退院して五日目が過ぎた。
色々と仕事上の動きや、体力・気力の波動が安定せず
PCを開く気にならなかった。
病状的には、現在は痛み止めのみの服用で効果を得ている。
手術は「ステント留置術」といって、胆管の閉塞部位に管を通し、
胆汁が流れる道を確保し、よって黄疸の改善と食欲の回復を
図る処置だった。
食欲は回復したが、量はめっきりと減っている。
ただ、やはり体力は衰えており少し動くとつらい。
「余命三ヶ月」と言われて既に15日が経過。
残り二ヵ月半・・・。
もちろん三ヶ月が一年持つ者も居れば、
二ヶ月で幕を閉じる者も居るので
そこは何とも言えないが、取りあえずは三ヶ月を一区切りで
スケジュールを組む必要はある。
正直、頭のどこかに常に(三ヶ月)の文字が明滅しているが、
やらなければならない事をやるしかない。
みっともない終わり方は周りに迷惑を掛けるし、
掛けるにしても最小限にしないと。
今回の癌発症をよくよく考えてみると、
とても幸せな出来事だと思えなくもない。
強がりでなくそう思う。
理由は、お世話になった人達にきちんと挨拶が出来る時間が
取れたからだ。
不慮の事故で急逝すれば挨拶も出来ないし、
無残に変わった姿も見られたくはないが、
この病であれば、やせ衰えるかも知れないが原型を止めないとか、
包帯にまみれたとかはない。
そして、周りの人々もこころの準備ができるからだ。
見も知らぬ中野に来て14年位だと思うが、
この数週間で涙を流してくれた人が何人も居て、
とても有り難かったし、嬉しかった。
俺が知らぬ間に、俺の事を受け入れて愛してくれていた人々の存在は、
感謝以外の何ものでもない・・・。
抗癌ワクチンを口煩く勧める人、水素水が抵抗力を高めるからと
送ってくれた人、
酵母飲料を届けてくれた人・・・。
みんな俺を心配して、少しでも苦痛を和らげることを考えての事だ。
やはり俺は・・・幸せ者だとおもう。
もちろん、見えない形で支えてくれる人だって居る。
家族以外でこれほどに心配してもらえる人間は、
そうざらには居ないのではないか?
ともあれ、残された時間と過ぎた時間に感謝だな・・・。