乳がんで私も考えた

2011年9月に乳がん告知。抗がん剤FEC→TC治療中。がんになって変わった世界観を語る。

乳がんを告知された

2011-08-31 09:44:40 | 発見・告知から治療法の決断まで
8月31日、乳がんを告知された。

「乳がんですよ。三カ所のうち右胸は単なる乳頭種で良性でした。左胸はステージ2です。リンパ節に一カ所転移もしていましたから、2bにあたります。」

耳を疑うような、聞きたくない言葉だった。

「27日の時点で、大体わかってましたがね、普通は二日で結果がわかるから言うんですがね、土日が入ったから三日も間があったんで言わなかったんです。」

やっぱり。こんなベテラン医師にわからないわけないんじゃないかと思っていたんだが、やはりあえて言わなかったんだ。

そりゃ確かに言わなかったおかげで三日間は余計な事を考えずに済んだ。しかしたった一日の違いというだけで、なぜT先生は言わなかったのか。

「告知したら逃げる患者もいるんです。食事療法で治すからとか、ビワキューで治すという人もいました。んなモン、治りませんよ。」

なるほど。「おそらく乳がんでしょう。」と言って三日間あけると、その間に余計な考えを吹き込まれて、アヤしい治療法へ逃げ込んでしまうのを恐れたからか。

「治療法は二つです。一つは手術して腫瘍を摘出してから放射線投射や抗がん剤治療、ホルモン治療などをするか、あるいは抗がん剤治療をして腫瘍を小さくしてから手術で摘出するか。要するに手術を後にするか前にするかの違いです。どちらにしますか?」

告知されただけで、もう十分ショックだったので二つの選択肢から選ぶのは難しく思えたが、普通はとにかく早く摘出すべきなのではないかと思い、

「まず手術してから…ですか。」と答えると、
「ふむ。医者としてはすぐに手術をせずに、まず抗がん剤治療をして腫瘍を小さくすることを勧めています。」と説明しだした。

「というのも、先に抗がん剤治療をすると、自分に合った抗がん剤がわかるんですよ。先に腫瘍を摘出してしまうと抗がん剤の相手がわからなくなりますからね。乳がんは再発の可能性が大きいですから、次は自分に合った抗がん剤をすぐに使うことができます。それともう一つ。抗がん剤によってリンパ節に転移した部分の腫瘍は消えるでしょう。小さいから。さらに、抗がん剤によって、現在ステージ2bを1に移行させることによって、生存率も上がってきます。」

私としては、一刻も悪性腫瘍をこの身体から排除してほしかったが、こう言われると迷ってきた。

「とにかく検査も全てやんなくちゃいけないし、私も出張がありましてね、今日は検査をして、次の5日に検査をしながら、結果が出る間の時間に、ご家族の方と話して今後の治療法を決めましょう。」

確かにすぐに決めることではないようなので、その日は血液検査、尿検査、レントゲン検査をして、再び5日に来ることになった。

手術が先か、後か。

どちらがいいんだろう?

にほんブログ村 病気ブログ 乳がんへ
にほんブログ村

疑わしいところは全て検査

2011-08-27 09:12:39 | 発見・告知から治療法の決断まで
8月27日の朝、予約の時間に病院に到着した。

すでに疑わしいシコリがあると訴えていたので、すぐさまマンモグラフィーと超音波検査を行った。

マンモは乳房をぺしゃっと押さえつけて撮影するもので、超音波検査はジェルみたいなものを乳房全域に塗られてマウスみたいなので触って画面で疑わしいところを探っていくもののようだった。

途中で医者のT先生がやってきた。超音波検査の結果を技師から聞きながら、少し嬉しそうなワクワクしているような高揚感を醸し出していた。

「ふむ。三カ所ね。よし!疑わしいとこは全部検査しよう。」

続けて何度も言ったのが次の言葉。

「一度に全部検査した方が、治療費も安くなるから患者にとったらオトクですからね。病院にとっては損なんですがね。」

確かに何度も足を運んで検査をするより、疑わしいところは全部一度にやってしまった方が治療費も時間も節約できる。それは非常にありがたいことなんだが、医者が「オトク」という言葉を何度も使うのは、多少違和感を感じた。後でわかったことだが、その違和感こそ、このT先生の際だつ個性だったと思う。

「あの、もう、癌かどうか大体わかりますか?」と聞くと

「とんでもない!そんなに簡単なもんじゃない。詳しい検査をしてみなくては。31日に結果が出ますよ。普通は二日ぐらいでわかるんですがね。土日が入るから。他の病院だとこうはいきませんがね。」

私は、本当はこのT先生は、既にわかってるんじゃないかという気がしたが、どのみち詳しい検査結果とやらが手に入るまでは次のステップに進めないので、黙っていることにした。

それに、正直「乳がんじゃないかもしれない。」なんて言葉は無意味だ。それを調べるために病院に来たんだから。おまけに「乳がんでしょう」なんて言葉は、もっと言われたくもなかった。

そんなわけで、31日に結果を聞くために再び来院することになった。

にほんブログ村 病気ブログ 乳がんへ
にほんブログ村

始まりはシコリから

2011-08-24 07:53:32 | 発見・告知から治療法の決断まで
これから乳がんについて自分が思ったことを書いていくことにした。

8月24日、自分の左胸の乳首上部あたりにシコリを発見。

この時、悪い予感がした。
悪い予感というのは、現在から未来にかけての道筋に、暗い影がのしかかってくるような、重苦しい不安だ。

私はそれまで乳がん検診を受けたこともないし、受けるつもりもサラサラなかった。酒もタバコもやらないし、ま、少々肥満でBMI26なんだが、血圧だって至適血圧値を維持している。特に大きな病気をしたこともない。

自分の健康については絶大な自信があった。私は当然健康に生きて、元気に80代を迎えるだろう。根拠もないのにそんな風に楽観的に生きてきた。

だが、硬いしこりは私に何かを訴えてくる。重苦しい不安が一秒ごとに膨れあがってきた。

私は不安を解消するために、友人の一人Nさんに連絡した。Nさんは乳がん検診をすすめるピンクリボン運動をしている。

Nさんは、最適の病院と医者を紹介してくれた。

私が住んでいる中核都市は、大学病院もあり、医療の都市と呼ばれるほど病院が多い。紹介された病院は私立病院だが、最新鋭の設備を揃えていることで有名な病院だ。

医者は後でわかったことだが、私の住んでいる地域の中で乳がん治療に関して第一人者と呼ばれる人だった。

私は検査の予約を入れた。

にほんブログ村 病気ブログ 乳がんへ
にほんブログ村