頭へと繋がる。

 

 で、

 

 殺された奴ら、

 

 

 ベンはアナの久々の生贄に。

 ウィリアムは娘・アナを冒涜したから母ジェセルに食い殺され。

 で、あってるのかな?

 それとも元々のコソ泥目的の報い?

 

 この母娘はヴァンパイア?ゾンビ?血(或いは生肉)が栄養なのは間違いなさそうだが・・・

  だから、弟子?の介護師の女は自転車の少女をバラしていたのは単なる快楽犯行ではなくて、この母娘の食料調達?

 結局のところ、娘アナは知性的な問題が有った訳では無くて、母も持て余す程のビースト過ぎな性格と太陽・月の光が体を蝕むので屋敷から出して貰えずに、ひたすら鬼コーチの母からバレエを強要され続け、屋敷から外側の世界に行きたい願望を母に訊く耳を持って貰えなかったから結果、こんなに母に暴走したの?

 そしてアナはサイボーグ??母修理してたよねえ?幼くして亡くなったって言ってたし・・・。

 ラストに崖から落ちる方は目の色的にリュシーでオケー?

 と、すると、アナ一人残りはグッドエンド??

 結構、難解です。

 

 あ、心臓への負担は血飛沫とグロテスクな剥製の造形が生理的にムリでなければ、それ程ホラーのドッキリは強烈でもないかも・・・。

 

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オトナな黄金時代(ゴールデンエイジ)

2012-07-30 19:05:35 | 映画

「ミッドナイト・イン・パリ」を観た。

 自分の憧れていた芸術家達の集う1920年代のパリの社交場に迷い込んで、情熱的な女と恋に落ちる。

 そして自分の本当に情熱を注げる未来を見出して、また新しい道を歩みだした時、雨の降る夜のパリで新しい出会いをする。

 

 何ともロマッチック。

 

 大人になってから憧れるような夢が詰まった作品。

 

 ウッディ・アレンなんて気取り屋臭くて数年前まで見向きもしなかったが、ここへ来てなんて素敵な作品ばかりなんだろう、といつも感心する。

 多作な監督なので、今更一から観て行くには大変だが、少なくともこれから上映に出会えて行ける新作・リバイバルに関しては、なるたけ逃さぬよう行こう、と思う。

 登場人物も魅力的なキャラが多く、いい感じで夢を見れる作品を作る監督だなあ、と思う。

 

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