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2014年2月9日発行 第586号
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『金色機械』 恒川光太郎
¥1,600+税 文藝春秋 2013/10/10発行
ISBN978-4-16-382560-1
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今日ご紹介するのは、恒川光太郎。
恒川光太郎と聞くと、第12回日本ホラー小説大賞受賞のデビュー作『夜市』を、どうしても思い浮かべてしまう。
ホラーというか、ダークファンタジーって感じの小説が多いイメージです。
本書は、それともちょっと違って、ジャンル分けするならさしずめ、伝奇SF小説ってことになるのかな。
Amazonでは時代ファンタジーって紹介されてます。
舞台は江戸時代。
舞柳遊郭の創業者にして「しなの屋」の楼主、熊悟朗のもとに、ひとりの女が訪れる。
熊悟朗には、人の嘘や殺意を見抜く能力がある。
遥香と名乗る女には、念じることで手で触れたものを安楽死させる能力がある。
遥香は語る。その人生を。
熊悟朗は思い返す。己の人生を。
ならず者の巣窟「極楽園」。またの名を「鬼御殿」。
熊悟朗は幼い頃に、父と義母から殺されそうになった。逃げ出して、行き倒れかけていたのを盗賊の一味に拾われて、極楽園にやってきた。
極楽園の首領の傍らには、「金色様」と呼ばれる異形の存在があった。
遠い昔、月よりやってきたといわれる一族。
彼らに従う金色様。
全身が金色で、緑色の眼を持つ。
金色様は、つまり、ロボットですね。作者曰く、スター・ウォーズのC-3POがモデルらしいです。っていうか、それしか思い浮かびません。
金色様が見てきた人の世の移り変わり。
己が従うべき主人の生き様。
遥香の母は殺された。
その犯人は誰か。
下手人探しを手伝う同心、柴本厳信。彼の信じる正義の正体とは。
なにが善で、なにが悪か。
圧倒的な力を持つ金色様の、進む先にあるものは。
> 「人の世はな、あちこちに地獄に続く穴が開いておる。[…]穴の前には立て札が立っておってな、その穴に誘い込むための言葉が書かれている。入れば名誉が得られます、とか、楽をして富が得られます、とか」(35頁)
> 幽禅家には、代々守られている厳しい掟があり、それを〈律〉と呼んでいました。[…]
> 一族の伝承によれば、祖先は空を飛ぶ船に乗ってやってきたことになっていました。
> しかしながら、天の船が爆発してしまい、この地に取り残されたそうです。(176頁)
金色様になにを見て、なにを望むか。
誰もがなにかを心に隠し、翻弄されていく。
江戸時代を舞台にした時代小説の一種だと思って読むと、ちょっとどうかと思うところもあるけれど、ファンタジー色の強いSFと思って読めば、独特の世界感が魅力的です。
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まぐまぐサイト内では検索がしにくいので、自分の覚えとしてここにもUPしています。