kurogenkokuです。
経営革新計画は3~5年で作成するルールになっています。
その期間の中で設備投資計画や運転資金計画を作成するのですが、「投資を計画通り行なわなかったらペナルティーはあるのでしょうか」という質問がよくあります。
結論から言いますとペナルティーはありません。
経営革新計画は新たな取り組みを行なうことが前提になります。当然「不確実性」がついて回ります。当初思い描いていた計画が、ふたを開けてみると全く違う方に展開する。良いケースも悪いケースもあります。悪いケースに傾いてしまった場合、それでも投資を行なうというのは愚の骨頂です。
ファイナンスの分野にリアル・オプションという考え方があります。
ディスカウントキャッシュフロー法(将来の事業が生み出すであろうキャッシュフローを予測)を使って事業の収益性を評価するのですが、将来予測には必ず「不確実性」が存在するので、計画に段階的な投資の考え方を取り入れるというのが骨子です。
経営革新計画もそうです。
不確実性と段階投資の考え方を取り入れることで、リスクをヘッジしつつもチャンスは逃さないような「リアル・オプション的経営革新計画」を作成するのが実は有効だと思っています。
経営革新計画には低利融資など制度上のメリットがあります。段階的な投資計画にすることで制度活用の権利は掴んでおきながら、オプションを行使するかしないかはその後の環境変化を見て判断するという、ずるいように見えて賢いやり方を考えるのも戦略のひとつかと考えます。
「投資を計画通り行なわなくてもペナルティーはない」のですからそのメリットを最大限活かす。結局、企業経営がよくなればいいんです。
この考え方は前に紹介した「世界の経営学者はいま何を考えているのか」にも詳しく書いてあります。同書を読みながら自分がやっているところとかぶるものがあったのでエントリーしました。
【391冊目】世界の経営学者はいま何を考えているのか
http://blue.ap.teacup.com/motokuni/3667.html